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Stripe が提供開始した AI 事業者向け LLM トークン請求機能で、価格変動とマージン管理の負担を自動化

<p>決済プラットフォームの Stripe が、大規模言語モデル(LLM)のトークン使用量に基づく請求機能の実験的プライベートプレビューを開始しました。この新機能は、AI アプリケーションを提供する事業者が直面する「モデル価格の頻繁な変動」「複数プロバイダーへの対応」「使用量ベース請求の実装」という三つの課題を一括で解決することを目指しています。</p><p>本記事では、<a href="https://x.com/miles_matthias/status/1973042651722289553" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Stripe 社員の Miles Matthias 氏による X(旧 Twitter)での発表投稿</a>と、<a href="https://docs.stripe.com/billing/token-billing" target="_blank" rel="noopener noreferrer">公式ドキュメントの内容</a>を基に、この新機能の仕組みと導入メリットについて解説します。</p><h2 id="h5a0955334a">AI 事業者が抱える請求管理の複雑さ</h2><p>AI アプリケーション事業者は、OpenAI、Anthropic、Google など複数の LLM プロバイダーの API を利用しながら、エンドユーザーへの請求を行う必要があります。しかし、この過程には複数の課題が存在します。</p><p>モデルの価格は頻繁に変動し、プロバイダーごとに価格体系も異なるでしょう。事業者が一定のマージンを確保しながら適切に請求するには、価格の監視、請求システムの更新、使用量の記録と集計という複雑な作業を継続的に実施しなければなりません。</p><p>Matthias 氏は投稿の中で、「モデル価格が絶えず変化し、多くのプロバイダーから複数のモデルを使用する場合、どうやって製品に集中できるでしょうか?」という問いを投げかけ、この課題の深刻さを指摘しています。</p><blockquote class="twitter-tweet" data-dnt="true" align="center"><p lang="en" dir="ltr">New for AI app devs: Billing for LLM tokens with <a href="https://twitter.com/stripe?ref_src=twsrc%5Etfw">@stripe</a><br><br>- Charge users for token usage (+X% margin)<br>- Call LLMs with our proxy API or via partners: <a href="https://twitter.com/OpenRouterAI?ref_src=twsrc%5Etfw">@OpenRouterAI</a>, <a href="https://twitter.com/Cloudflare?ref_src=twsrc%5Etfw">@cloudflare</a>, <a href="https://twitter.com/vercel?ref_src=twsrc%5Etfw">@vercel</a>, <a href="https://twitter.com/helicone_ai?ref_src=twsrc%5Etfw">@helicone_ai</a><br>- Update prices as models change costs<br><br>Get access here: <a href="https://t.co/5IMEWCRepx">https://t.co/5IMEWCRepx</a> <a href="https://t.co/7tykYg446W">pic.twitter.com/7tykYg446W</a></p>— Jeff Weinstein (@jeff_weinstein) <a href="https://twitter.com/jeff_weinstein/status/1973120000404644071?ref_src=twsrc%5Etfw">September 30, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <h2 id="hc9947d6588">新機能が解決する三つの問題</h2><p>Stripe の新機能は、AI 事業者が抱える請求管理の課題を三つの側面から解決するように設計されています。</p><p>まず、モデル価格の自動同期機能により、事業者が各プロバイダーの価格変動を追いかける必要がなくなります。Stripe ダッシュボード内で主要なモデルプロバイダー全体のトークン価格を一つのページで確認でき、価格情報は Stripe 側が最新に保つため、事業者側での監視作業が不要になります。プロバイダーの価格変更時には通知も受け取れるでしょう。</p><p>次に、マークアップ率を入力するだけで、Stripe が使用量ベース請求に必要な価格設定、メーター、レート構成を自動的に設定します。<a href="https://docs.stripe.com/billing/token-billing" target="_blank" rel="noopener noreferrer">公式ドキュメント</a>には「You only need to set your margin percentage to start using Usage-Based Billing」と記載されており、複雑な計算や価格プランの解読が不要になることが明示されています。</p><p>最後に、LLM プロキシまたは提携パートナー経由での使用量自動記録により、別途の請求 API 実装が不要になります。Matthias 氏は「LLM を接着作業なしで接続」できると表現し、実装の簡便性を強調しています。</p><p></p><h2 id="h54c95973cf">実装の仕組みと具体的な利用フロー</h2><p>新機能の利用は、大きく分けて三つのステップで構成されます。</p><h3 id="h1c1c3483a2">トークン価格を一元的に管理できる</h3><p>Stripe ダッシュボードの「Token prices」ページで、Google Vertex、その他の主要プロバイダーのモデル価格を一覧表示できます。Matthias 氏が投稿で公開したスクリーンショットには、Gemini 2.5 Flash Preview が入力トークン100万あたり0.15ドル、出力トークン100万あたり0.6ドルといった具体的な価格情報が表示されており、各モデルの入力・出力それぞれの単価を確認できることが分かります。</p><blockquote class="twitter-tweet" data-dnt="true" align="center" data-conversation="none"><p lang="en" dir="ltr">First things first – token prices in one place. We can now give you a single page within the Stripe Dashboard to see token prices across all of the popular model providers. We’ll keep it up to date, so you don’t need to chase. <a href="https://t.co/dpKkG65AQa">pic.twitter.com/dpKkG65AQa</a></p>— Miles (@miles_matthias) <a href="https://twitter.com/miles_matthias/status/1973042655623021053?ref_src=twsrc%5Etfw">September 30, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <h3 id="ha56973de7e">マークアップ率を設定すれば自動構成される</h3><p>料金プラン作成時に、希望するマークアップ率(例:30%)を設定すると、Stripe が使用量ベースの請求に必要なすべてのリソースを自動構成します。Matthias 氏が公開した「Premium Plan」設定画面のスクリーンショットでは、月次または年次のサービス期間、基本料金(例:20ドル)、マークアップ率(30%)を入力する項目が表示されており、これらの設定だけで請求システムが機能する仕組みです。</p><blockquote class="twitter-tweet" data-dnt="true" align="center" data-conversation="none"><p lang="en" dir="ltr">Set up billing in seconds: enter your token markup (e.g., 30%), submit, and we&apos;ll configure everything for usage-based billing with your business model. No math, no deciphering pricing plans vs rate cards vs meters—just give us a % and keep shipping. <a href="https://t.co/vWjkGbrcc5">pic.twitter.com/vWjkGbrcc5</a></p>— Miles (@miles_matthias) <a href="https://twitter.com/miles_matthias/status/1973042659444031651?ref_src=twsrc%5Etfw">September 30, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <p>公式ドキュメントでも「Enter your desired markup (for example, 30%). Click Submit and we&apos;ll configure the required Usage-Based Billing resources—prices, meters, and rate configuration」と明記されており、ワンクリックでの設定完了が可能でしょう。</p><h3 id="h9302f17759">LLM プロキシ経由でモデルを呼び出し、使用量を記録する</h3><p>実際のモデル呼び出しには、Stripe 独自の LLM プロキシエンドポイント(<a href="http://llm.stripe.com/chat/completions)を使用します。Matthias">llm.stripe.com/chat/completions)</a> を使用します。Matthias氏が投稿で公開した curl コマンドの例では、以下の情報を含む POST リクエストを送信します。</p><pre><code>curl https://llm.stripe.com/chat/completions \ -H &quot;Authorization: Bearer sk_test_...&quot; \ -H &quot;X-Stripe-Customer-Id: cus_...&quot; \ -H &quot;Content-Type: application/json&quot; \ -d &apos;{ &quot;model&quot;: &quot;google/gemini-2.5-flash&quot;, &quot;messages&quot;: [ { &quot;role&quot;: &quot;user&quot;, &quot;content&quot;: &quot;プロンプト内容&quot; } ] }&apos; </code></pre><p>このリクエストには、認証情報、顧客 ID、使用するモデル名、ユーザーのプロンプトが含まれます。Stripe がプロバイダーへの接続とプロンプトの処理を行い、レスポンスとともに使用トークン数(completion_tokens、prompt_tokens、total_tokens など)を返します。この使用量は自動的に記録され、設定されたマークアップ率に基づいて顧客に請求されるでしょう。</p><blockquote class="twitter-tweet" data-dnt="true" align="center" data-conversation="none"><p lang="en" dir="ltr">We handle the LLM connections to get your prompt response, and we automatically record your customer’s usage so they’ll get billed correctly. <a href="https://t.co/GtArxhivSO">pic.twitter.com/GtArxhivSO</a></p>— Miles (@miles_matthias) <a href="https://twitter.com/miles_matthias/status/1973042665928462421?ref_src=twsrc%5Etfw">September 30, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <p>公式ドキュメントには「We route to the provider, return the response, and attribute tokens by model and type」と記載されており、一度の API コールでモデル呼び出しと使用量記録が完結することが確認できます。</p><h2 id="hef46a370cc">既存の LLM プロキシサービスとの統合</h2><p>すでに他の LLM プロキシサービスを利用している事業者向けに、Stripe は主要なパートナーとの統合を提供しています。</p><p>Matthias 氏は投稿の中で、OpenRouter、Cloudflare、Vercel、Helicone とのパートナーシップに言及し、「これらのいずれかを使用している場合、私たちは使用量を自動的に記録して顧客を請求できます。追加の API コールは必要ありません」と説明しています。</p><p>これにより、既存の技術スタックを変更することなく、請求機能だけを Stripe に統合できる可能性があります。現在運用中のサービスにとって、移行コストを最小限に抑えながら請求管理を改善できる選択肢といえるでしょう。</p><h2 id="h95c4a422b3">従来の実装方法との違い</h2><p>この新機能を使わない場合、AI 事業者は以下の作業を個別に実施する必要があります。</p><p>各 LLM プロバイダーの API 仕様に従った統合コードの実装、トークン使用量を記録するシステムの構築、各プロバイダーの価格変動を監視し請求設定を更新する仕組みの維持、Stripe Billing API でのメーター作成と価格設定の実装といった複数の工程が発生します。</p><p>新機能では、これらがマークアップ率の設定とプロキシ経由の API コールという二つのステップに集約されるでしょう。公式ドキュメントには「Instead of maintaining an LLM integration and a billing integration, use our LLM proxy to call models and record metered usage in one request」と記載されており、統合の簡素化が明確に示されています。</p><h2 id="hf2b8e112e6">導入を検討すべき事業者の特徴</h2><p>この新機能から最も恩恵を受けると考えられるのは、以下のような特徴を持つ事業者です。</p><p>複数の LLM モデルやプロバイダーを使用している事業者にとって、価格管理の複雑さが軽減される可能性があります。使用量に応じた従量課金モデルを採用している事業者では、請求システムの実装負担が大幅に減少することが期待できるでしょう。また、限られた開発リソースを請求インフラではなく製品機能に集中させたい事業者にとって、この自動化は魅力的な選択肢となります。</p><p>一方で、単一モデルのみを使用する小規模サービスや、独自の複雑な価格戦略を持つ事業者にとっては、必ずしも最適な選択とはいえない場合もあります。</p><h2 id="h2675cab73f">プライベートプレビューへの参加方法</h2><p>現在、この機能は実験的プライベートプレビュー段階にあります。公式ドキュメントには「Billing for LLM tokens is a private preview feature, and we consider it experimental in nature」と明記されており、機能が実験的性質を持つことが示されています。</p><p>Matthias 氏は投稿で、「私たちは実験的なプライベートプレビュー中で、限界を押し広げて正直なフィードバックをくれるモチベーションのあるユーザーを探しています」と述べており、積極的に検証と率直な意見を提供できる事業者を求めています。</p><p>参加を希望する事業者は、Stripe の公式ドキュメントページからウェイトリストに登録できます。プレビュー段階であるため、機能の変更可能性を理解した上で参加を検討する必要があるでしょう。</p><p>参考:</p><ul><li><a href="https://x.com/miles_matthias/status/1973042671154573360" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Miles Matthias 氏の X 投稿(プレビュー参加呼びかけ)</a></li><li><a href="https://docs.stripe.com/billing/token-billing" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe 公式ドキュメント - Billing for LLM tokens</a></li></ul><h2 id="h9bd318b7c6">AI 事業の請求インフラ標準化への一歩</h2><p>Stripe の LLM トークン請求機能は、AI 事業者が直面する請求管理の複雑さを軽減する可能性を持つ取り組みです。価格の自動同期、マークアップの簡単な設定、使用量の自動記録という三つの要素により、事業者は請求インフラの構築と保守から一定程度解放され、製品開発により多くのリソースを割ける可能性があります。</p><p>特に注目される点は、既存の LLM プロキシサービスとの統合により、現在の技術スタックを大きく変更することなく導入を検討できることです。これは、すでに運用中のサービスにとって、移行コストを最小限に抑えながら請求機能を強化できる選択肢となりえます。</p><p>ただし、この機能は現在プライベートプレビュー段階にあり、実験的性質を持つことに留意が必要でしょう。Stripe は実装の限界を押し広げるユーザーからのフィードバックを求めており、参加者には積極的な検証と率直な意見提供が期待されています。</p><p>AI 市場の急速な成長と LLM の多様化が進む中、請求インフラの標準化と簡素化は、多くの事業者にとって重要な課題となっています。この取り組みがどのように発展し、AI 事業のスケーラビリティとビジネスモデルの柔軟性向上に寄与していくかは、今後の正式リリースと機能拡張の内容次第といえます。</p>

岡本 秀高

開発者

認証とサブスク決済:請求モデルに合致したデータ連携を設計しよう

<p>SaaS開発において、決済機能は特殊な位置にあります。基本機能とは直接関係なく、なくてもコア機能自体は動かせるため、「リソース最適化」の名目で組み込みを後回しにしがちです。「いざとなれば、別で請求書を出せばいい」という考えもよく聞かれます。</p><p>しかし、この考え方には大きな落とし穴があります。決済がないアプリは動くかもしれませんが、お金を生まないなら「会社の商品」ではありません。そして後から決済を組み込もうとすると、以下のような問題に直面します。</p><ul><li>プランごとの権限設定をどう実装するのか</li><li>契約情報はどこから取得するのか </li><li>追加のDBやデータモデルが必要になる</li><li>プラン変更の仕組みをどう構築するのか</li></ul><p><strong>重要なのは、実装はしなくとも決済を見据えた設計を心がけることです。</strong></p><h2 id="h6513b34e33">ありがちなハマりどころと考慮漏れ</h2><h3 id="h3e22eda184">契約主体の考慮漏れ</h3><p>ユーザーごと契約でリリースしたものの、見込み客から「法人契約が必要」と言われるケースです。個人向けに設計されたシステムを組織向けに拡張するのは、想像以上に困難な作業となります。</p><h3 id="heb2eb654d7">権限管理の考慮漏れ</h3><p>プランベースで権限管理を実装していたところ、大口顧客から個別のカスタム契約相談があるケース。標準プランでは対応できない要件が発生すると、システム全体の見直しが必要になることがあります。</p><p>決済では、顧客の商習慣や契約体系に応じたデータモデルや設計が必要となります。「担当者退職したので、契約者と決済内容をこのアカウントに移して」といった運用面での要求も珍しくありません。</p><h2 id="h914d158cc5">B2Bの取引・契約は開発者にとって複雑すぎる</h2><p>B2B SaaSで押さえておきたい要件として、以下の2つが特に重要です。</p><h3 id="hfeb6d78b4b">1. ユーザーと契約の分離</h3><p><strong>組織(Organization)の概念</strong></p><p>- ユーザーDBとは別のテーブルで管理</p><p>- サブスクや決済は組織に対して紐づける</p><p>- 個人の退職や異動に左右されない契約管理</p><h3 id="h331d8f56ce">2. 権限を独立管理 </h3><p><strong>Feature Flagの活用</strong></p><p>- プランと権限を別で管理</p><p>- 個別の権限付与に対応可能</p><p>- マーケティングや営業戦略に柔軟に対応</p><h2 id="h2590bfe44d">解決策としてのソリューション</h2><h3 id="hd86a9f3e32">Clerk Organization</h3><p>Clerk OrganizationはIDaaSのprebuilt組織機能として提供されています:</p><p>- ユーザーと別に組織管理機能を提供</p><p>- IDaaSに統合されていることで、DB設計の複雑さを回避</p><p>- <code>&lt;OrganizationProfile /&gt;</code> のような組み込み済みUIコンポーネント</p><pre><code>const { has } = await auth() const canAccessPremium = has({ plan: &apos;pro&apos; }) const isAdmin = has({ role: &apos;org:admin&apos; })</code></pre><h3 id="h458279e3f5"> <a href="http://Stigg.io">Stigg.io</a></h3><p><a href="http://Stigg.io">Stigg.io</a>は決済&amp;Entitlement SaaSとして以下の特徴があります。</p><p>- 契約やプランに対する権限の管理に特化</p><p>- APIやダッシュボードも提供 </p><p>- Stripeなどとも連携可能</p><pre><code>const entitlements = { // feature gate entitlement &apos;advanced-dashboards&apos;: {}, // configuration entitlement &apos;data-retention-days&apos;: { value: 14, }, // usage quota/limit entitlement &apos;file-storage-mb&apos;: { usage: 128, limit: 1024, }, }</code></pre><h2 id="h3e771ee65c">価格は変わる。絶対に</h2><p>AWS Kiro(AIエディタ)の価格変更のように、どんな大企業でも価格は二転三転させます。価格変更は避けられない現実として、システム設計時から考慮する必要があります。</p><h3 id="h07bd50b7b0">Stripe Subscription Schedule APIなどで価格改定に備える</h3><pre><code>const subscriptionSchedule = await stripe.subscriptionSchedules.create({ customer: &apos;cus_NcI8FsMbh0eFs&apos;, start_date: 1787130418, end_behavior: &apos;release&apos;, phases: [{ items: [{ price: &apos;price_1Mr3YcLkdIwHu7ixYOj2&apos;, quantity: 1, }], iterations: 12, }], })</code></pre><p>将来の価格変更に対応できる柔軟な設計を心がけることが重要です。</p><h2 id="h846d15e637">B2Cならもっとシンプルにできる?</h2><p>B2Cであっても、組織概念が必要になるケースがあります:</p><p><strong>家族契約のケース例</strong></p><p>- 知育アプリやサービス</p><p>- 見守りサービス </p><p>- 回線契約や施設利用など</p><p>「ユーザーはどんな契約をするだろうか?」を企画調査フェーズで必ず行うことが重要です。個人向けアプリでも、実際の利用形態を想定した設計が必要になります。</p><h2 id="h50a734545d">B2B SaaSは商習慣も重要なドメイン</h2><p>以下の3つのポイントを押さえることが重要です:</p><p>1. <strong>契約主体が個人か組織(法人)かは必ずチェック</strong></p><p>2. <strong>契約主体に合わせてユーザーDBと決済データなどの連携を設計すべし</strong> </p><p>3. <strong>マーケティングや営業戦略を踏まえると、プランと権限も別で管理することを推奨</strong></p><h2 id="h1d4713b59a">まとめ:ログインの先にある複雑さ</h2><p>認証とサブスクリプション決済の連携において、以下の点を理解しておくことが重要です。</p><p><strong>ログインユーザーと契約者/主体が常に同一人物とは限らない</strong></p><p>- 組織内の複数ユーザー</p><p>- 家族契約での利用者と契約者の違い</p><p>- 管理者の退職や交代への対応</p><p><strong>ユーザーとプランだけでなく、権限と組織についても設計を行おう</strong></p><p>- Feature Flagによる柔軟な権限管理</p><p>- 組織レベルでの契約管理</p><p>- カスタム要件への対応力</p><p><strong>設計・調査フェーズで「どう契約して、使われるか」も考慮しよう</strong></p><p>- 商習慣の理解</p><p>- 契約形態の多様性への対応</p><p>- 将来の価格変更への備え</p><p>認証の先にある複雑さを理解し、ビジネスの成長に合わせて拡張可能な設計を心がけることで、持続的な成長を支える技術基盤を構築できるでしょう。</p><p></p><div style="left: 0; width: 100%; height: 0; position: relative; padding-bottom: 56.2903%;"><iframe src="https://www.docswell.com/slide/Z37NVP/embed" style="top: 0; left: 0; width: 100%; height: 100%; position: absolute; border: 0;" allowfullscreen></iframe></div>

岡本 秀高

開発者

Stripeワークフローを使ったBacklog課題自動登録システムの構築

<p>決済システムを運用していると、決済エラーや課金失敗の通知を適切に管理することが重要な課題となります。これまでWebhookを使ったカスタム開発が一般的でしたが、Stripeから公開プレビューとしてリリースされたワークフロー機能を使えば、ノーコードで通知システムを構築できるようになりました。</p><p>今回は、Stripe ワークフローとBacklogの「メールによる課題登録」機能を組み合わせて、決済エラーを自動的にプロジェクト管理ツールに登録する仕組みを作ってみます。</p><h2 id="hf88f72e74b">Stripe ワークフローの概要</h2><p>Stripe ワークフローは、Stripeダッシュボード上でビジュアルビルダーを使ってタスクの自動化やカスタムフローを作成できる機能です。現在は公開プレビュー版として提供されており、コードを書くことなく複数ステップのプロセスを構築できます。</p><p>各ワークフローはトリガーとなるAPIイベントから始まり、条件ロジックを使った分岐処理や、複数のアクションを組み合わせた処理フローを作成できます。決済エラーが発生した時、特定の条件を満たした顧客に対してのみ処理を実行する、といった細かい制御も可能です。</p><p>特に便利なのが「Email team member」アクションで、ダッシュボードにアクセスできるユーザーに対してメール通知を送信できます。このメール機能を活用して、外部システムとの連携を実現していきます。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/5d7da5727c1f4aa08822f99093dc37d4/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-09-16%2015.16.02.png" alt="" width="970" height="309"></figure><h2 id="h1b071028e8">Backlogのメール課題登録機能</h2><p>Backlogには「メールによる課題登録」という機能があります。プロジェクト設定のインテグレーション画面から設定でき、専用のメールアドレスが発行されます。</p><p>このアドレスにメールを送信すると、件名がタスクタイトル、本文がタスク内容として自動的に課題が登録される仕組みです。</p><p></p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/ec4bd198aef24ae3a0c9e5eedd7c488e/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-09-16%2015.11.58.png" alt="" width="1152" height="164"></figure><p>この機能を使えば、Stripeワークフローからの通知メールを直接Backlogの課題として取り込むことができます。</p><h2 id="h2661198b93">実装手順</h2><h3 id="h0afaa7d2d3">Backlog側の設定</h3><p>まず、Backlogで課題登録用のメールアドレスを発行します。プロジェクト設定画面から「インテグレーション」→「メールによる課題登録」を選択し、設定を有効化します。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/6bb195c58bbe4807bba991247e0826d7/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-09-16%2015.11.54.png" alt="" width="2164" height="982"></figure><p>ここで発行されるメールアドレスをメモしておきます。</p><h3 id="h1a76888d04">Stripe側でのメールアドレス登録</h3><p>次に、Stripeのダッシュボードでチームメンバーとして、先ほどBacklogで発行したメールアドレスを登録します。新しいユーザーとして招待する形になり、確認メールがBacklogに課題として登録されるため、そこから確認リンクをクリックして登録を完了させます。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/bc9e0f1aeb464127914c56b20e34d56d/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-09-16%2015.12.50.png" alt="" width="1626" height="652"></figure><p>この際、適切な権限レベルを設定することが重要です。決済情報への過度なアクセス権限は与えない方が安全です。</p><h3 id="h677fed5eea">ワークフローの作成</h3><p>Stripeダッシュボードのワークフロー画面で新しいフローを作成します。トリガーとして適切なイベントを選択します。請求書の決済エラーであれば「Invoice payment failed」を選択するのが適切でしょう。</p><p></p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/901e6785ce8848e295fb1318691866f3/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-09-16%2015.17.48.png" alt="" width="741" height="272"></figure><p>トリガー選択後、「Add action」から「Email team member」を選択し、先ほど登録したBacklogのメールアドレスを指定します。</p><p></p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/cfba951763654423a85410ef0bc9f943/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-09-16%2015.18.50.png" alt="" width="433" height="325"></figure><h3 id="h8345744506">データの収集と通知内容の設定</h3><p>単純にエラーが発生したことを通知するだけでは実用的ではありません。「Append data」機能を使って、関連する情報を収集します。</p><p>顧客情報であれば「Customer ID」、請求書の詳細であれば「Invoice ID」、サブスクリプション関連であれば「Invoice Subscription ID」、決済試行回数なら「Invoice Attempt count」といったデータを追加できます。これらの情報がメール本文に含まれ、Backlogの課題内容として記録されます。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/ec2369c34199485a95e86f4bf3d38b09/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-09-16%2015.17.11.png" alt="" width="420" height="333"></figure><h3 id="he4aa62006e">条件分岐の設定</h3><p>すべてのエラーを通知すると課題が増えすぎる可能性があります。「Add condition」を使って、特定の条件を満たした場合のみ通知するよう設定できます。</p><p></p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/65b453802fd7438aa0b54e396515582d/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-09-16%2015.23.10.png" alt="" width="1369" height="517"></figure><p>例えば、決済リトライが2回目の時のみ通知する、リトライ回数が4回に達した時に緊急度の高い通知を送る、といった細かい制御が可能です。条件は「Attempt count is equal to 2」のような形で設定し、複数の条件をOR条件で組み合わせることもできます。</p><h2 id="hac96eb8127">現在の制限事項と将来の改善</h2><p>2025/09時点でのワークフロー機能には制限があります。最も大きな制約は、配列データの処理ができないことです。</p><p>請求内容の詳細や、サブスクリプションの契約データなど、オブジェクトの配列として格納されているデータをループ処理して通知内容に含めることができません。これは開発ロードマップに含まれているため、将来的には改善される見込みです。</p><p>現在この制約により、通知内容はテキストメールとして受信する内容と同程度の情報に留まり、構造化された詳細データの処理には限界があります。より高度な処理が必要な場合は、従来のWebhook + Lambda/Cloud Runといった開発アプローチが必要になるでしょう。</p><h2 id="ha214098e44">まとめ</h2><p>Stripeワークフローを使った通知システムは、従来のWebhook開発と比べて圧倒的に簡単に構築できます。ノーコードでありながら条件分岐も可能で、実用的なレベルの自動化が実現できました。</p><p>ただし、現時点では配列データの処理に制限があるため、複雑なデータ処理が必要な場合は従来の開発手法との使い分けが重要です。</p><p>Stripeの機能拡張は活発に行われており、この制限も近い将来解消される可能性が高いです。まずはシンプルな通知システムから始めて、機能拡張に合わせて段階的に高度化していくアプローチが現実的でしょう。</p><p>決済システムの運用において、エラー通知の自動化は重要な要素です。開発コストを抑えながら実用的な仕組みを構築したい場合、Stripeワークフローは有力な選択肢になりそうです。</p>

岡本 秀高

開発者

Stripe Sessions 2025 で発表・紹介された 7 つの SDK ・ API アップデート

<p>Stripe Session 2025 の開発者キーノートでは、本編内で詳細に解説できなかった新機能やアップデートについてまとめて紹介する時間が用意されていました。 ここでは、それらの新機能を詳しく見ていきましょう。</p><h2 id="h82479f7ebd">1. AIアシスタント (Stripe Docs)</h2><p>Stripeのドキュメントに新しいAIアシスタント機能が追加されました。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/7950161fe40b4d189cfed5b3688441ba/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-09-14%2015.17.29.png" alt="" width="1510" height="122"></figure><p>この機能により、Stripeの機能や実装・仕様についての調査に生成 AI を利用できるようになります。サイト内検索と異なり、文章で質問したり返答に対する追加の質問も行えるため、「ドキュメントの内容がわかりにくい・・・」と感じた時や、「どこに知りたい情報があるか、見当がつかない」と困った時などに相談すると良さそうです。</p><h2 id="h117a40dfc3">2. モデルコンテキストプロトコル (MCP) サーバー</h2><p>開発者がCursorやClaudなどのAIコーディングツールを使用する際、StripeのMCPサーバーを追加することで、LLMベースのコパイロットに新たな機能を提供できます。</p><ul><li>Stripe API呼び出しを開発者に代わって実行する機能</li><li>より豊富なStripeドキュメントライブラリへのアクセス</li></ul><p>ClaudeやCursorなどに組み込むことで、Stripeの組み込みだけでなく、テストデータの生成や調査などもスムーズに行えるようになりそうです。</p><h2 id="hf96be93464">3. エージェントSDK</h2><p>自作のAIエージェントを構築している開発者向けに、Stripeはエージェント用SDKを提供しています。このSDKは、カスタムエージェントがStripeツールを使用できるようにします。</p><ul><li>Stripe APIを利用した顧客やサブスクリプションデータの取得</li><li>返金処理や不正対策などの自動化</li><li>バーチャルカードの発行など</li></ul><p>これにより、自動化されたショッピングアシスタントや決済エージェントなど、革新的なユースケースが可能になります。</p><h2 id="h9107eef770">4. Stripeアプリの拡張機能</h2><p>アプリ開発者向けに、Stripeアプリがより自然にStripeダッシュボードに統合されるようになりました。</p><ul><li>大型コンポーネントの使用が可能に</li><li>詳細ページに直接アプリを表示してより豊かな対話を実現</li><li>Stripeとアプリの間の境界がより曖昧になり、シームレスな体験を提供</li></ul><p>これにより、サードパーティアプリがより統合され、自然な体験をユーザーに提供できるようになります。</p><h2 id="h73c1ecdec4">5. モバイル用コネクト埋め込みコンポーネント</h2><p>従来ウェブアプリでのみ利用可能だったStripe Connect埋め込みコンポーネントがモバイルでも利用可能になりました。</p><ul><li>数行のコードで完全にローカライズされたユーザーオンボーディングフローをアプリに追加可能</li><li>Stripe自身のモバイルアプリオンボーディング体験もこれらのコンポーネントを使用して短期間で少人数チームによって構築</li></ul><p>これにより、モバイルアプリ開発者はStripeの機能を迅速に統合し、プロフェッショナルなユーザー体験を提供できるようになります。</p><h2 id="hb15d40e6b2">6. Accounts V2</h2><p>複数のStripe製品を使用するユーザーは、これまで製品ごとに別々のユーザーレコードを管理する必要がありました。Accounts V2はこの問題を解決します。</p><ul><li>複数のAPIを単一のAPIに統合</li><li>より明確なデータ</li><li>重複レコードの排除</li><li>複数のユースケースでユーザーの残高を使用する機能</li></ul><p>これにより、複数のIDの管理やデータの同期が不要になり、開発者の負担が軽減されます。</p><h2 id="h56ace5548a">7. Payment ElementとCheckoutの統合</h2><p>CheckoutのシンプルさとElementsのUI柔軟性の両方を求める開発者のために、新たな統合が実現しました。</p><ul><li>Payment ElementがCheckout Sessions APIで動作するようになりました</li><li>モジュール式Elementsの柔軟性と、Checkout Sessions APIの導入のしやすさを組み合わせ</li><li>ABテスト、適応価格設定、税金計算などのCheckoutの組み込み機能を維持</li></ul><p>これにより、開発者はUIをカスタマイズしながらも、Checkoutの強力な機能を活用できるようになります。</p><h2 id="ha214098e44">まとめ</h2><p>一つ一つは細かい・小さなアップデートですが、決済やサブスクリプション・プラットフォームビジネスをオンラインで提供するために必要な機能の拡充や、開発・運用時に遭遇しがちなハマりどころ( Friction )を取り除くものばかりだったように感じます。</p><p>大きなアップデートや主要な変化への対応があってこそのカイゼンだと思いますが、これまで以上にオンラインでビジネスを始めるハードルが Stripe によって下がっていくのかもしれません。</p>

岡本 秀高

開発者

日本最速で Stripe Terminal の話をするイベントに参加してきました

<p>2025/09に開催されたStripe Tour Tokyoにて、ついにStripeが提供するオフライン決済機能である Stripe Terminal の日本上陸がアナウンスされました。</p><p>それを受けて開催されたイベント「<a href="https://nishinomiya.connpass.com/event/368493/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">国内最速。日本対応したStripe Terminalをさわって学ぼう!</a>」に参加してきました。</p><h2 id="h8ab40bfe45">主催者は、Stripe Capacitorプラグイン開発者</h2><p>このイベントは、西宮でCapacitorプラグインを複数開発されている<a href="https://www.rdlabo.jp/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">榊原さん</a>によって企画・開催されました。</p><p>榊原さんは、CapacitorというJavaScriptで開発したアプリをiOS / Androidむけにコンパイルできる OSS の日本語化や Stripe プラグインの開発に関われている方で、Capacitor Stripeプラグインに対する Stripe の OSS Sponsorship も受けられている方です。</p><div class="iframely-embed"><div class="iframely-responsive" style="height: 140px; padding-bottom: 0;"><a href="https://stripe.capacitorjs.jp/" data-iframely-url="https://cdn.iframe.ly/api/iframe?url=https%3A%2F%2Fstripe.capacitorjs.jp%2F&amp;key=c271a3ec77ff4aa44d5948170dd74161"></a></div></div><script async src="https://cdn.iframe.ly/embed.js" charset="utf-8"></script><h2 id="hac4a45e268">Terminalデバイスを広げながらのミニイベント</h2><p>イベントでは、アナウンスされたばかりの Stripe Terminal端末などを実際に動かしたり触ったりしながら、実装時の注意点やユースケースについて紹介・ディスカッションがありました。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/776ec709989142c19bc3376a8b5b7cf2/IMG_7374%202.jpg" alt="" width="3845" height="2344"></figure><p>特にプラグイン開発などで実際にTerminal端末を触ったことのある人ならではの知見だなと感じたのは、「<a href="https://docs.stripe.com/terminal/payments/connect-reader?reader-type=bluetooth#update-reader" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Terminal端末のOS更新</a>」についてのトピックでした。</p><p>Androidをベースにした端末などがリリースされていますが、OSアップデートをどのタイミングで、どうやって実行するかなどの制御が端末運用におけるハマりどころになるかもしれないとのことで、Terminal SDKを利用した更新制御などをアプリに組み込む必要があるかもしれないそうです。</p><p>ポップアップストアやハウスクリーニングなどの訪問系サービスなどで不定期に端末を利用する場合、決済をこれから行うという肝心な時に端末更新処理で5-15分待たされる・・・のようなことが起きないように、端末管理を行う必要があるそうです。</p><p>ちなみにStripeダッシュボードにも、端末更新などによる再起動時間を制御する設定項目がありました。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/b8c2a2a519cd4de8a18b64655a52186c/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-09-09%200.03.50.png" alt="" width="734" height="596"></figure><p>この辺りの制御などを考えると、すこし割高な印象がありますがインターネット接続に対応しているS700シリーズの購入や、Tap To Payに対応したアプリの開発などを検討する方が、中小企業などでは効率的かも・・・?と思いました。</p>

岡本 秀高

開発者

[Stripe Sessions レポート] AIエージェントと EC の未来と課題について

<p>Stripe Sessions 2025 では、AI エージェントの利活用や「エージェントコーマス」に関するディスカッション(ブレイクアウトセッション)が複数ありました。その中でも、Browserbase や /dev/agents の CEO・ Rye の Head of Ops そして Stripe の Product Lead が参加されたセッション「<a href="https://stripe.com/jp/sessions/2025/ai-agents-reshaping-the-way-we-buy-and-sell" target="_blank" rel="noopener noreferrer">AI agents: Reshaping the way we buy and sell</a>」について、この記事では簡単に紹介します。</p><h2 id="h53f73f8eb7"> EC サイトや消費者ニーズの現状</h2><p>このセッションでは、AIエージェントが消費者行動とeコマースの未来をどのように形作るか、企業はこれらの変化にどう対応すべきか、そして実践するためのネクストステップについてディスカッションがありました。</p><p>まず現在地点の確認として、消費者が AI をどのように活用しているかや、オンラインでの購入プロセスについて話題になりました。 日々最適化や研究が進められている EC の購入プロセスですが、まだまだ消費者が自身で考えたり行動したりするステップが残っています。パネリストは具体例として掃除機の購入プロセスを紹介されていました。新しい掃除機を購入するとなった場合、まずどの掃除機を買うべきかを比較調査します。その後候補に挙がった掃除機のうち、自身が思う適切な価格で購入できる商品やストアを探しにいきます。 EC サイトの購入フローに消費者がたどり着くまでの時点で、すでに彼らはいくつかのアクションや判断を求められています。</p><p>また、EC 事業者の視点でも、自動化 bot や AI エージェントに対する見方を変える必要性に迫られているそうです。これまでウェブサイトを訪れる bot といえば、検索サイトのインデックスか、それとも不正利用などを試みる悪意のあるシステムのどちらかでした。しかし現在では様々な AI エージェントがそれぞれに指示を出した消費者の疑問に応えようとして、 bot としてサイトにアクセスしてきます。そのため bot アクセスを一律に遮断するなどの不正対策を行なっている場合、今後増加するであろう AI エージェントによる商品検索などのシナリオから、自社の EC サイトが除外されてしまう可能性が生まれています。このように企業が bot やエージェントをどのように対応し、受け入れていくのかを考える必要に迫られています。</p><h2 id="h873478f688">EC サイトにおける AI エージェントの可能性と課題</h2><p>商品の選択や最適価格の調査など、消費者がオンラインで買い物をする際に行なっている様々なタスクを、 AI エージェントはどのように効率化してくれるでしょうか? Sessions 2025 の Product Keynote でデモがあったように、すでに AI エージェントを使って商品の検索や注文を試みる仕組みやデモなどは登場しつつあります。</p><div style="left: 0; width: 100%; height: 0; position: relative; padding-bottom: 56.25%;"><iframe src="https://www.youtube.com/embed/bVQwIZYk9UM?rel=0" style="top: 0; left: 0; width: 100%; height: 100%; position: absolute; border: 0;" allowfullscreen scrolling="no" allow="accelerometer *; clipboard-write *; encrypted-media *; gyroscope *; picture-in-picture *; web-share *;"></iframe></div><p>しかし一方でまだまだ課題も残されています。ディスカッションのなかでは、「<strong>人間が自分で行うよりも迅速で楽しい体験を提供する必要がある</strong>」ことが指摘されていました。購入を提案する商品の選択精度はもちろん、処理時間がかかりすぎる場合にも、「自分でやったほうがよい」と消費者が判断してしまうことになります。パネリストはセッションの中で、「人間が自分でやるよりも遅いシステムより悪いものはありません。AIエージェントはユーザーに対して、より楽しく、効率的な体験を提供する必要があるのです」とも話されていました。このような課題を解決できるかが、エージェントコマース普及に向けたキーポイントの1つになりそうです。</p><p>また、ユーザー体験についての可能性と課題についても話題になりました。すべてを AI が実施するのではなく、買い物の中で消費者が楽しみたいと思っている部分や体験については残し、退屈な作業になりがちな部分の自動化にフォーカスする必要があるということです。セッションを聞いていた感想としては、EC における AI エージェントは百貨店の外商のような体験を提供するようになるのかなと思いました。顧客のことをよく理解し、忘れているであることや繰り返し実行しているタスクなどを裏側で自動的に実行する。それによって買い物というアクティビティを 100 % 楽しめるような体験を提供することが理想系に感じます。</p><h2 id="hd19e63d70c">AI によって変わる買い物体験</h2><p>続いてユーザー体験や買い物のあり方が今後どのように変わるかのディスカッションに移りました。</p><h3 id="h0b60fb45d9">AI ネイティブなストアが生まれる可能性</h3><p>まず話題になったのは「クラウドキッチン」(実店舗を持たず、デリバリーのみに特化したレストラン)の EC 版が生まれる可能性についてです。実店舗やウェブサイトを持たず、AIエージェント向けのインターフェースのみを提供する新種の小売業者が登場するかもしれません。現在ですと、 MCP サーバーのみ提供するようなイメージでしょうか。このような新しい注文体験やモールなども、この後登場し、買い物の体験が変わってくる可能性もありそうです。</p><h3 id="h21954e3a4a">パーソナライゼーションの強化</h3><p>また、パーソナライズについての話題もありました。現在の検索エンジンでは「無限の検索結果の1ページ目」が表示されるだけですが、AIエージェントはユーザーの好みや過去の行動に基づいて高度にパーソナライズされた提案を行うことができます。これによって商品を効率的に探すことがかのうになり、顧客満足度が大幅に向上する可能性があります。ユーザーにとっては、より自分に合った商品との出会いが増えることになります。</p><h3 id="hde22313f52">買い忘れの予防によるカゴ落ち率改善</h3><p>もう一つの話題は、「買い忘れ」についてでした。「そろそろ買おうと思っていたけど、なんだかんだ買わずに過ごしてしまっている」ような体験は誰しもあると思います。日用品の買い物もですが、誕生日や祝い事のギフトを買い忘れて慌てるということも経験したことはあるのではないでしょうか。このような買い忘れ問題についても、 AI エージェントがお知らせするだけでなく、商品の選定や提案・購入まで行ってくれるようになることで、人間にありがちなうっかりミスを減らせるのではないかという話題がありました。</p><h3 id="hb4baac47d0">ユーザーの制御感と便利さのトレードオフ</h3><p>しかし一方ですべてを AI エージェントに任せることへの疑問も提示されました。ユーザーは買い物における全てのステップを煩雑に感じたり、AI に任せたいと考えているのかについて、事前に検証する必要があります。例えば候補の絞り込みまでは AI が行い、最終的にどの商品にするかの決断や色やオプションなどの選択は人間が行うようなフローも考えられます。このステップをギフトや嗜好品などで自動化すると、却って顧客の買い物体験を損なうのではないかという指摘がありました。反面、オフィスの消耗品などであれば、あらかじめ設定した予算枠の範囲内で必要な量だけを選択して注文できる完全自律型の AI エージェントは非常に重宝されるでしょう。このように、 AI が自動化する範囲と人間への判断を求める部分とのバランスをストアやユースケースごとに見極めていくことが重要だということです。</p><p>また、購入フローを自動化した場合には、「顧客はどのような操作を取り消しできるか」についても設計や説明する必要があるという指摘もありました。顧客が望んでいないものを購入し、それが取り消しできないという体験は、エージェントに対してだけでなく、ストアやブランドに対しても悪印象を持たれてしまいます。高額な決済などの重要な決断についてはユーザーへの確認を求める、エージェントが自律的に購入まで行うかどうかや、自動購入の閾値を設定できるような仕組みなども今後はうまれてくる可能性があります。このような仕組みを用意することで、エージェントによる意図しない購入から生まれる大量の返品といったストア側のリスクも軽減できます。</p><p>先のディスカッションであった、「<strong>人間が自分で行うよりも迅速で楽しい体験を提供する必要がある</strong>」を念頭に置いたユーザー体験の設計から行うことが、もしかするとエージェントコマースを成功させる鍵になるかもしれません。そしてこのような設計を行うには、消費者がいる場所で消費者と会って会話する、顧客理解の必要性が高まってきているという話にも広がりました。</p><h2 id="h6fbe578c33">エージェントコマースのユースケース</h2><p>この他、エージェントコマースの実用的なユースケースについてのディスカッションもありました。</p><p><strong>エージェントコマースによる、新しい購入体験</strong></p><p>まず紹介されたのは、AIエージェントによる予算管理です。「1日にX円まで使用可能で、予算オーバーの場合はテキストで連絡」といったルールや条件を設定することで、ユーザーは支出を気にせず買い物を楽しめるようになります。これはオフィスの消耗品や家庭での日用品などで重宝される可能性が高そうです。また、発展系として予算だけでなく消費量や残高をチェックすることで定期的な再注文までも自動化する方法についても言及がありました。このあたりは<a href="https://developer.amazon.com/ja/docs/dash/ja-dash-replenishment-overview.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer"> Amazon の Dash Replenishment </a>などが、先行事例やベンチマークになるかもしれません。</p><p><strong>注文処理フローの自動化</strong></p><p>さらに、カスタマーサポートから返金処理まで、EC における注文や顧客体験フローでAIエージェントが担うシステムについても提案がありました。<a href="https://fin.ai/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Intercom の Fin </a>などはすでに AI によるキャンセル・返金などもサポートしており、業務改善の一環や、 AI エージェントを導入する第一歩目としても注目が集まりそうです。</p><h2 id="h2ec2fcd3d3"><strong>エージェントコマース時代に向けた next action</strong></h2><p>最後に、現実的な次のステップについてのディスカッションがありました。ストア側では、先ほど提案のあったようなユースケースについて、 PoC レベルでの実証実験や新しい販売チャネルとしての検討を進めることが提案されました。また、開発者に対しては、 <a href="https://docs.stripe.com/agents?locale=ja-JP#online-purchasing" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Stripe が開発者プレビューで提供する新しい購入フロー</a>をテストしてみるなど、社内でエージェントによるコマース体験について話し合うための実物を作ってみることがお勧めされていました。</p><p>また、遠い将来の話として、 AI が人間と同じかそれ以上のことをできるようになった世界についての話もありました。そのような世界になった場合、ウェブサイトやアプリの操作性は全く新しいものに変わり、それによってウェブは再び「人間のためのもの」になるかもしれないとのことです。</p><p>個人的な感想ですが、エージェント的な振る舞いを簡単に試せる MCP を利用して、 PoC やデモを作ってみることが、エージェントコマースの未来を覗き見る簡単な方法かもしれません。</p><h2 id="ha214098e44">まとめ</h2><p>このセッションでは、AI や AI エージェントの発達と普及によって、 EC サイトでの体験やストア側のワークフロー・そしてオンラインでの購入体験そのものがどのように変わっていくかのディスカッションが行われました。すべてを AI にまかせるのではなく、「ユーザーはストアでどのような体験を楽しみたいか?」を意識すべきという点は、開発者としてハッとさせられた点です。どうしても新しい技術やツールなどを学ぶ・手に入れると、すべてのものに適用してみたくなります。しかし自動化や効率化を「顧客が楽しみたいと思っている機会を奪う」ために使うことは、本末転倒です。「 AI をどう使うか。取り入れるか」も重要ですが、「そもそも顧客はなにを楽しみたいと思っていて、なにを煩わしいと思っているか」を理解することを第一に置く必要があるでしょう。</p><p>AI や自動化に関するセッションの中で、最終的に「顧客理解」やそのための顧客との対話の重要性を再確認できたという点も興味深い体験でした。 AI による変革は不可避な流れに感じます。しかし全てのルールが変わり、今までの経験が活かせなくなるというわけではなく、むしろ顧客や事業・プロダクトなどに対する理解がある人がより有利になる世界になるような気がしました。</p><p>「こういうことができたら、もっと喜んでもらえそう」「ここステップ、煩雑だけどどう解消すればいいかわからないなぁ」のような業務の中で感じた小さなモヤモヤを記録して、 AI ならどう解決できるかを試行錯誤する。そんなところからでも、変革がはじまるかもしれませんね。</p><div class="iframely-embed"><div class="iframely-responsive" style="height: 140px; padding-bottom: 0;"><a href="https://stripe.com/jp/sessions/2025/ai-agents-reshaping-the-way-we-buy-and-sell" data-iframely-url="https://cdn.iframe.ly/api/iframe?url=https%3A%2F%2Fstripe.com%2Fjp%2Fsessions%2F2025%2Fai-agents-reshaping-the-way-we-buy-and-sell&amp;key=c271a3ec77ff4aa44d5948170dd74161"></a></div></div><script async src="https://cdn.iframe.ly/embed.js" charset="utf-8"></script>

岡本 秀高

開発者

[ Stripe Sessions 2025 セッションレポート] プログラマブルに決済・収益エンジンを実装する

<p>Stripe Sessions 2025 のプロダクトキーノートでは、 Stripe のサブスクリプション商品「 Stripe Billing 」についても複数のアップデートがありました。この記事では、アップデート内容だけでなく、キーノート内で紹介されたトピックについても紹介します。</p><h2 id="h1cb4cbf75f">2024 年から Billing とその環境はどうかわったか?</h2><p>2024 年の Stripe Sessions では、 生成 AI などを利用したサービスでの利用に対応した新しい「使用量ベース課金(Usage-Based Billing)」を発表しました。これは毎秒最大 10 万イベントを処理することができ、リアルタイムの使用量に応じた課金を実現できる新機能でした。</p><p>この機能がリリースされた後、多くの企業はさらに一歩進んだ課金モデルを模索していたことが判明しました。例えばIntercom では、「作成されるサポートケース数」に基づいた成果報酬型の課金モデルの「 <a href="https://fin.ai/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Fin AI Agent</a> 」提供開始しました。このような実際のビジネス成果に基づいた課金を実現したいというニーズが企業にはあることが、前回の Stripe Sessions から今回の Sessions 開催までに判明したことだということです。</p><p>また、多くのSaaSやAIサービス提供企業は大きな課題を抱えています。それは収益の予測可能性です。顧客獲得を加速するために企業は無料使用枠を提供したり、無料で試す間は支払い情報の入力を省略したりすることがあります。しかしこのような施策を行うと、生成 AI などの使用量ベースで提供するサービスにおいては、リアルタイムでの使用量の追跡やそれに伴うスムーズな請求の開始が難しくなります。また、決済情報の入力がないため、無料プラン・トライアルからのコンバージョンが難しくなるなどの問題があります。結果として企業は収益の予測や顧客の使用量把握が難しくなります。また、顧客の視点でも、無料使用枠を超えた際に突然サービスが停止されたり、予期しないタイミングで支払いが発生したりすることで、サービス利用体験が損なわれる可能性があります。</p><p>このような企業の課題に対応するため、Stripe は決済や請求体験とワークフローを拡張する新しいプリミティブを 2 つ発表しました。</p><h2 id="hcc3ab3b98e">Product Keynote で発表された Billing 関連の新機能</h2><h3 id="ha8250efc02">1. Stripe Workflows - ノーコードに実装できるワークフローエンジン</h3><p>1つ目の新機能は、ノーコードのワークフロー機能「 Stripe Workflows 」でした。これは Stripe 内のワークフローをビジュアルエディタで構築・デプロイ・デバッグできる機能で、決済や請求管理に関するワークフローをコードなしに実現できるようになります。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/c5efd3a434bd426281db13e58135e79f/IMG_6467.jpg" alt="" width="4032" height="3024"></figure><p>これまでStripeの機能をカスタマイズするには、APIとWebhookを使って独自のコードを書く必要がありました。そのため、開発リソースの確保やコードの保守管理など、業務を効率化するための事前調整が何ステップも必要でした。しかしこの Stripe Workflows を使うことで、これらの調整なしにワークフローを構築・テストできるようになります。</p><p>ワークフローはトリガーベースで実行でき、使用量アラート・支払い失敗・サブスクリプション更新など、様々なイベントから実行できます。また複数のアクションを順番に実行したり、条件による分岐も可能です。</p><p>その具体的なユースケースとして、多くのSaaS企業、とりわけAIサービス提供企業が直面するフリーミアムモデルにおける請求管理フローの効率化が挙げられました。ユーザーに無料枠を提供し、サインアップ時に支払い情報を必須としない場合、ユーザーが無料枠を超過した際に、サービスを停止するか、あるいは無料で提供し続けるかの選択を迫られるという課題があります。</p><p>Stripe Workflowsはこの課題を解決するために活用できます。Stripe Billing機能で使用量アラートを設定し(例:500トークン)、そのアラートをWorkflowsのトリガーとすることで、一連の請求プロセスを自動化できます。Workflowsはトリガー後、自動的に顧客情報を取得し、顧客が支払い情報を登録済みであるかを確認します。支払い情報がある場合は、自動的に請求書を生成・請求し、サブスクリプションを自動設定することが可能になります。</p><p>このように、Workflowsを活用することで、ユーザーはサービスの中断なく利用を続けられます。ビジネス側も請求対応で遅延が生じない上に、顧客体験を損なわずに有料モデルへスムーズに移行できるようになります。これは、企業がこれまで自社で構築していた煩雑なプロセスをStripeにオフロードできる機能としても強調されました。なお、WorkflowsはBillingだけでなく、Stripe全体で使用可能です。</p><ul><li><a href="https://revtrona.hidetaka.dev/blogs/stripe-sessions-announcement-stripe-workflows">[ Stripe Sessions レポート ] ノーコードで請求管理フローを構築できる「 Stripe Workflows 」が公開プレビューになりました</a></li><li><a href="https://revtrona.hidetaka.dev/blogs/sessions-2025-breakout-about-workflows">Stripe Workflows が発表されたので、セッションで詳細を聞いてきました</a></li></ul><h3 id="h0f74678ff7">2. Stripe Scripts - Stripe自体をカスタマイズ</h3><p>2つ目のアナウンスは、「 Stripe Scripts 」です。これは企業固有のロジックに合わせてStripe自体の動作をカスタマイズできる機能です。Stripe Billingのコアエンジンを含む様々な機能を変更でき、従来はカスタム開発が必要だった課題に対応します。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/13f26ddea1b54fb2bc3eb023d7187067/IMG_6394.jpg" alt="" width="5712" height="4284"></figure><p>デモでは割引設定のカスタマイズが紹介され、100トークン以上で10%、200トークン以上で20%というボリューム割引をコード実装する例が示されました。テンプレートから選択することも可能で、作成したコードはStripe内でホスティング・実行されます。</p><p>この機能の特長は、WebhookやミドルウェアではなくStripe内部で直接動作する点です。Workflowsが製品間連携を定義するのに対し、ScriptsはStripeの内部動作そのものを変更できます。将来的には、日割り計算や請求書発行など、Billingの様々な側面をカスタマイズできるようになる見込みです。</p><ul><li><a href="https://revtrona.hidetaka.dev/blogs/stripe-sessions-announcement-stripe-scripts-beta">[ Stripe Sessions レポート ] Stripe 上で任意のスクリプトコードを実行できる新機能「 Stripe Scripts 」が非公開プレビューで登場!</a></li></ul><h3 id="h4bb6a411e9">3. Stripe Tax がグローバルに対応した大幅アップデート</h3><p>また、Stripe Taxの大幅な機能拡充も発表されました。対応国が57カ国から102カ国へと拡大し、多くのユーザーから要望のあったグローバル税登録と申告機能が新たに追加されています。</p><p>Stripe Taxは税金管理のプロセス全体をカバーし、監視から登録、徴収、申告までをエンドツーエンドで提供します。複雑な国際税務コンプライアンスを自動化することで、企業はグローバル展開をスムーズに進めながら、法令遵守も確実に行えるようになりました。</p><h2 id="hc0d3fbd6c1">AIビジネスにもたらす重要な意義</h2><p>今回のアップデートは、AI を利用したサービスを提供する企業にとって大きなインパクトがあります。Cursor、Perplexity、OpenAI、Anthropic、DecaGon、11 Labs、Midjourneyといった著名なAI企業がすでにStripe Billingを採用しています。また、NVIDIAに至っては、\わずか6週間で全サブスクリプションをStripe Billingへ移行させたとのことで、セッション内にてこの数字が発表された時は会場内に驚きの声もあがりました。</p><p>AIビジネスは独特の課題を抱えています。トークン数や推論時間などに基づく複雑な課金モデルが必要となることがあります。また、新しいモデルや機能が頻繁に追加され、価格体系も絶えず変化します。さらに、無料プランを利用する個人から大規模な契約を結ぶ企業まで、幅広い顧客層に対応しなければなりません。</p><p>このようなAIビジネス特有の課題を、今回発表された3つのアップデートは解決します。Workflowsはリアルタイムの使用量監視に基づいた自動アクションを可能にします。Scriptsを使えば、複雑な割引ルールなど、企業独自のビジネスロジックをコードで実装でき、カスタマイズが容易になるでしょう。機能が拡充されたStripe Taxは、グローバル展開における複雑な税務コンプライアンスの自動化をサポートします。これらの機能によって、AI企業は収益管理の複雑さから解放され、より速い成長を実現できるかもしれません。</p><h2 id="h7dabb5418b">今後の展望</h2><p>Stripeの最新アップデートは、収益管理のあり方を根本から変える可能性を秘めています。特に急速な進化を遂げるAIサービスのような分野では、WorkflowsとScriptsという2つの強力な拡張基盤が競争力の維持・強化に不可欠になるかもしれません。</p><p>Stripeが真のプログラマブルな収益エンジンとして、各企業のビジネスに合わせた柔軟なカスタマイズを可能にした今、これらの新機能を活用して収益オペレーションを次のレベルに引き上げる絶好の機会が訪れています。</p>

岡本 秀高

開発者

Stripe Sessions 2025 で、 複数のPSPをまとめて管理できる Stripe Orchestration が発表されました

<p>Stripe Sessions 2025 のプロダクトキーノートにて、 Stripe Orchestration が発表されました。これは複数の決済プロバイダー( PSP )を Stripe 上でまとめて管理し、通貨やカードの発行国・カード発行会社などの情報を元に利用する PSP を選択できる機能です。これによって複数の国や地域に展開しているサービスで、エリアごとに最適な PSP を利用することができるようになります。</p><blockquote class="twitter-tweet" data-dnt="true" align="center"><p lang="en" dir="ltr">We’ve launched Stripe Orchestration! Route payments to multiple processors and monitor performance from your dashboard. See the demo.<a href="https://t.co/TiqDcAT1Ns">https://t.co/TiqDcAT1Ns</a> <a href="https://t.co/00TSAij817">pic.twitter.com/00TSAij817</a></p>— Roshan Sadanani (@blattus) <a href="https://twitter.com/blattus/status/1920245368861639035?ref_src=twsrc%5Etfw">May 7, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <h2 id="h8ae94e51cc">PSP から決済オーケストレーターへ</h2><p>国や地域、顧客の使用したカード・決済手段などによって、決済成功率や手数料コストなどを最適化できるプロバイダーを選択できるようにすることは、 EC / SaaS 企業にとって収益を最大化する上で重要な課題です。しかし複数の PSP を併用した決済システムを構築すると、取引データや決済履歴などの情報が PSP ごとに散逸してしまいます。そのため、パフォーマンスの高い PSP がどれかや、会計・ビジネス上のデータ分析などを行うためにはデータ分析基盤の構築などが必要でした。また、アプリケーションの実装コードも複雑化するため、結果的に保守コストで相殺されてしまうリスクも存在します。</p><p>そこで注目を集めているのが決済オーケストレーションです。PSP の選択や振り分けといったルーティングから、成功率や処理時間などのパフォーマンス分析まで、最適な決済処理を実現させるための仕組みを構築することで、追加開発やデータ収集・管理のコストやリスクを最小化することができます。このような決済オーケストレーションのグローバル市場は2022年に11億ドルといわれています。また、2023年から2030年にかけて年間成長率24.7%で拡大すると予測されています。</p><p>Stripe はこの決済オーケストレーションについても、サポートを開始するとイベントでアナウンスしました。</p><div style="left: 0; width: 100%; height: 0; position: relative; padding-bottom: 56.25%;"><iframe src="https://www.youtube.com/embed/XZnzZgaGbYY?rel=0" style="top: 0; left: 0; width: 100%; height: 100%; position: absolute; border: 0;" allowfullscreen scrolling="no" allow="accelerometer *; clipboard-write *; encrypted-media *; gyroscope *; picture-in-picture *; web-share *;"></iframe></div><h3 id="h368822410f">ダッシュボードから振り分けルールなどを設定</h3><p>オーケストレーションの設定は、ダッシュボードから行えるとのことです。ルールの設定によって、カード発行国、通貨、発行者などさまざまな条件に基づいて取引を最適な PSP に振り分けることができます。たとえば、EURでの支払いを特定の PSP に送り、その他すべての支払いをStripeで処理するといった設定も可能です。また、各プロバイダーの成功率や処理時間などを一元的に分析し、比較できるため、状況に応じた最適なプロバイダーの選択が容易になります。この機能により、どのプロバイダーがどのような状況で効果を発揮するかを把握できるでしょう。</p><h3 id="hf0f649c7d9">一貫した開発・顧客体験</h3><p>バックエンドでどの PSP を使用していても、顧客には Stripe が提供する決済フォームや決済体験を提供できます。そのため、決済フォームの UI や実装コードなどが複雑になることもありません。ドキュメントによると、オーケストレーションを利用するかどうかのパラメータを1つ追加するだけで対応できる様子です。</p><figure><a href="https://docs.stripe.com/payments/orchestration/route-payments" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow"><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/643f92d4014b4800a1726993337073e5/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-21%207.31.54.png" alt="" width="1112" height="414"></a><figcaption>https://docs.stripe.com/payments/orchestration/route-payments</figcaption></figure><h2 id="hac88d02ca0">Stripe Orchestration は非公開プレビューにて提供中</h2><p>Stripe Orchestration を利用するには、<a href="https://docs.stripe.com/payments/orchestration" target="_blank" rel="noopener noreferrer"> 2025 / 05 時点では事前の申請</a>が必要です。</p><figure><a href="https://docs.stripe.com/payments/orchestration" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow"><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/fe9d580b634b44c0a529c2d506d896c4/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-21%207.34.15.png" alt="" width="1474" height="834"></a><figcaption>https://docs.stripe.com/payments/orchestration</figcaption></figure><p>また、発表された情報によると、現在はクレジットカードの処理のみをサポートするとのことでした。国や地域ごとにある様々な決済手段についてもサポートされるかどうかは、今後注目していきたいところです。</p><h2 id="hced736a8b0">関連ドキュメントはこちら</h2><ul><li><a href="https://docs.stripe.com/payments/orchestration" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe Orchestrationドキュメント</a></li><li><a href="https://stripe.com/resources/more/what-is-payment-orchestration-what-businesses-need-to-know" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Orchestrationの概要</a></li><li><a href="https://stripe.com/newsroom/news/sessions-2025" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe Sessions 2025発表</a></li></ul>

岡本 秀高

開発者

週刊 Stripe

週刊 Stripe:AIが変える決済の未来 - AI スタートアップの成功事例と新機能をざっくりキャッチアップ

<p>Revtrona の新しい取り組みとして、 Stipe や FinTech に関する様々な情報をまとめてお知らせする「 週刊 Stripe 」を開始します。1回目となる今回は、 AI スタートアップによる Stripe の活用事例やノーコードで実現できる新しいワークフロー機能、そしてクレジットカードでの分割払いに関する学習コンテンツなどについて紹介します。</p><h2 id="hb47b2ae012">2025年5月11日~5月18日の Stripe 開発者向け最新アップデート</h2><p>まずは開発者向けのアップデートについて紹介します。ここで紹介する内容は、Stripeの開発者ドキュメントサイトに新しく追加されたページの情報を元に紹介します。</p><h3 id="h59b31e1425">1. Workflows 機能</h3><p><strong>コードを書かずに、特定の Stripe イベントをトリガーとしたタスクやプロセスを自動化</strong>できる新機能 Workflows が登場しました。Stripe ダッシュボード上で視覚的にワークフローを設計することで、開発メンバー以外の社員でも決済や請求管理に関する業務フローを自動化できます。</p><p>Workflows の構成要素は大きく分けて4つ存在します。</p><ul><li><strong>トリガー</strong>: 特定の Stripe API イベント(顧客作成、決済成功など)でワークフローを自動開始</li><li><strong>ステップ</strong>: トリガー後に順次実行される処理(アクションまたは条件)</li><li><strong>アクション</strong>: 自動実行されるタスク(返金処理、チームメンバーへのメール送信、顧客情報の更新など)</li><li><strong>条件</strong>: データに基づいてワークフローの進行を制御するロジック</li></ul><p>なお、同時に有効化にできるワークフローは最大6個までで、有効化していないものも含めると最大20個まで作成可能です。</p><ul><li><a href="https://docs.stripe.com/workflows" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">https://docs.stripe.com/workflows</a></li><li><a href="https://docs.stripe.com/workflows/use-cases">https://docs.stripe.com/workflows/use-cases</a></li><li><a href="https://docs.stripe.com/workflows/define-workflows">https://docs.stripe.com/workflows/define-workflows</a></li><li><a href="https://docs.stripe.com/workflows/set-up">https://docs.stripe.com/workflows/set-up</a></li></ul><h3 id="he7fba657e8">2. Stripe Apps 向け OnboardingView コンポーネント</h3><p>Stripe Dashboard 上で動作するカスタムアプリケーションである <strong>Stripe Apps で、オンボーディングフローを構築するための標準 UI コンポーネント </strong><code>OnboardingView</code> が追加されました。これは現在プレビュー公開中の v9 系から利用できます。</p><p>このコンポーネントは、オンボーディングタスクのリストを表示する左サイドバーと、現在のステップのコンテンツを表示するメインコンテンツエリアという、事前定義された構造を提供します。利用する際は <code>@stripe/ui-extension-sdk/ui</code> から <code>OnboardingView</code> をインポートして使用します。</p><p>Stripe Apps を開発する際に、このコンポーネントを活用することでオンボーディングUIの構築にかかる手間を大幅に削減できるでしょう。標準化された見た目と構造で、ユーザーに分かりやすいオンボーディングフローを提供しやすくなります。</p><ul><li><a href="https://docs.stripe.com/stripe-apps/components/onboardingview?app-sdk-version=9">https://docs.stripe.com/stripe-apps/components/onboardingview?app-sdk-version=9</a></li></ul><h3 id="h88de450f76">3. Stripe Terminal が QR コード決済に対応</h3><p>これまで主にカード決済に対応していた <strong>Stripe Terminal のスマートリーダー(Stripe Reader S700、BBPOS WisePOS E)で、新たに QR コードを表示して非カード決済を受け付け</strong>られるようになりました。現在サポートされている支払い方法は <strong>WeChat Pay と Affirm(BNPL)</strong>です。</p><p>実装方法としては、PaymentIntent を作成する際に <code>payment_method_types</code> パラメータに <code>affirm</code> や <code>wechat_pay</code> を含めることで、QR コード決済を有効化できます。</p><ul><li><a href="https://docs.stripe.com/terminal/payments/additional-payment-methods">https://docs.stripe.com/terminal/payments/additional-payment-methods</a></li></ul><h3 id="hb0f475059e">4. Stripe-Context ヘッダーの導入</h3><p>API リクエストを、API キーを生成したアカウント以外の関連アカウントのコンテキストで実行するための新しいヘッダーとして、<strong>Stripe-Context ヘッダーが導入</strong>されました。これは、Stripe Connect の連結アカウントでの操作に使用されていた Stripe-Account ヘッダーの代わりとして導入されるとのことです。</p><p><a href="https://docs.stripe.com/context" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">https://docs.stripe.com/context</a></p><p>なお、<code>Stripe-Context</code> ヘッダーは <code>Stripe-Account</code> ヘッダーよりも優先されるとのことです。一時的に併用になる場合などでは、この優先順位に注意しましょう。</p><h2 id="hfa2dc0f9be">📈 実際の成功事例やガイド記事から学ぶ</h2><p>Stripe のウェブサイトには、製品機能の紹介や価格だけでなく、様々な企業での活用ストーリーやビジネスに関連するガイド記事が公開されています。先週公開された事例やガイド記事について、簡単にみていきましょう。</p><h3 id="hebea67e1ba">Stripe 導入事例: ElevenLabs</h3><p>AI音声プラットフォームを開発する<a href="https://elevenlabs.io" target="_blank" rel="noopener noreferrer"> ElevenLabs </a>は、Stripe Billingを利用してサブスクリプションサービスを迅速に拡大しています。また、Optimized Checkout Suite による決済成功率やコンバージョン率の最適化や決済手段として Link をサポートすることで、世界中の顧客からの支払いを迅速に処理することに成功しているとのことです。Stripeの AI によるチェックアウト時のパーソナライズも成功の一因となりました。</p><p>Stripe導入により支払い関連の専任エンジニアチームが不要になったことは、彼らにとって大きなコスト削減となったようです。</p><p><a href="https://stripe.com/jp/customers/elevenlabs" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">https://stripe.com/jp/customers/elevenlabs</a></p><h3 id="h90ab45b06e">Stripe 導入事例: Dorsia</h3><p>会員制予約プラットフォームを運営するDorsiaは、Stripe Connectを活用し、レストランパートナーへの支払いを業界標準より60%速い24時間以内に実現しました。組み込みのオンボーディングフローとPayments APIによるPOSシステム連携で開発時間を大幅に削減できたといいます。Stripe Billingで有料会員制モデルを立ち上げた結果、収益は約400%増加。Connectの国際対応力を活かし、わずか3年間で21都市9カ国に事業を拡大したことも特筆すべき成果でしょう。</p><p><a href="https://stripe.com/jp/customers/dorsia" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">https://stripe.com/jp/customers/dorsia</a></p><h3 id="h099d45754d">Stripe 導入事例: LiveX AI</h3><p>サブスクリプションビジネスの解約率削減を支援するLiveX AIでは、顧客のStripeアカウントとAIエージェントを連携させています。彼らのAIエージェントはBillingプラットフォームと連携し、顧客の請求に関する質問への自動応答や代替プランの提案、割引適用などを自動化。開発者にとって使いやすいStripeのAPIを活用し、わずか4週間で統合を完了させたといいます。顧客の約70%が既にStripeを利用していたことも、スムーズな統合の要因となりました。</p><p><a href="https://stripe.com/jp/customers/livex-ai" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">https://stripe.com/jp/customers/livex-ai</a></p><p>Stripe のウェブサイトには、製品機能の紹介や価格だけでなく、様々な企業での活用ストーリーやビジネスに関連するガイド記事が公開されています。先週公開された事例やガイド記事について、簡単にみていきましょう。</p><h3 id="hf786d5954c">AIによる決済パフォーマンス最適化</h3><p><strong>Payments Intelligence Suite</strong>という新しい機能群が登場しました。これはAIがリアルタイムで数百の意思決定を自動化し、企業の利益最大化を目指すもので、 Stripe Sessions 2025 にて発表された Authorization Boost などの機能も取り入れられています。Payments Foundation Modelを他のプロダクトにも展開し、支払いパフォーマンス向上と収益成長を支援する計画もあるようです。</p><p><a href="https://stripe.com/blog/using-ai-optimize-payments-performance-payments-intelligence-suite">https://stripe.com/blog/using-ai-optimize-payments-performance-payments-intelligence-suite</a></p><h3 id="h152c9fb6e6">Stripe の見積もり機能を活用するガイド</h3><p>割引や税金を含む見積もりの作成、顧客への直接送信、承認後の請求書やサブスクリプションへの変換など、一言に「見積もり」といっても様々な考慮事項やタスクが存在します。 Stripe が公開したガイド記事は、見積書に含めるべき情報や価格に関する Tips 、Stripe で見積もりと請求をどのように実現するかなどを詳細に解説しています。</p><p><a href="https://stripe.com/jp/resources/more/how-to-create-and-manage-price-quotations-for-your-business" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">https://stripe.com/jp/resources/more/how-to-create-and-manage-price-quotations-for-your-business</a></p><h3 id="h8582d9b57e">リボ払いの仕組みや支払い方法に関する学習ガイド</h3><p>日本市場におけるクレジットカードでのリボ払いについては詳細なガイドも追加されました。家計管理や予期せぬ出費への対応、繰り上げ・一括返済が可能というメリットがある一方で、手数料が高く支払い期間が長期化しやすいデメリットも指摘されています。</p><p><a href="https://stripe.com/jp/resources/more/what-is-revolving-payment-japan" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">https://stripe.com/jp/resources/more/what-is-revolving-payment-japan</a></p><hr><p>今週のアップデートからは、Stripeが提供する決済、資金管理、収益・財務オートメーションといった包括的なソリューションが、様々な規模や業種のビジネスの成長と効率化をどのようにサポートしているかが具体的に見えてきます。あなたのビジネスにおけるStripeの可能性も、ぜひ探ってみてはいかがでしょうか。</p>

岡本 秀高

開発者

Stripe Sessions 2025 で世界初の決済特化AIモデル「Payment Foundation Model」が発表されました

<p>Stripe Sessions 2025 のプロダクトキーノートにて、Stripe は「世界初の決済特化用AIモデル」として「Payment Foundation Model」を発表しました。このモデルは、 Stripe がもつ数百億件の取引データでトレーニングされており、カードテスティング攻撃などの決済に関する様々な兆候を検知することに利用できます。</p><h2 id="h5ff1ca641b">専用モデルで、決済に関する変化をより正確に検知</h2><p>Stripe は 2024 年には合計で 1.4 兆ドルもの決済を処理しています。それだけの量の決済を処理していると、さまざまな攻撃を受けることにもなり、そのための対策も日々取り組んでいます。</p><figure><a href="https://stripe.com/jp/payments/ai" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow"><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/2c129e8dd47244a58cb777b9cf3ee0e0/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-20%207.22.19.png" alt="" width="1622" height="412"></a><figcaption>https://stripe.com/jp/payments/ai</figcaption></figure><p>例えばカードテスティング攻撃(クレジットカードマスター攻撃ともよびます)においては、 Stripe はこれまで様々な対策を講じてこの攻撃を 80 % 削減しました。そこにこの前例のない大規模データを利用してトレーニングされたモデルを採用することで、この攻撃検知率をさらに 64 % 高めることに成功したとのことです。</p><p>セッションの中で、このモデルは自己教師あり学習を採用していることが紹介されました。これは支払いデータから微妙なパターンを学習するためとのことです。これによって人間が事前に定義したルールや特徴に依存せず、データ自体から最適なパターンを発見することが可能になりました。</p><h2 id="hdac26d04eb">Payment Foundation Model は Stripe プロダクトに展開</h2><p>この新しい AI モデルは、 Stripe が提供する様々なプロダクトに展開されているとのことです。決済パフォーマンスの最適化や不正検知・予防などの様々な方面で、 Stripe の持つ膨大な決済データを活かした改善が、これまで以上に加速することが期待できそうです。</p><h2 id="h91cd538120">関連情報</h2><ul><li><a href="https://stripe.com/payments/ai" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe AI機能ページ</a></li><li><a href="https://stripe.com/newsroom/news/sessions-2025" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe Sessions 2025発表</a></li></ul>

岡本 秀高

開発者