Stripe Sessions 2025 で、 複数のPSPをまとめて管理できる Stripe Orchestration が発表されました | RevTech tools for Stripe

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Stripe Sessions 2025 で、 複数のPSPをまとめて管理できる Stripe Orchestration が発表されました

Stripe Sessions 2025 で、 複数のPSPをまとめて管理できる Stripe Orchestration が発表されました
公開日: 2025/5/21 / 更新日: 2025/5/21

Stripe Sessions 2025 のプロダクトキーノートにて、 Stripe Orchestration が発表されました。これは複数の決済プロバイダー( PSP )を Stripe 上でまとめて管理し、通貨やカードの発行国・カード発行会社などの情報を元に利用する PSP を選択できる機能です。これによって複数の国や地域に展開しているサービスで、エリアごとに最適な PSP を利用することができるようになります。

PSP から決済オーケストレーターへ

国や地域、顧客の使用したカード・決済手段などによって、決済成功率や手数料コストなどを最適化できるプロバイダーを選択できるようにすることは、 EC / SaaS 企業にとって収益を最大化する上で重要な課題です。しかし複数の PSP を併用した決済システムを構築すると、取引データや決済履歴などの情報が PSP ごとに散逸してしまいます。そのため、パフォーマンスの高い PSP がどれかや、会計・ビジネス上のデータ分析などを行うためにはデータ分析基盤の構築などが必要でした。また、アプリケーションの実装コードも複雑化するため、結果的に保守コストで相殺されてしまうリスクも存在します。

そこで注目を集めているのが決済オーケストレーションです。PSP の選択や振り分けといったルーティングから、成功率や処理時間などのパフォーマンス分析まで、最適な決済処理を実現させるための仕組みを構築することで、追加開発やデータ収集・管理のコストやリスクを最小化することができます。このような決済オーケストレーションのグローバル市場は2022年に11億ドルといわれています。また、2023年から2030年にかけて年間成長率24.7%で拡大すると予測されています。

Stripe はこの決済オーケストレーションについても、サポートを開始するとイベントでアナウンスしました。

ダッシュボードから振り分けルールなどを設定

オーケストレーションの設定は、ダッシュボードから行えるとのことです。ルールの設定によって、カード発行国、通貨、発行者などさまざまな条件に基づいて取引を最適な PSP に振り分けることができます。たとえば、EURでの支払いを特定の PSP に送り、その他すべての支払いをStripeで処理するといった設定も可能です。また、各プロバイダーの成功率や処理時間などを一元的に分析し、比較できるため、状況に応じた最適なプロバイダーの選択が容易になります。この機能により、どのプロバイダーがどのような状況で効果を発揮するかを把握できるでしょう。

一貫した開発・顧客体験

バックエンドでどの PSP を使用していても、顧客には Stripe が提供する決済フォームや決済体験を提供できます。そのため、決済フォームの UI や実装コードなどが複雑になることもありません。ドキュメントによると、オーケストレーションを利用するかどうかのパラメータを1つ追加するだけで対応できる様子です。

https://docs.stripe.com/payments/orchestration/route-payments

Stripe Orchestration は非公開プレビューにて提供中

Stripe Orchestration を利用するには、 2025 / 05 時点では事前の申請が必要です。

https://docs.stripe.com/payments/orchestration

また、発表された情報によると、現在はクレジットカードの処理のみをサポートするとのことでした。国や地域ごとにある様々な決済手段についてもサポートされるかどうかは、今後注目していきたいところです。

関連ドキュメントはこちら