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Category: Stripe Sessions 2025

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[Stripe Sessions レポート] AIエージェントと EC の未来と課題について

<p>Stripe Sessions 2025 では、AI エージェントの利活用や「エージェントコーマス」に関するディスカッション(ブレイクアウトセッション)が複数ありました。その中でも、Browserbase や /dev/agents の CEO・ Rye の Head of Ops そして Stripe の Product Lead が参加されたセッション「<a href="https://stripe.com/jp/sessions/2025/ai-agents-reshaping-the-way-we-buy-and-sell" target="_blank" rel="noopener noreferrer">AI agents: Reshaping the way we buy and sell</a>」について、この記事では簡単に紹介します。</p><h2 id="h53f73f8eb7"> EC サイトや消費者ニーズの現状</h2><p>このセッションでは、AIエージェントが消費者行動とeコマースの未来をどのように形作るか、企業はこれらの変化にどう対応すべきか、そして実践するためのネクストステップについてディスカッションがありました。</p><p>まず現在地点の確認として、消費者が AI をどのように活用しているかや、オンラインでの購入プロセスについて話題になりました。 日々最適化や研究が進められている EC の購入プロセスですが、まだまだ消費者が自身で考えたり行動したりするステップが残っています。パネリストは具体例として掃除機の購入プロセスを紹介されていました。新しい掃除機を購入するとなった場合、まずどの掃除機を買うべきかを比較調査します。その後候補に挙がった掃除機のうち、自身が思う適切な価格で購入できる商品やストアを探しにいきます。 EC サイトの購入フローに消費者がたどり着くまでの時点で、すでに彼らはいくつかのアクションや判断を求められています。</p><p>また、EC 事業者の視点でも、自動化 bot や AI エージェントに対する見方を変える必要性に迫られているそうです。これまでウェブサイトを訪れる bot といえば、検索サイトのインデックスか、それとも不正利用などを試みる悪意のあるシステムのどちらかでした。しかし現在では様々な AI エージェントがそれぞれに指示を出した消費者の疑問に応えようとして、 bot としてサイトにアクセスしてきます。そのため bot アクセスを一律に遮断するなどの不正対策を行なっている場合、今後増加するであろう AI エージェントによる商品検索などのシナリオから、自社の EC サイトが除外されてしまう可能性が生まれています。このように企業が bot やエージェントをどのように対応し、受け入れていくのかを考える必要に迫られています。</p><h2 id="h873478f688">EC サイトにおける AI エージェントの可能性と課題</h2><p>商品の選択や最適価格の調査など、消費者がオンラインで買い物をする際に行なっている様々なタスクを、 AI エージェントはどのように効率化してくれるでしょうか? Sessions 2025 の Product Keynote でデモがあったように、すでに AI エージェントを使って商品の検索や注文を試みる仕組みやデモなどは登場しつつあります。</p><div style="left: 0; width: 100%; height: 0; position: relative; padding-bottom: 56.25%;"><iframe src="https://www.youtube.com/embed/bVQwIZYk9UM?rel=0" style="top: 0; left: 0; width: 100%; height: 100%; position: absolute; border: 0;" allowfullscreen scrolling="no" allow="accelerometer *; clipboard-write *; encrypted-media *; gyroscope *; picture-in-picture *; web-share *;"></iframe></div><p>しかし一方でまだまだ課題も残されています。ディスカッションのなかでは、「<strong>人間が自分で行うよりも迅速で楽しい体験を提供する必要がある</strong>」ことが指摘されていました。購入を提案する商品の選択精度はもちろん、処理時間がかかりすぎる場合にも、「自分でやったほうがよい」と消費者が判断してしまうことになります。パネリストはセッションの中で、「人間が自分でやるよりも遅いシステムより悪いものはありません。AIエージェントはユーザーに対して、より楽しく、効率的な体験を提供する必要があるのです」とも話されていました。このような課題を解決できるかが、エージェントコマース普及に向けたキーポイントの1つになりそうです。</p><p>また、ユーザー体験についての可能性と課題についても話題になりました。すべてを AI が実施するのではなく、買い物の中で消費者が楽しみたいと思っている部分や体験については残し、退屈な作業になりがちな部分の自動化にフォーカスする必要があるということです。セッションを聞いていた感想としては、EC における AI エージェントは百貨店の外商のような体験を提供するようになるのかなと思いました。顧客のことをよく理解し、忘れているであることや繰り返し実行しているタスクなどを裏側で自動的に実行する。それによって買い物というアクティビティを 100 % 楽しめるような体験を提供することが理想系に感じます。</p><h2 id="hd19e63d70c">AI によって変わる買い物体験</h2><p>続いてユーザー体験や買い物のあり方が今後どのように変わるかのディスカッションに移りました。</p><h3 id="h0b60fb45d9">AI ネイティブなストアが生まれる可能性</h3><p>まず話題になったのは「クラウドキッチン」(実店舗を持たず、デリバリーのみに特化したレストラン)の EC 版が生まれる可能性についてです。実店舗やウェブサイトを持たず、AIエージェント向けのインターフェースのみを提供する新種の小売業者が登場するかもしれません。現在ですと、 MCP サーバーのみ提供するようなイメージでしょうか。このような新しい注文体験やモールなども、この後登場し、買い物の体験が変わってくる可能性もありそうです。</p><h3 id="h21954e3a4a">パーソナライゼーションの強化</h3><p>また、パーソナライズについての話題もありました。現在の検索エンジンでは「無限の検索結果の1ページ目」が表示されるだけですが、AIエージェントはユーザーの好みや過去の行動に基づいて高度にパーソナライズされた提案を行うことができます。これによって商品を効率的に探すことがかのうになり、顧客満足度が大幅に向上する可能性があります。ユーザーにとっては、より自分に合った商品との出会いが増えることになります。</p><h3 id="hde22313f52">買い忘れの予防によるカゴ落ち率改善</h3><p>もう一つの話題は、「買い忘れ」についてでした。「そろそろ買おうと思っていたけど、なんだかんだ買わずに過ごしてしまっている」ような体験は誰しもあると思います。日用品の買い物もですが、誕生日や祝い事のギフトを買い忘れて慌てるということも経験したことはあるのではないでしょうか。このような買い忘れ問題についても、 AI エージェントがお知らせするだけでなく、商品の選定や提案・購入まで行ってくれるようになることで、人間にありがちなうっかりミスを減らせるのではないかという話題がありました。</p><h3 id="hb4baac47d0">ユーザーの制御感と便利さのトレードオフ</h3><p>しかし一方ですべてを AI エージェントに任せることへの疑問も提示されました。ユーザーは買い物における全てのステップを煩雑に感じたり、AI に任せたいと考えているのかについて、事前に検証する必要があります。例えば候補の絞り込みまでは AI が行い、最終的にどの商品にするかの決断や色やオプションなどの選択は人間が行うようなフローも考えられます。このステップをギフトや嗜好品などで自動化すると、却って顧客の買い物体験を損なうのではないかという指摘がありました。反面、オフィスの消耗品などであれば、あらかじめ設定した予算枠の範囲内で必要な量だけを選択して注文できる完全自律型の AI エージェントは非常に重宝されるでしょう。このように、 AI が自動化する範囲と人間への判断を求める部分とのバランスをストアやユースケースごとに見極めていくことが重要だということです。</p><p>また、購入フローを自動化した場合には、「顧客はどのような操作を取り消しできるか」についても設計や説明する必要があるという指摘もありました。顧客が望んでいないものを購入し、それが取り消しできないという体験は、エージェントに対してだけでなく、ストアやブランドに対しても悪印象を持たれてしまいます。高額な決済などの重要な決断についてはユーザーへの確認を求める、エージェントが自律的に購入まで行うかどうかや、自動購入の閾値を設定できるような仕組みなども今後はうまれてくる可能性があります。このような仕組みを用意することで、エージェントによる意図しない購入から生まれる大量の返品といったストア側のリスクも軽減できます。</p><p>先のディスカッションであった、「<strong>人間が自分で行うよりも迅速で楽しい体験を提供する必要がある</strong>」を念頭に置いたユーザー体験の設計から行うことが、もしかするとエージェントコマースを成功させる鍵になるかもしれません。そしてこのような設計を行うには、消費者がいる場所で消費者と会って会話する、顧客理解の必要性が高まってきているという話にも広がりました。</p><h2 id="h6fbe578c33">エージェントコマースのユースケース</h2><p>この他、エージェントコマースの実用的なユースケースについてのディスカッションもありました。</p><p><strong>エージェントコマースによる、新しい購入体験</strong></p><p>まず紹介されたのは、AIエージェントによる予算管理です。「1日にX円まで使用可能で、予算オーバーの場合はテキストで連絡」といったルールや条件を設定することで、ユーザーは支出を気にせず買い物を楽しめるようになります。これはオフィスの消耗品や家庭での日用品などで重宝される可能性が高そうです。また、発展系として予算だけでなく消費量や残高をチェックすることで定期的な再注文までも自動化する方法についても言及がありました。このあたりは<a href="https://developer.amazon.com/ja/docs/dash/ja-dash-replenishment-overview.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer"> Amazon の Dash Replenishment </a>などが、先行事例やベンチマークになるかもしれません。</p><p><strong>注文処理フローの自動化</strong></p><p>さらに、カスタマーサポートから返金処理まで、EC における注文や顧客体験フローでAIエージェントが担うシステムについても提案がありました。<a href="https://fin.ai/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Intercom の Fin </a>などはすでに AI によるキャンセル・返金などもサポートしており、業務改善の一環や、 AI エージェントを導入する第一歩目としても注目が集まりそうです。</p><h2 id="h2ec2fcd3d3"><strong>エージェントコマース時代に向けた next action</strong></h2><p>最後に、現実的な次のステップについてのディスカッションがありました。ストア側では、先ほど提案のあったようなユースケースについて、 PoC レベルでの実証実験や新しい販売チャネルとしての検討を進めることが提案されました。また、開発者に対しては、 <a href="https://docs.stripe.com/agents?locale=ja-JP#online-purchasing" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Stripe が開発者プレビューで提供する新しい購入フロー</a>をテストしてみるなど、社内でエージェントによるコマース体験について話し合うための実物を作ってみることがお勧めされていました。</p><p>また、遠い将来の話として、 AI が人間と同じかそれ以上のことをできるようになった世界についての話もありました。そのような世界になった場合、ウェブサイトやアプリの操作性は全く新しいものに変わり、それによってウェブは再び「人間のためのもの」になるかもしれないとのことです。</p><p>個人的な感想ですが、エージェント的な振る舞いを簡単に試せる MCP を利用して、 PoC やデモを作ってみることが、エージェントコマースの未来を覗き見る簡単な方法かもしれません。</p><h2 id="ha214098e44">まとめ</h2><p>このセッションでは、AI や AI エージェントの発達と普及によって、 EC サイトでの体験やストア側のワークフロー・そしてオンラインでの購入体験そのものがどのように変わっていくかのディスカッションが行われました。すべてを AI にまかせるのではなく、「ユーザーはストアでどのような体験を楽しみたいか?」を意識すべきという点は、開発者としてハッとさせられた点です。どうしても新しい技術やツールなどを学ぶ・手に入れると、すべてのものに適用してみたくなります。しかし自動化や効率化を「顧客が楽しみたいと思っている機会を奪う」ために使うことは、本末転倒です。「 AI をどう使うか。取り入れるか」も重要ですが、「そもそも顧客はなにを楽しみたいと思っていて、なにを煩わしいと思っているか」を理解することを第一に置く必要があるでしょう。</p><p>AI や自動化に関するセッションの中で、最終的に「顧客理解」やそのための顧客との対話の重要性を再確認できたという点も興味深い体験でした。 AI による変革は不可避な流れに感じます。しかし全てのルールが変わり、今までの経験が活かせなくなるというわけではなく、むしろ顧客や事業・プロダクトなどに対する理解がある人がより有利になる世界になるような気がしました。</p><p>「こういうことができたら、もっと喜んでもらえそう」「ここステップ、煩雑だけどどう解消すればいいかわからないなぁ」のような業務の中で感じた小さなモヤモヤを記録して、 AI ならどう解決できるかを試行錯誤する。そんなところからでも、変革がはじまるかもしれませんね。</p><div class="iframely-embed"><div class="iframely-responsive" style="height: 140px; padding-bottom: 0;"><a href="https://stripe.com/jp/sessions/2025/ai-agents-reshaping-the-way-we-buy-and-sell" data-iframely-url="https://cdn.iframe.ly/api/iframe?url=https%3A%2F%2Fstripe.com%2Fjp%2Fsessions%2F2025%2Fai-agents-reshaping-the-way-we-buy-and-sell&amp;key=c271a3ec77ff4aa44d5948170dd74161"></a></div></div><script async src="https://cdn.iframe.ly/embed.js" charset="utf-8"></script>

岡本 秀高

開発者

[ Stripe Sessions 2025 セッションレポート] プログラマブルに決済・収益エンジンを実装する

<p>Stripe Sessions 2025 のプロダクトキーノートでは、 Stripe のサブスクリプション商品「 Stripe Billing 」についても複数のアップデートがありました。この記事では、アップデート内容だけでなく、キーノート内で紹介されたトピックについても紹介します。</p><h2 id="h1cb4cbf75f">2024 年から Billing とその環境はどうかわったか?</h2><p>2024 年の Stripe Sessions では、 生成 AI などを利用したサービスでの利用に対応した新しい「使用量ベース課金(Usage-Based Billing)」を発表しました。これは毎秒最大 10 万イベントを処理することができ、リアルタイムの使用量に応じた課金を実現できる新機能でした。</p><p>この機能がリリースされた後、多くの企業はさらに一歩進んだ課金モデルを模索していたことが判明しました。例えばIntercom では、「作成されるサポートケース数」に基づいた成果報酬型の課金モデルの「 <a href="https://fin.ai/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Fin AI Agent</a> 」提供開始しました。このような実際のビジネス成果に基づいた課金を実現したいというニーズが企業にはあることが、前回の Stripe Sessions から今回の Sessions 開催までに判明したことだということです。</p><p>また、多くのSaaSやAIサービス提供企業は大きな課題を抱えています。それは収益の予測可能性です。顧客獲得を加速するために企業は無料使用枠を提供したり、無料で試す間は支払い情報の入力を省略したりすることがあります。しかしこのような施策を行うと、生成 AI などの使用量ベースで提供するサービスにおいては、リアルタイムでの使用量の追跡やそれに伴うスムーズな請求の開始が難しくなります。また、決済情報の入力がないため、無料プラン・トライアルからのコンバージョンが難しくなるなどの問題があります。結果として企業は収益の予測や顧客の使用量把握が難しくなります。また、顧客の視点でも、無料使用枠を超えた際に突然サービスが停止されたり、予期しないタイミングで支払いが発生したりすることで、サービス利用体験が損なわれる可能性があります。</p><p>このような企業の課題に対応するため、Stripe は決済や請求体験とワークフローを拡張する新しいプリミティブを 2 つ発表しました。</p><h2 id="hcc3ab3b98e">Product Keynote で発表された Billing 関連の新機能</h2><h3 id="ha8250efc02">1. Stripe Workflows - ノーコードに実装できるワークフローエンジン</h3><p>1つ目の新機能は、ノーコードのワークフロー機能「 Stripe Workflows 」でした。これは Stripe 内のワークフローをビジュアルエディタで構築・デプロイ・デバッグできる機能で、決済や請求管理に関するワークフローをコードなしに実現できるようになります。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/c5efd3a434bd426281db13e58135e79f/IMG_6467.jpg" alt="" width="4032" height="3024"></figure><p>これまでStripeの機能をカスタマイズするには、APIとWebhookを使って独自のコードを書く必要がありました。そのため、開発リソースの確保やコードの保守管理など、業務を効率化するための事前調整が何ステップも必要でした。しかしこの Stripe Workflows を使うことで、これらの調整なしにワークフローを構築・テストできるようになります。</p><p>ワークフローはトリガーベースで実行でき、使用量アラート・支払い失敗・サブスクリプション更新など、様々なイベントから実行できます。また複数のアクションを順番に実行したり、条件による分岐も可能です。</p><p>その具体的なユースケースとして、多くのSaaS企業、とりわけAIサービス提供企業が直面するフリーミアムモデルにおける請求管理フローの効率化が挙げられました。ユーザーに無料枠を提供し、サインアップ時に支払い情報を必須としない場合、ユーザーが無料枠を超過した際に、サービスを停止するか、あるいは無料で提供し続けるかの選択を迫られるという課題があります。</p><p>Stripe Workflowsはこの課題を解決するために活用できます。Stripe Billing機能で使用量アラートを設定し(例:500トークン)、そのアラートをWorkflowsのトリガーとすることで、一連の請求プロセスを自動化できます。Workflowsはトリガー後、自動的に顧客情報を取得し、顧客が支払い情報を登録済みであるかを確認します。支払い情報がある場合は、自動的に請求書を生成・請求し、サブスクリプションを自動設定することが可能になります。</p><p>このように、Workflowsを活用することで、ユーザーはサービスの中断なく利用を続けられます。ビジネス側も請求対応で遅延が生じない上に、顧客体験を損なわずに有料モデルへスムーズに移行できるようになります。これは、企業がこれまで自社で構築していた煩雑なプロセスをStripeにオフロードできる機能としても強調されました。なお、WorkflowsはBillingだけでなく、Stripe全体で使用可能です。</p><ul><li><a href="https://revtrona.hidetaka.dev/blogs/stripe-sessions-announcement-stripe-workflows">[ Stripe Sessions レポート ] ノーコードで請求管理フローを構築できる「 Stripe Workflows 」が公開プレビューになりました</a></li><li><a href="https://revtrona.hidetaka.dev/blogs/sessions-2025-breakout-about-workflows">Stripe Workflows が発表されたので、セッションで詳細を聞いてきました</a></li></ul><h3 id="h0f74678ff7">2. Stripe Scripts - Stripe自体をカスタマイズ</h3><p>2つ目のアナウンスは、「 Stripe Scripts 」です。これは企業固有のロジックに合わせてStripe自体の動作をカスタマイズできる機能です。Stripe Billingのコアエンジンを含む様々な機能を変更でき、従来はカスタム開発が必要だった課題に対応します。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/13f26ddea1b54fb2bc3eb023d7187067/IMG_6394.jpg" alt="" width="5712" height="4284"></figure><p>デモでは割引設定のカスタマイズが紹介され、100トークン以上で10%、200トークン以上で20%というボリューム割引をコード実装する例が示されました。テンプレートから選択することも可能で、作成したコードはStripe内でホスティング・実行されます。</p><p>この機能の特長は、WebhookやミドルウェアではなくStripe内部で直接動作する点です。Workflowsが製品間連携を定義するのに対し、ScriptsはStripeの内部動作そのものを変更できます。将来的には、日割り計算や請求書発行など、Billingの様々な側面をカスタマイズできるようになる見込みです。</p><ul><li><a href="https://revtrona.hidetaka.dev/blogs/stripe-sessions-announcement-stripe-scripts-beta">[ Stripe Sessions レポート ] Stripe 上で任意のスクリプトコードを実行できる新機能「 Stripe Scripts 」が非公開プレビューで登場!</a></li></ul><h3 id="h4bb6a411e9">3. Stripe Tax がグローバルに対応した大幅アップデート</h3><p>また、Stripe Taxの大幅な機能拡充も発表されました。対応国が57カ国から102カ国へと拡大し、多くのユーザーから要望のあったグローバル税登録と申告機能が新たに追加されています。</p><p>Stripe Taxは税金管理のプロセス全体をカバーし、監視から登録、徴収、申告までをエンドツーエンドで提供します。複雑な国際税務コンプライアンスを自動化することで、企業はグローバル展開をスムーズに進めながら、法令遵守も確実に行えるようになりました。</p><h2 id="hc0d3fbd6c1">AIビジネスにもたらす重要な意義</h2><p>今回のアップデートは、AI を利用したサービスを提供する企業にとって大きなインパクトがあります。Cursor、Perplexity、OpenAI、Anthropic、DecaGon、11 Labs、Midjourneyといった著名なAI企業がすでにStripe Billingを採用しています。また、NVIDIAに至っては、\わずか6週間で全サブスクリプションをStripe Billingへ移行させたとのことで、セッション内にてこの数字が発表された時は会場内に驚きの声もあがりました。</p><p>AIビジネスは独特の課題を抱えています。トークン数や推論時間などに基づく複雑な課金モデルが必要となることがあります。また、新しいモデルや機能が頻繁に追加され、価格体系も絶えず変化します。さらに、無料プランを利用する個人から大規模な契約を結ぶ企業まで、幅広い顧客層に対応しなければなりません。</p><p>このようなAIビジネス特有の課題を、今回発表された3つのアップデートは解決します。Workflowsはリアルタイムの使用量監視に基づいた自動アクションを可能にします。Scriptsを使えば、複雑な割引ルールなど、企業独自のビジネスロジックをコードで実装でき、カスタマイズが容易になるでしょう。機能が拡充されたStripe Taxは、グローバル展開における複雑な税務コンプライアンスの自動化をサポートします。これらの機能によって、AI企業は収益管理の複雑さから解放され、より速い成長を実現できるかもしれません。</p><h2 id="h7dabb5418b">今後の展望</h2><p>Stripeの最新アップデートは、収益管理のあり方を根本から変える可能性を秘めています。特に急速な進化を遂げるAIサービスのような分野では、WorkflowsとScriptsという2つの強力な拡張基盤が競争力の維持・強化に不可欠になるかもしれません。</p><p>Stripeが真のプログラマブルな収益エンジンとして、各企業のビジネスに合わせた柔軟なカスタマイズを可能にした今、これらの新機能を活用して収益オペレーションを次のレベルに引き上げる絶好の機会が訪れています。</p>

岡本 秀高

開発者

Stripe Sessions 2025 で、 複数のPSPをまとめて管理できる Stripe Orchestration が発表されました

<p>Stripe Sessions 2025 のプロダクトキーノートにて、 Stripe Orchestration が発表されました。これは複数の決済プロバイダー( PSP )を Stripe 上でまとめて管理し、通貨やカードの発行国・カード発行会社などの情報を元に利用する PSP を選択できる機能です。これによって複数の国や地域に展開しているサービスで、エリアごとに最適な PSP を利用することができるようになります。</p><blockquote class="twitter-tweet" data-dnt="true" align="center"><p lang="en" dir="ltr">We’ve launched Stripe Orchestration! Route payments to multiple processors and monitor performance from your dashboard. See the demo.<a href="https://t.co/TiqDcAT1Ns">https://t.co/TiqDcAT1Ns</a> <a href="https://t.co/00TSAij817">pic.twitter.com/00TSAij817</a></p>— Roshan Sadanani (@blattus) <a href="https://twitter.com/blattus/status/1920245368861639035?ref_src=twsrc%5Etfw">May 7, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <h2 id="h8ae94e51cc">PSP から決済オーケストレーターへ</h2><p>国や地域、顧客の使用したカード・決済手段などによって、決済成功率や手数料コストなどを最適化できるプロバイダーを選択できるようにすることは、 EC / SaaS 企業にとって収益を最大化する上で重要な課題です。しかし複数の PSP を併用した決済システムを構築すると、取引データや決済履歴などの情報が PSP ごとに散逸してしまいます。そのため、パフォーマンスの高い PSP がどれかや、会計・ビジネス上のデータ分析などを行うためにはデータ分析基盤の構築などが必要でした。また、アプリケーションの実装コードも複雑化するため、結果的に保守コストで相殺されてしまうリスクも存在します。</p><p>そこで注目を集めているのが決済オーケストレーションです。PSP の選択や振り分けといったルーティングから、成功率や処理時間などのパフォーマンス分析まで、最適な決済処理を実現させるための仕組みを構築することで、追加開発やデータ収集・管理のコストやリスクを最小化することができます。このような決済オーケストレーションのグローバル市場は2022年に11億ドルといわれています。また、2023年から2030年にかけて年間成長率24.7%で拡大すると予測されています。</p><p>Stripe はこの決済オーケストレーションについても、サポートを開始するとイベントでアナウンスしました。</p><div style="left: 0; width: 100%; height: 0; position: relative; padding-bottom: 56.25%;"><iframe src="https://www.youtube.com/embed/XZnzZgaGbYY?rel=0" style="top: 0; left: 0; width: 100%; height: 100%; position: absolute; border: 0;" allowfullscreen scrolling="no" allow="accelerometer *; clipboard-write *; encrypted-media *; gyroscope *; picture-in-picture *; web-share *;"></iframe></div><h3 id="h368822410f">ダッシュボードから振り分けルールなどを設定</h3><p>オーケストレーションの設定は、ダッシュボードから行えるとのことです。ルールの設定によって、カード発行国、通貨、発行者などさまざまな条件に基づいて取引を最適な PSP に振り分けることができます。たとえば、EURでの支払いを特定の PSP に送り、その他すべての支払いをStripeで処理するといった設定も可能です。また、各プロバイダーの成功率や処理時間などを一元的に分析し、比較できるため、状況に応じた最適なプロバイダーの選択が容易になります。この機能により、どのプロバイダーがどのような状況で効果を発揮するかを把握できるでしょう。</p><h3 id="hf0f649c7d9">一貫した開発・顧客体験</h3><p>バックエンドでどの PSP を使用していても、顧客には Stripe が提供する決済フォームや決済体験を提供できます。そのため、決済フォームの UI や実装コードなどが複雑になることもありません。ドキュメントによると、オーケストレーションを利用するかどうかのパラメータを1つ追加するだけで対応できる様子です。</p><figure><a href="https://docs.stripe.com/payments/orchestration/route-payments" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow"><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/643f92d4014b4800a1726993337073e5/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-21%207.31.54.png" alt="" width="1112" height="414"></a><figcaption>https://docs.stripe.com/payments/orchestration/route-payments</figcaption></figure><h2 id="hac88d02ca0">Stripe Orchestration は非公開プレビューにて提供中</h2><p>Stripe Orchestration を利用するには、<a href="https://docs.stripe.com/payments/orchestration" target="_blank" rel="noopener noreferrer"> 2025 / 05 時点では事前の申請</a>が必要です。</p><figure><a href="https://docs.stripe.com/payments/orchestration" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow"><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/fe9d580b634b44c0a529c2d506d896c4/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-21%207.34.15.png" alt="" width="1474" height="834"></a><figcaption>https://docs.stripe.com/payments/orchestration</figcaption></figure><p>また、発表された情報によると、現在はクレジットカードの処理のみをサポートするとのことでした。国や地域ごとにある様々な決済手段についてもサポートされるかどうかは、今後注目していきたいところです。</p><h2 id="hced736a8b0">関連ドキュメントはこちら</h2><ul><li><a href="https://docs.stripe.com/payments/orchestration" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe Orchestrationドキュメント</a></li><li><a href="https://stripe.com/resources/more/what-is-payment-orchestration-what-businesses-need-to-know" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Orchestrationの概要</a></li><li><a href="https://stripe.com/newsroom/news/sessions-2025" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe Sessions 2025発表</a></li></ul>

岡本 秀高

開発者

Stripe Sessions 2025 で世界初の決済特化AIモデル「Payment Foundation Model」が発表されました

<p>Stripe Sessions 2025 のプロダクトキーノートにて、Stripe は「世界初の決済特化用AIモデル」として「Payment Foundation Model」を発表しました。このモデルは、 Stripe がもつ数百億件の取引データでトレーニングされており、カードテスティング攻撃などの決済に関する様々な兆候を検知することに利用できます。</p><h2 id="h5ff1ca641b">専用モデルで、決済に関する変化をより正確に検知</h2><p>Stripe は 2024 年には合計で 1.4 兆ドルもの決済を処理しています。それだけの量の決済を処理していると、さまざまな攻撃を受けることにもなり、そのための対策も日々取り組んでいます。</p><figure><a href="https://stripe.com/jp/payments/ai" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow"><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/2c129e8dd47244a58cb777b9cf3ee0e0/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-20%207.22.19.png" alt="" width="1622" height="412"></a><figcaption>https://stripe.com/jp/payments/ai</figcaption></figure><p>例えばカードテスティング攻撃(クレジットカードマスター攻撃ともよびます)においては、 Stripe はこれまで様々な対策を講じてこの攻撃を 80 % 削減しました。そこにこの前例のない大規模データを利用してトレーニングされたモデルを採用することで、この攻撃検知率をさらに 64 % 高めることに成功したとのことです。</p><p>セッションの中で、このモデルは自己教師あり学習を採用していることが紹介されました。これは支払いデータから微妙なパターンを学習するためとのことです。これによって人間が事前に定義したルールや特徴に依存せず、データ自体から最適なパターンを発見することが可能になりました。</p><h2 id="hdac26d04eb">Payment Foundation Model は Stripe プロダクトに展開</h2><p>この新しい AI モデルは、 Stripe が提供する様々なプロダクトに展開されているとのことです。決済パフォーマンスの最適化や不正検知・予防などの様々な方面で、 Stripe の持つ膨大な決済データを活かした改善が、これまで以上に加速することが期待できそうです。</p><h2 id="h91cd538120">関連情報</h2><ul><li><a href="https://stripe.com/payments/ai" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe AI機能ページ</a></li><li><a href="https://stripe.com/newsroom/news/sessions-2025" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe Sessions 2025発表</a></li></ul>

岡本 秀高

開発者

Stripe Sessions 2025 で、チャージバックを AI が自動対応する「Smart Disputes」が発表されました

<p>Stripe Sessions 2025 のプロダクトキーノートでは、世界的に増加傾向にある不正利用への対策についての言及もありました。顧客がチャージバック申請を行った際、企業はその申請が本当に不正利用された決済であるかを調べる必要があります。これは<a href="https://stripe.com/jp/resources/more/what-is-friendly-fraud" target="_blank" rel="noopener noreferrer">フレンドリー詐欺</a>とも呼ばれる、正当な支払いにも関わらずチャージバック申請を行われるケースを回避するために必要な作業です。そして申請された決済が不正利用ではないと確認できた場合には、クレジットカード会社に対して正当な支払いであるという異議申し立てを行う必要があります。これらの作業は煩雑になりがちですが、売上への影響やカード会社が行う不正発生率モニタリングなどへの影響を考えるとやらざるを得ない作業でもあります。</p><p>今回発表された Smart Disputes は、 Stripe が新たに提供する AI を活用したチャージバック対応自動化機能です。カード会社への異議申し立てに必要な証拠の収集や提出といったプロセスを自動化することで、チャージバックが発生した際に生まれる作業時間を節約することができます。</p><h2 id="h14ea78f87a">主な特徴</h2><p>Smart Disputes は、AI を活用したルールエンジンで受信したチャージバックの内容を分析します。その後、 Stripe の中にある取引データ、カード保有者データから関連情報を収集し、クレジットカード会社への異議申し立てを実行します。</p><p>このワークフローは手動での調査・異議申し立てフローとも両立できます。これは Smart Disputes は異議申し立ての期日直前にワークフローを実行するためです。そのため、<a href="https://revtrona.hidetaka.dev/blogs/sessions-2025-breakout-about-workflows" target="_blank" rel="noopener noreferrer"> Stripe Workflows を利用した低額の「不正使用の早期警告 ( Early Fraud Warning | EFW)」に対する自動返金フロー</a>や手動での調査・顧客連絡フローとの両立も可能です。</p><figure><a href="https://docs.stripe.com/disputes/smart-disputes" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow"><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/1b9e51bf4f6740b686066bf8fbb88df9/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-19%207.25.52.png" alt="" width="1490" height="900"></a><figcaption>https://docs.stripe.com/disputes/smart-disputes</figcaption></figure><p>重要なポイントは、「 Smart Disputes が、期日直前に自動で処理してくれる」ということです。ユーザーはメールまたはダッシュボードでチャージバックの発生や EFW の通知を受け取ります。そして、 Stripe Workflows が自動返金しなかった場合は、手動で対応 or Smart Disputes に任せるという対応を選ぶことができるようになります。</p><p>つまり、チャージバックが発生した際の対応工数・コストについても、人間がやるべきか Stripe が用意する AI に任せるべきかを選ぶことができます。</p><h2 id="h559ad9b2ce">Smart Disputes のコストと効果</h2><p>世界全体では年間550億ドルものコストが紛争によって発生しているといわれます。証拠収集と提出のプロセスは非常に煩雑で、効果的なチャージバック対応には特定の専門知識が必要となることも少なくありません。</p><p>Smart Disputes はこれらの課題に対して、次のようなメリットを提供します。</p><p>収益回収の向上では、導入企業で13%以上の回収率アップが見られました。また、証拠収集と提出の自動化により大幅な時間節約が実現します。さらに、人的リソースをより価値の高い業務に再配分できるため、組織全体の効率化も期待できるとのことです。</p><p>ユニークなのは、 <strong>Smart Disputes を利用した場合の費用は「成功報酬制」</strong>になっていることでしょう。異議申し立てが受理されて、顧客によるチャージバック申請が取り下げられた時のみ、 Smart Disputes の費用は請求されます。そのため、チャージバックによる売上損失額や対応コストと、成功時のコストを比較して検討することになりそうです。</p><h2 id="h12ba6b3a07">2025 / 05 時点では公開プレビュー提供中</h2><p>Smart Disputes は現在プレビューとして提供されています。<a href="https://docs.stripe.com/disputes/smart-disputes#request-access" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Stripe Doc でメールアドレスを送信する</a>ことでアクセスをリクエストできます。</p><figure><a href="https://docs.stripe.com/disputes/smart-disputes#request-access" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow"><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/b3bcd34b219f41fd81419923d78cd28e/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-19%207.53.08.png" alt="" width="1576" height="696"></a><figcaption>https://docs.stripe.com/disputes/smart-disputes#request-access</figcaption></figure><p>EC サイトや長期的な利用を想定する SaaS / サブスクリプションビジネスでは、チャージバックが定期的に発生します。 </p><p>Smart Disputes を利用した、対応コストの削減と売上損失の回避をぜひお試しください。</p><h2 id="h0adb7b031a">詳細情報</h2><ul><li><a href="https://docs.stripe.com/disputes/smart-disputes" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Smart Disputesドキュメント</a></li><li><a href="https://docs.stripe.com/payments/analytics/disputes" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">紛争分析</a></li><li><a href="https://stripe.com/newsroom/news/sessions-2025" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe Sessions 2025発表</a></li></ul>

岡本 秀高

開発者

Stripe Sessions 2025:エージェントコマースの未来を切り拓く Order Intents API

<p>Stripe Sessions 2025 のプロダクトキーノートで、エージェントコマースを加速させるための新しい仕組みとして「 Order Intents API 」が発表されました。AI エージェントがユーザーに変わって EC サイトで商品の注文を行う際に、より安全な決済を実現させるための仕組みとして利用できます。</p><h2 id="h0e08891902">AIが購買を変革する時代へ</h2><p>Stripe Sessions 2025では、コマースの未来、特に AI がどのように商取引を変革するかに焦点が当てられました。その中でも大きな注目を集めたのが、「エージェントコマース」です。AIエージェントがユーザーに代わって自律的にオンライン上の購入プロセスを完了させる。これによって人々は消耗品の在庫・発注管理や、注文時の価格・性能比較などの不定期に発生する作業から解放され、本当にやりたい作業やチャレンジに集中することができます。このようなこれまでとは大きく異なるオンラインショッピング体験がこれから広まっていく可能性が出てきています。</p><h2 id="hb073010524">Stripe Sessions 2025 でのデモ</h2><p>Stripe Sessions 2025 のプロダクトキーノートでは、 Order Intents API を利用したエージェントコマースのデモがありました。このデモは YouTube で公開されていますので、いつでも確認や振り返ることができます。</p><div style="left: 0; width: 100%; height: 0; position: relative; padding-bottom: 56.25%;"><iframe src="https://www.youtube.com/embed/bVQwIZYk9UM?rel=0" style="top: 0; left: 0; width: 100%; height: 100%; position: absolute; border: 0;" allowfullscreen scrolling="no" allow="accelerometer *; clipboard-write *; encrypted-media *; gyroscope *; picture-in-picture *; web-share *;"></iframe></div><p>デモでは書籍の購入を例にしています。エージェントを実行するとまずウェブサイトの情報を読み取り、製品の種類や配送オプションを確認します。その後確認した内容を元に注文を完了させるところまでが実行されていました。また、スキンケア製品レビューサイトに対するエージェントコマースのデモもあり、こちらはユーザーが異なる販売者の製品をサイトを離れることなくまとめて購入する体験を紹介されていました。ユーザーは閲覧していたブログから離れることなく、3つの異なるサイトから3つの購入を実現できました。</p><p>このような体験を提供する EC サイトが今後登場・増加するとすれば、 EC サイトプラットフォームのあり方や EC サイトにおける顧客獲得のための最適化施作などもいろいろと変わってきそうです。</p><h2 id="h2957f3cee7">ブースにて詳細を聞いてきました</h2><p>エージェントコマースには強い関心があります。そこでより具体的にどんな体験を実装できるのかなどをブースで少し聞いてきました。</p><p>現時点ではまだ非公開プレビューということで、 <a href="https://docs.stripe.com/agents#online-purchasing" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Stripe Docs に公開されている情報</a>は限定されています。ただ、重要なポイントとして、「エージェントが利用する決済手段を、顧客はどのように提供すれば良いのか」を解決するための仕組みでもあるということでした。 Stripe にはバーチャルなクレジットカードを API / Dashboard から発行できる「 <a href="https://docs.stripe.com/issuing" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Stripe Issuing</a> 」という製品があります。 Order Intents がエージェントに決済をさせる際、 内部的に Stripe issuing を利用してそのセッション専用のカード番号を発行するようなこともできるそうです。</p><p>このほかにも <a href="https://revtrona.hidetaka.dev/blogs/stripe-sessions-announcement-stripe-profiles" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Stripe Profiles</a> や <a href="https://link.com/jp" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Link 決済など</a>、Stripe には決済やビジネスの情報を簡単かつ安全に共有できる仕組みが強化されています。このような機能も利用して、注文時の情報入力やそもそもの商品比較検討などが今後は自動化していけるようになるかもしれません。</p><h2 id="h8afc11f5f7">エージェントコマースがもたらす未来の購買体験</h2><p>Order Intents API の発表だけでなく、プロダクトキーノートの冒頭で Stripe がエージェントコマースについて言及したということ自体もとても興味深い出来事でした。これは Stripe としても、今後 AIエージェントによる「エージェントコマース」が加速していくと考えているのかもしれません。</p><p>当日のセッションでも、エージェントコマースに関する言及は複数ありました。振り返ってみると、オンラインでの商品購入フローは思っている以上に複雑です。レビューサイトや複数の EC サイトを訪問し、問題を解決するための商品を複数リストアップします。その後レビューや価格・配送オプションを比較検討して、購入する商品を決定します。そして最後に、カード情報や住所などを入力して、購入手続きを完了させます。エージェントコマースはこれらのステップを、最終的にはすべて自動で完了させることになりそうです。</p><p>キーノートやブースでの会話では、エージェントコマースのさらなる可能性として、コンテキスにあわせた購入体験についても可能性が提示されていました。例えば、レシピを見ながら必要な食材をエージェントに依頼したり、スマートホームデバイスが消耗品の在庫をチェックして自動で再注文したりするような、「必要なものを、誰かが代わりに買ってきてくれる」体験が遠くない未来に訪れるかもしれません。コンテキストの中には、購買履歴や好み・予算などの条件を共有することによるパーソナライズも含まれてくるかもしれません。</p><p>エージェントコマースはまだ初期段階ですが、Stripe が Order Intents API を通じて推進するこの新しい取り組みは、私たちの買い物の方法、そして EC の体験自体を大きく変える可能性があります。Stripe Issuing が日本で利用できない問題があるため、提供予定の国に日本が含まれるかなどの気になる点はありますが、少なくともエージェントコマースというカテゴリについては注目していきたいなと思います。</p>

岡本 秀高

開発者

Stripe Sessions 2025 で発表された Stripe Profiles を使って、プロフィールを作成してみました

<p>Stripe Sessions 2025 で発表された Stripe Profile。機能を利用するのは 2025 年の夏以降になるとのことですが、イベントに参加していた人限定でプロフィールの作成を体験させてもらえました。この記事では、どんな感じでプロフィールを設定するのかを簡単に紹介したいと思います。</p><p>Stripe Profiles について気になる方は、<a href="https://revtrona.hidetaka.dev/blogs/stripe-sessions-announcement-stripe-profiles" target="_blank" rel="noopener noreferrer">こちらの記事</a>も併せてご覧ください。</p><p><a href="https://revtrona.hidetaka.dev/blogs/stripe-sessions-announcement-stripe-profiles" target="_blank" rel="noopener noreferrer">[ Stripe Sessions レポート ] 企業間の請求処理を簡略化する新機能「 Stripe Profile 」がアナウンスされました</a></p><h2 id="h6e8d472e71">表示する名前とネットワーク ID を設定するだけ</h2><p>Stripe Profiles では請求先の企業に表示する名前と、プロフィールを検索する時などに利用する(らしい)ネットワーク ID を設定します。仕組み上ネットワーク ID は重複不可かつ変更もできない様子ですので、登録する際は慎重に決める必要がありそうです。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/50dcc609a01342d397f5a53731e78bd3/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-08%205.53.47.png" alt="" width="1690" height="668"></figure><p>この2つを登録するだけで、設定完了です!</p><p>プロフィール文章のようなものがプレビュー画面に見えますが、これは Stripe アカウントを本番利用申請した際に提出したビジネス情報が表示されている様子でした。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/f8545adaa69441a0998aa9c9ef7a0c13/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-08%205.53.57.png" alt="" width="1610" height="590"></figure><p>プロフィールの作成だけで、イベント内にてアナウンスされたような請求書発行などにはまだ利用できません。ですがネットワーク ID を確保するという意味でも、 Stripe Sessions に参加されたメンバーを抱えている企業は、今のうちに登録しておく方がよさそうです。</p><p></p>

岡本 秀高

開発者

Stripe Sessions 2025 で AI を利用した承認率最適化ソリューション「 Authorization Boost 」が発表されました!

<p>Stripe Sessions 2025 の Product Keynote にて、決済処理における承認率を向上させるAI搭載のツールセット「 Authorization Boost 」が発表されました。Stripe の持つ膨大なデータに基づき、 AI などを活用してクレジットカード決済が拒否される確率を減らすことのできる仕組みとして提供する予定とのことです。</p><h2 id="h16df758e3c">Authorization Boost の特徴</h2><p>Authorization Boost は、Stripe がこれまで提供していた決済承認率改善機能と、新機能を組み合わせたツールセットです。1つ目は「Adaptive Acceptance 」とよばれる機械学習を使用して支払いリクエストを最適化する仕組みです。顧客が利用しているクレジットカード会社に合わせた支払いリクエストのデータを Stripe が内部的に機械学習ベースに調整します。また、カード会社が支払いを拒否した場合にも、リクエスト内容を調整して再度決済を試みるなどの仕組みも実装されています。この機能によって、再試行された支払い拒否を最大 15% まで回収できるとされています。</p><p>2つ目の機能はネットワークトークンです。これはカード番号の代わりとなる、より安全な支払い認証情報です。ネットワークトークンを使用すると、基盤となるカードのデータが変更された場合でも、最新の認証情報で支払いを処理できます。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/a33e290717974c7380594527f7866e0e/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-15%2023.41.49.png" alt="" width="1618" height="872"></figure><p><a href="https://stripe.com/guides/understanding-benefits-of-network-tokens" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">ネットワークトークンについて - Stripe のガイド記事より</a>。</p><p>ネットワークトークンを利用することで、クレジットカード情報が変更または期限切れになった場合でも、トークンによって最新の情報を利用できる状態を維持できます。これにより、認証情報の期限切れが原因で不承認となる支払いの件数が減り、サブスクリプションなど長期的かつ定期的に決済される支払いなどでのオーソリ率が向上します。</p><p>3つ目の仕組みは、カード情報の自動更新です。先ほど紹介したネットワークトークンと、この自動カード更新機能を組み合わせることで、有効期限切れなどによる支払いエラーの発生率を抑えることができます。</p><h2 id="hf43f41fa1d">Authorization Boost のユースケース</h2><p>この機能は、クレジットカード決済の承認率やサブスクリプションでの決済失敗などによる売り上げの損失と、顧客サポート等で発生する人件費等を削減することが期待できます。カード会社ごとに最適化した支払いリクエストを送信する仕組みによって、 EC サイトでの決済エラーによるカゴ落ち・競合他社への流出を抑止できます。また、保存したカードの有効期限が切れた際に、再度更新する手間を省くことができます。これによって顧客がECサイトやSaaSに保存したカード情報の更新作業に追われることがなくなり、対応コストよりも解約による利便性の低下を選ぶリスクを減らすことができます。</p><p>決済ボリュームだけでなく、トランザクション数が多い企業であっても、承認率が少しでも向上すると売り上げへのインパクトが大きくなりやすいです。そのため、ある程度の規模まで成長した企業は、この機能の導入をけんとうすべきかもしれません。</p><h2 id="h970c5f123d">Authorization Boost は非公開プレビュー提供中</h2><p>Stripe Sessions 2025 で発表された時点では、この機能は招待制の非公開プレビュー提供です。Stripe Docs から先行提供を希望するフォームが送信できますので、カードの承認率やカードの更新忘れによる未払いを減らしたいという方は、ぜひお試しください。</p><p><a href="https://docs.stripe.com/payments/analytics/authorization-boost?locale=ja-JP#request-access">https://docs.stripe.com/payments/analytics/authorization-boost?locale=ja-JP#request-access</a></p><h2 id="hbbdd5295e7">関連情報はこちら</h2><ul><li><a href="https://docs.stripe.com/payments/analytics/authorization-boost">https://docs.stripe.com/payments/analytics/authorization-boost</a></li><li><a href="https://stripe.com/gb/guides/optimizing-authorization-rates" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">承認率最適化ガイド</a></li></ul>

岡本 秀高

開発者

Stripe Sessions 2025 のスポンサーブースで気になったサービスを勝手に6つ紹介します

<p>BizDev &amp; RevTech Dev の岡本秀 ( <a href="https://twitter.com/hidetaka_dev" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">@hidetaka_dev</a>)です。今回は Stripe Sessions 2025 参加レポートとして、 スポンサーブースエリアの気になった展示企業・サービスについて紹介します。</p><p>ユニークな開発支援サービスだけでなく、日本ではあまり見ることのないソリューションやビジネスモデルなどもありましたので、ぜひユーザーとしてだけでなく日本での新規事業企画の参考にもしてください!</p><h2 id="h3833a3b809">1. Clerk: 認証と課金を一体化した新プロダクトが登場</h2><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/561d6873872444fab2ed11380e2ca46f/IMG_6350.jpg" alt="" width="5712" height="4284"></figure><p><a href="https://clerk.com" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Clerk公式サイト</a> | <a href="https://clerk.com/billing" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Clerk Billing</a></p><p>最初に紹介するのは、認証系 SaaS の「<a href="https://clerk.com" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Clerk</a>」です。今回の Stripe Sessions に合わせて、Stripe Billing を活用した統合機能「Clerk Billing」の公開ベータを発表しました。</p><p>これまで認証と課金は別々のサービスで管理することが一般的でした。しかし Clerk の新機能「Clerk Billing」では、これらを一体化します。事前に Clerk ダッシュボードで料金プランや機能の設定を済ませておくと、アプリケーション側ではただ <code>&lt;PricingTable /&gt;</code> などのコンポーネントを配置するだけで、料金表やサブスク管理などのUIと機能実装が実現できます。</p><p>Next.js を利用したアプリにこの Clerk Billing を組み込む方法をブログ記事にまとめています。こちらもぜひ参考にしてください。</p><p><a href="https://wp-kyoto.net/get-started-clerk-billing-with-nextjs" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Next.jsとClerk Billingを使用したサブスクリプション管理の実装方法</a></p><p>私が Clerk に注目する理由の一つが、開発者体験を重視している点です。公式サイトによれば、多要素認証はもちろん、20種類以上のソーシャルログイン対応、使い捨てメールドメインのブロックなどの詐欺防止機能も備えています。実装面でも React、Next.js、Remix などのモダンフレームワーク向けに最適化された SDK と UI コンポーネントを提供してるのもよいなと思っています。</p><p>Stripe との関係についても面白いことになっています。今回のネイティブ連携だけでなく2024年1月に Clerk は Stripe から3000万ドルの投資を受け、戦略的パートナーシップを形成しています。 Stripe をサービスに組み込む際の認証基盤として、今後も強力なインテグレーションが登場し続けるのではないかと個人的にはとても期待しています。</p><p>料金についても、最初の10,000人の月間アクティブユーザーまでは無料で利用可能なので、小〜中規模のプロジェクトであればほぼ無料で使える・試せるのもいいですね。</p><h2 id="h8f2d5a28dc">2. Stigg: 料金モデルや機能フラグの管理をよりシンプルに</h2><p><a href="https://www.stigg.io" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stigg公式サイト</a> | <a href="https://www.stigg.io/" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">エンタイトルメント管理について</a></p><p>次に紹介するのは「Stigg」です。料金モデルの複雑化と機能フラグの管理という、SaaS 開発者が直面する2つの大きな課題を解決するサービスで、今回ブースにてスタッフと一番話し込んだサービスです。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/07ceac1ff7d54cd6a60ee8ea2ae924c5/IMG_6557.jpg" alt="" width="5706" height="4280"></figure><p>多くの SaaS 企業は成長とともに料金プランが複雑化し、どの機能をどのプランに含めるかの管理が次第に複雑になりがちです。機能フラグを管理するデータベースを構築したり、 Stripe 上に metadata を駆使して構築するなどの方法があるでしょう。Stigg はこの問題を「エンタイトルメント管理」という概念で解決しようとしています。</p><p>Stigg は柔軟性に富んでおり、すでに Stripe Billing を使っているサービスに後から追加することも可能です。もちろん Stigg 単体で決済機能を実装することもできます。開発者が機能単位で細かくアクセス制御を行える点も魅力的でしょう。一時的に特定の機能を一部ユーザーへ限定提供するなどの制御もおこなえるとのことでして、新機能の先行リリースやベータテストなどにも使えそうです。</p><p>2024年12月には1750万ドル(約25億円)の資金調達に成功し、Miro や AI21 Labs などの企業がすでに採用しているとのこと。特に AI 機能など、新しい価格モデルを迅速に導入したい企業にとって強力なツールになるかもしれません。</p><h2 id="h3bc0fa8b35">4. Amazon Pay: 来るか Stripe 連携の全世界対応</h2><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/64d2eafc43224cd2a0f9db01daecf322/IMG_6493.jpg" alt="" width="5712" height="4284"></figure><p>個人的にやっぱりあるよねーと思ったブースの1つが Amazon です。実はアメリカの Stripe ユーザーは、 Stripe で実装した決済フローにワンクリックで Amazon Pay を導入することができます。</p><p><a href="https://stripe.com/jp/payment-method/amazon-pay" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Amazon Pay による決済を受け付ける | Stripe</a></p><p>まだアメリカのみで利用できる機能なのですが、日本や世界中の Stripe アカウントで利用できるようになれば、EC 方面での Stripe の存在感がさらに増しそうです。</p><h2 id="h7bcbf04dbd">4. This Dot Labs: Stripe Apps エコシステムを活用した新しいビジネスの形</h2><p><a href="https://www.thisdot.co" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">This Dot Labs公式サイト</a> | <a href="https://www.thisdot.co/services/technologies/stripe-app" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe App開発サービス</a></p><p>アプリ開発エージェンシーの「This Dot Labs」も今回私が注目した企業の一つです。彼らは Stripe Apps を複数リリースしており、Stripe のエコシステム内での収益化へ積極的に取り組んでいる企業の1つといえそうです。</p><p>2022年に登場した「Stripe Apps」は、Stripe ダッシュボード内に直接統合できるアプリケーションを開発するプラットフォームです。This Dot Labs はこの分野のパイオニアとして、 Google ドライブとの連携や MailChimp などのサービスを連携するアプリを公開しています。</p><ul><li><a href="https://marketplace.stripe.com/apps/data-exporter-for-google-drive">https://marketplace.stripe.com/apps/data-exporter-for-google-drive</a></li><li><a href="https://marketplace.stripe.com/apps/mailchimp">https://marketplace.stripe.com/apps/mailchimp</a></li></ul><p>Jamstack や NextJS などのモダンなフレームワークにも強い This Dot Labs は、MediaJams のようなプラットフォーム構築の実績も持っています。Stripe エコシステムでの開発を検討している企業は、一度相談してみる価値があるかもしれません。</p><h2 id="h849698c0ef">5. Temporal: オープンソースの決済オーケストレーション</h2><p><a href="https://temporal.io" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Temporal公式サイト</a> | <a href="https://www.amplifypartners.com/case-studies-collection/build-with-confidence-how-temporals-open-source-programming-helps-you-deliver-reliable-efficient-software" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">企業事例</a></p><p>5番目に紹介するのは「Temporal」です。複雑な決済ワークフローの管理を可能にする、オーケストレーションやワークフローツールをオープンソース &amp; SaaS で提供されています。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/01f8adffaedd4edf9a279a8beb0ff6cf/IMG_6558.jpg" alt="" width="4028" height="3021"></figure><p>決済処理には、様々なサービスプロバイダ間の連携や、障害発生時のリカバリが欠かせません。Temporal はこの問題に焦点を当てたソリューションだといえます。</p><p>複数の決済サービスプロバイダ(PSP)を組み合わせる際に、オーケストレーターとしてフロー管理などを行えるとのことでした。自前で PSP の組み込みをそれぞれ行うよりも、不整合や障害が発生するリスクを下げてくれそうです。</p><p>Temporal は2023年2月に7500万ドルの資金調達を行い、ユニコーン企業(企業価値10億ドル以上)の地位を維持しています。Netflix、Snap、Comcast などの大手企業がすでに採用し、ミッションクリティカルな支払い処理や金融取引の追跡などに活用されているとのこと。</p><p>気になる点としては、今回の Stripe Sessions 2025 にて Stripe 自身が「Payment Orchestration」サービスを開始したことです。こちらはまだクレジットカード限定だったりと、プレビューリリースではありますが、今後の競争環境がどう変化するかは注視することになりそうです。</p><h2 id="h9f45a65741">6. Salesbricks: 営業主導の B2B 取引をシンプルに</h2><p><a href="https://www.salesbricks.com" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Salesbricks公式サイト</a> | <a href="https://cpq-integrations.com/cpq/salesbricks/" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">CPQ機能の概要</a></p><p>最後に紹介するのは「Salesbricks」です。営業主導の請求書決済に特化したプラットフォームで、B2B 取引を B2C 並みの手軽さで実現することを目指しています。</p><p>B2B 取引では依然として、契約書のやり取りやワークフロー管理に多くの手間がかかることが一般的です。Salesbricks はこの問題を解決し、特に営業担当者と営業事務の業務効率を大幅に改善する可能性を秘めていると感じました。</p><p>同社のソリューションで特に魅力的だったのは、シンプルな見積もり作成機能です。URL ベースの見積もりで、クリック一つで顧客に送信できます。電子サイン機能も備わっており、面倒な契約プロセスをスムーズに進行させることができるでしょう。さらに、サブスクリプション管理機能により、継続的な収益を効率的に把握・管理できます。CPQ (Configure, Price, Quote) 機能も充実しており、商品構成、価格設定、見積もり作成を一元管理できる点もよくできているなと感じました。</p><p>Salesbricks の特徴は、このすべてのプロセスをシンプルかつ一貫したインターフェースで提供している点です。請求書や契約書のやり取りに時間を取られている営業チームや、この手のフローを提供する国内 SaaS 企業は検討候補またはベンチマークとして注目すべきかもしれません。</p><h2 id="h4a8f2b78ba">ステーブルコインへの熱量も要注目</h2><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/1612ee81fee147ad9678d69cd7889da9/IMG_6369.jpg" alt="" width="3845" height="3845"></figure><p><a href="https://stripe.com/jp/crypto" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe暗号資産サービス</a></p><p>今回の Stripe Sessions では、上記の6社以外にも多くの興味深い企業が出展していました。特に印象的だったのは、ステーブルコイン関連のエリアです。</p><p>私自身の専門分野が SaaS や請求処理に偏っているため、今回の記事ではそちらにフォーカスしましたが、Stripe が暗号資産分野へ積極的に投資していることは注目に値します。法定通貨に価値が連動するステーブルコインは、従来の決済システムと暗号資産の架け橋となる可能性を秘めているようです。</p><h2 id="h19593b91bd">まとめ: SaaS・決済の未来が見えた Stripe Sessions ブース</h2><p>今回の Stripe Sessions ブースで紹介されたサービスからは、SaaS と決済処理の分野で起きている大きな変化を感じることができました。</p><p>Clerk が示すように、これまで別々だった認証と課金の機能が一体化する傾向が見られます。Stigg の事例からは、複雑な料金体系を簡単に管理できる基盤の重要性が浮き彫りになりました。Amazon Pay やステーブルコインのように人気の決済手段がこれからも Stripe と統合されているだろうということにも期待がもてます。</p><p>また、This Dot Labs のような専門企業の台頭は、Stripe エコシステムが着実に拡大していることを示しています。一方、Temporal が代表するように、ミッションクリティカルな処理への信頼性向上も大きなトレンドでしょう。Salesbricks が目指すシンプルで効率的な営業プロセスは、B2B 取引の効率化という大きな流れの一部と言えます。</p><p>共通しているかなと感じたことは、「顧客のどんな課題を解決するか」にフォーカスしている企業が多いことです。自分たちが遭遇した悩みから始まっているケースもあれば、顧客との対話において発見したというものもあるんだろうなとブースをまわっていて感じました。 Stripe 自身も、別のサービスを立ち上げようとした中で気づいた困難なこと(決済)を解決するという出自をもっています。</p><p>そういった意味では、新しい事業を企画する上で、まず「あなたや自社で悩んでいることは何か?」を問い直すことから始めるべきかもしれません。</p>

岡本 秀高

開発者

Stripe Workflows が発表されたので、セッションで詳細を聞いてきました

<p>Stripe Sessions 2025 にて、コードを書かずに Stripe 上で処理する決済や請求・サブスクリプション・チャージバックなどのワークフローを実現する「 Stripe Workflows 」の公開プレビューが発表されました。当日はこの Workflows について学ぶセッションも用意されていましたので、参加してきました。</p><h2 id="h1758e3632e">セッションとスピーカーについて</h2><p>このセッションでは、当日朝のキーノートで発表された新機能の「Stripe Workflows」について、開発の背景や機能・ユースケースとロードマップについて紹介がありました。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/35cddb45824b4a49b0b9a68ee9010474/IMG_6464.jpg" alt="" width="4032" height="3024"></figure><p>セッションでは、Tanya氏(Stripe Workflowsのプロダクトマネージャー)とBen Smith氏(Stripeのスタッフデベロッパーアドボケイト)が登壇しました。両氏はAWSで約5年間ともに働いた経歴があり、サーバーレスやStep Functions、Lambdaなどのテクノロジーに携わっていたとのことです。様々な業界の顧客と接する中で、常に「インテグレーションの複雑さと難しさ」という共通課題が浮上していたという話も紹介されていました。</p><h2 id="h6fa4ece22d">「7行のコード」は、環境の変化で複雑なコードベースへ</h2><p>Stripeは2010年、「たった7行のコードでオンラインアプリケーションに決済機能を追加できる」というシンプルさを売りに始まりました。その後、顧客の要望に応える形で Billings や Radar, Connect, Terminal などなど、非常に幅広い製品ラインナップとなっています。これにより現在では、決済や請求、税金、ID確認、財務など、あらゆる財務インフラをStripe上で運用することが可能になっています。</p><p>しかし、一方で製品ラインナップや機能の追加によって、シンプルさが失われているという声も増えていました。決済は単に「完了」するだけでなく、「オーソリ」や「キャプチャ」そして「返金」「チャージバック」など、取引が完了してからもさまざまな出来事が発生し、決済の状態が変化します。ビジネスやワークフローと、この決済に関する状態変化を適切にマッピングするためには、たとえば決済が最初にキャプチャされた場合にのみ返金が可能になるといったルールやワークフローを設計する必要があります。このようなワークフローは決済以外にもサブスクリプションやプラットフォームなどでも発生し、それぞれに対応する API 実装や Webhook 連携を追加していくことで、コードベースが肥大化していきます。</p><h2 id="h43b9b6551b">Stripe Workflows による複雑さの解消</h2><p>Stripe Workflowsは、こうした複雑さに対処するために開発された新製品です。Workflows を利用してStripe API を利用したアクションを実行することができます。Webhook イベントに対応して実行できるので、Webhook API やバッチ処理を実装せずとも、カスタムのワークフローやルールを実行できるようになります。</p><p>また、 Workflows は自動的にスケーリングするフルマネージドサービスとして提供されます。プロビジョニングやパッチ適用は不要で、コードを書く必要もありません。600以上のStripe アクションを呼び出すことができ、特定の順序で一連のアクションを確実に実行したい場合には、メンテナンスが必要なアプリケーションコードを実装することなく Stripe アカウントに適用できます。</p><h2 id="h0f78cb3d54">コード vs Workflows の実装比較</h2><p>セッションではシンプルなユースケースを例に、従来のコード実装と Workflows を使用した実装が比較されました。例として「<strong>成功した取引ごとに管理者にメールを送信する</strong>」というシナリオが紹介されました。</p><p>従来のコード実装では、まずAPIキーの安全な管理が必要です。環境変数またはシークレット管理系の SaaS を利用し、安全に API キーをアプリケーションコードが取得できる仕組みを作らなければなりません。また、npm や composer などで配布されている 3rd party のライブラリを使用したり、Next.js / AWS CDK などのフレームワークをメンテナンスする手間もかかります。Webhook を利用する場合は、第三者からの攻撃リクエストからエンドポイントを保護する必要もあります。さらにエラー処理やロギング、オブザーバビリティについても考慮すべき点です。特にセッションでは、 Webhook の保護処理についてと、決済というクリティカルな領域における「リトライ処理のハンドリングや冪等性の扱い」が開発時の重要な要件になり、同時にコードの複雑化を招く要素でもあると紹介されていました。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/514465a77cc34611a019fdf56390aacc/IMG_6472.jpg" alt="" width="5712" height="4284"></figure><p>Workflows を利用すると、これらのコードの複雑性を解消することができます。Webhook API を実装する代わりに、視覚的なビルダーを使ってワークフローを設定します。そのため、アプリケーションコードだけでなく、コードを実行するサーバーも不要となり、ダッシュボード操作ですぐに実行できます。また、エラーが発生した時リトライだけでなく、冪等性の担保による二重処理の予防措置まで組み込みされているとのことでした。</p><h2 id="h755b14d091">Workflows がもつ3つの機能と設計パターン</h2><p>Workflows には現在3つの機能が用意されています。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/c5efd3a434bd426281db13e58135e79f/IMG_6467.jpg" alt="" width="4032" height="3024"></figure><p>1つ目は ワークフローを実行するためのトリガー設定です。イベントペイロードの内容に基づいて、より細かくワークフローの実行を制御できます。たとえば、200ドル以上の支払いに対してのみワークフローを実行するといった条件設定が可能です。</p><p>2つ目の機能は、ワークフロー内で実行するアクションを設定する機能です。Stripe API を利用した取得・作成・変更・削除などのオペレーションをサポートしており、またメールでの社内通知に利用できるアクションも提供されています。アクションでは、ワークフロー内の前のステップからのデータを使用できます。顧客や決済などのオブジェクト情報をワークフロー全体で渡せるので、データの連携がスムーズになります。</p><p>最後の機能は、条件分岐です。ワークフローで実行するアクションを分岐する条件を作成できます。チップが含まれる支払いの場合に顧客をVIPとしてマークするなど、ビジネスロジックの実装が柔軟に行えます。</p><p>これらの機能を組み合わせて、さまざまなパターンのワークフローを構築することができます。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/f0bd68a249e04d4b840551ccffb91a5d/IMG_6474.jpg" alt="" width="5712" height="4284"></figure><h2 id="h510eeb4390">ワークフローの可観測性機能</h2><p>Workflowsにはデバッグのためのオブザーバビリティ機能が組み込まれています。ワークフローの詳細ページでは、すべてのワークフロー実行の日付や時間、ステータスが一覧で確認できます。失敗理由についても表示しますので、失敗した場合の概要を一目で把握することが可能です。「subscription id 123は存在しない」といった具体的なエラー内容が一目で確認できるように作られているとのことでした。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/826594e39a1d49e1a9d2e3e2dfe805aa/IMG_6417.jpg" alt="" width="4032" height="3024"></figure><p>ステップごとに input / output のデータを調査することもできます。そのため、「どんな API リクエストを実行したか」や「どんな結果が返ってきたか」などをワークフローに沿った形で調べることができます。また、手動でのリトライ機能も、冪等性を担保した状態で提供されているとのことですので、修正後に同じイベントデータを使って再試行できます。</p><p>また、 API リクエスト内容やリソース内容を詳細に調査できる「 Stripe Workbench 」とも連携しているとのことでした。そのため、Subscription リソースに紐づく Invoice や Payment Methods などのデータを深掘りすることも、ダッシュボード上で実現できるそうです。</p><p>この他、Workflowsには無限ループを防止する機能も備わってるとのことでした。直接再帰(ワークフローが自身をトリガーする無限ループ)を防止するだけでなく、間接再帰(ワークフローが他のワークフローをトリガーする連鎖)も制限されます。これにより、APIリミットの意図しない消費を防ぐことができます。最大5回までのワークフロー連鎖は許可されますが、自己トリガーは最大1回までという制限があるそうです。</p><h2 id="he818284a78">実装例:チップ含む支払いの自動VIP設定</h2><p>セッション中のデモでは、条件分岐を使った具体的な実装例が紹介されました。</p><p>まず、イベントのフィルタリングとして、支払い金額が$200以上の「<code>payment_intent.succeeded</code>」イベントのみをトリガーに設定します。次に条件分岐を行い、チップ(tip amount)が含まれているかどうかを判定します。チップがあれば(tip amountが空でない)、その顧客を「tipper」と判断するわけです。顧客データの更新では、チップを支払った顧客を「VIP」としてマークします。支払いに関連する顧客IDを動的に参照し、そのカスタマーオブジェクトにメタデータとして「<code>tier: VIP</code>」を追加する仕組みになっています。</p><p>結果として、$200以上の支払いにチップを含む顧客が自動的にVIPとしてマークされます。チーム内の誰もがその顧客情報を見たときに、VIPステータスを確認できるようになり、顧客体験の向上につながるでしょう。この例は、動的フィールド、条件分岐、メタデータ自動化というWorkflowsの主要パターンを組み合わせたものであるともいえそうです。</p><h2 id="h9ac4741640">Workflows のユースケースについて</h2><p>このほかにも不正対策や大口契約などのワークフローで Workflows を利用するユースケースが紹介されていました。</p><h3 id="h397748d36b">1. 不正使用の早期警告 への対応</h3><p>Stripe では、クレジットカード会社がチャージバックの申立てリスクが高いと思われる決済について早期アラートを出す仕組みが用意されています。これを「不正使用の早期警告 ( Early Fraud Warning | EFW)」と呼びます。この機能をトリガーとしたワークフローを実装することで、異議申し立て手数料やチャージバックが発生する前に予防措置をとることが可能です。セッションでは、チャージバックが発生した時の手数料よりも決済金額が少額であれば、チャージバックが発生する前に返金してしまうフローが提案されていました。これによって不正利用による被害額をすこしでも削減できるとのことです。また、条件分岐とメール通知アクションを組み合わせることで、高額決済など迅速な異議申し立てや顧客への連絡が必要な場合には、チームに通知することもできるということです。</p><h3 id="hdce5707879">2. カスタム料金でのサブスクリプション申込フロー</h3><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/75145aad40a14e48a1ca1394af74f832/IMG_6477.jpg" alt="" width="5712" height="4284"></figure><p>大口契約など、顧客や案件ごとに料金を提示するケースでは、メールで請求書を送信する設定のサブスクリプションを自動生成するワークフローが作れます。このケースでは料金( Price )リソースの作成をトリガーにし、顧客やサブスクリプションの作成までを一気通貫するフローが紹介されていました。</p><h2 id="h5cccdb849a">ロードマップ</h2><p>セッションでは最後に大まかな製品ロードマップも紹介されていました。スライドをみると、年内にはリストデータを処理するためのループステップや、 3rd partyアクションを実行する機能が登場しそうです。 </p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/76db4e78c1f348ad8f3b0d17286f1cd5/IMG_6478.jpg" alt="" width="5712" height="4284"></figure><p>2026年以降になる見込みですが、バージョニングやスケジュール実行・ Human in the loop(人間による承認ステップ)などまでリリースされると、Stripe 内部で完結するワークフローはほぼ Workflows に集約する流れになってくるかもしれません。</p><p>また、3rd partyアクションによって、どんなアプリとの連携が可能になるのかも楽しみですね。</p><h2 id="ha214098e44">まとめ</h2><p>Stripe Workflowsはパブリックプレビューとして発表され、現在Stripeアカウント内で600以上のAPIアクションを自動化・調整することができます。イベントに応じて自動的にスケーリングする特性を持ち、Stripe内でほぼ無限のカスタマイズが可能になりました。</p><p>開発者にとっての最大のメリットは、基盤となる複雑な実装について心配する必要がなくなることでしょう。ビジネスロジックの構築とStripeのビジネスニーズへのカスタマイズに集中できるため、生産性向上が期待できます。</p><p>まだ公開プレビュー状態のため、リストデータを扱うことが難しいなど物足りなさを感じる部分はありそうです。しかしキーノートでの発表に加えて専用セッションまで用意されていることから、今後のアップデートや可能性には大きく期待できそうです。</p><p>ぜひみなさんも Workflows を試してみて、社内業務に使える場面がないかなどを話し合ってみてください。</p>

岡本 秀高

開発者