Stripe Sessions 2025 で、 複数のPSPをまとめて管理できる Stripe Orchestration が発表されました
<p>Stripe Sessions 2025 のプロダクトキーノートにて、 Stripe Orchestration が発表されました。これは複数の決済プロバイダー( PSP )を Stripe 上でまとめて管理し、通貨やカードの発行国・カード発行会社などの情報を元に利用する PSP を選択できる機能です。これによって複数の国や地域に展開しているサービスで、エリアごとに最適な PSP を利用することができるようになります。</p><blockquote class="twitter-tweet" data-dnt="true" align="center"><p lang="en" dir="ltr">We’ve launched Stripe Orchestration! Route payments to multiple processors and monitor performance from your dashboard. See the demo.<a href="https://t.co/TiqDcAT1Ns">https://t.co/TiqDcAT1Ns</a> <a href="https://t.co/00TSAij817">pic.twitter.com/00TSAij817</a></p>— Roshan Sadanani (@blattus) <a href="https://twitter.com/blattus/status/1920245368861639035?ref_src=twsrc%5Etfw">May 7, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <h2 id="h8ae94e51cc">PSP から決済オーケストレーターへ</h2><p>国や地域、顧客の使用したカード・決済手段などによって、決済成功率や手数料コストなどを最適化できるプロバイダーを選択できるようにすることは、 EC / SaaS 企業にとって収益を最大化する上で重要な課題です。しかし複数の PSP を併用した決済システムを構築すると、取引データや決済履歴などの情報が PSP ごとに散逸してしまいます。そのため、パフォーマンスの高い PSP がどれかや、会計・ビジネス上のデータ分析などを行うためにはデータ分析基盤の構築などが必要でした。また、アプリケーションの実装コードも複雑化するため、結果的に保守コストで相殺されてしまうリスクも存在します。</p><p>そこで注目を集めているのが決済オーケストレーションです。PSP の選択や振り分けといったルーティングから、成功率や処理時間などのパフォーマンス分析まで、最適な決済処理を実現させるための仕組みを構築することで、追加開発やデータ収集・管理のコストやリスクを最小化することができます。このような決済オーケストレーションのグローバル市場は2022年に11億ドルといわれています。また、2023年から2030年にかけて年間成長率24.7%で拡大すると予測されています。</p><p>Stripe はこの決済オーケストレーションについても、サポートを開始するとイベントでアナウンスしました。</p><div style="left: 0; width: 100%; height: 0; position: relative; padding-bottom: 56.25%;"><iframe src="https://www.youtube.com/embed/XZnzZgaGbYY?rel=0" style="top: 0; left: 0; width: 100%; height: 100%; position: absolute; border: 0;" allowfullscreen scrolling="no" allow="accelerometer *; clipboard-write *; encrypted-media *; gyroscope *; picture-in-picture *; web-share *;"></iframe></div><h3 id="h368822410f">ダッシュボードから振り分けルールなどを設定</h3><p>オーケストレーションの設定は、ダッシュボードから行えるとのことです。ルールの設定によって、カード発行国、通貨、発行者などさまざまな条件に基づいて取引を最適な PSP に振り分けることができます。たとえば、EURでの支払いを特定の PSP に送り、その他すべての支払いをStripeで処理するといった設定も可能です。また、各プロバイダーの成功率や処理時間などを一元的に分析し、比較できるため、状況に応じた最適なプロバイダーの選択が容易になります。この機能により、どのプロバイダーがどのような状況で効果を発揮するかを把握できるでしょう。</p><h3 id="hf0f649c7d9">一貫した開発・顧客体験</h3><p>バックエンドでどの PSP を使用していても、顧客には Stripe が提供する決済フォームや決済体験を提供できます。そのため、決済フォームの UI や実装コードなどが複雑になることもありません。ドキュメントによると、オーケストレーションを利用するかどうかのパラメータを1つ追加するだけで対応できる様子です。</p><figure><a href="https://docs.stripe.com/payments/orchestration/route-payments" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow"><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/643f92d4014b4800a1726993337073e5/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-21%207.31.54.png" alt="" width="1112" height="414"></a><figcaption>https://docs.stripe.com/payments/orchestration/route-payments</figcaption></figure><h2 id="hac88d02ca0">Stripe Orchestration は非公開プレビューにて提供中</h2><p>Stripe Orchestration を利用するには、<a href="https://docs.stripe.com/payments/orchestration" target="_blank" rel="noopener noreferrer"> 2025 / 05 時点では事前の申請</a>が必要です。</p><figure><a href="https://docs.stripe.com/payments/orchestration" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow"><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/fe9d580b634b44c0a529c2d506d896c4/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-21%207.34.15.png" alt="" width="1474" height="834"></a><figcaption>https://docs.stripe.com/payments/orchestration</figcaption></figure><p>また、発表された情報によると、現在はクレジットカードの処理のみをサポートするとのことでした。国や地域ごとにある様々な決済手段についてもサポートされるかどうかは、今後注目していきたいところです。</p><h2 id="hced736a8b0">関連ドキュメントはこちら</h2><ul><li><a href="https://docs.stripe.com/payments/orchestration" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe Orchestrationドキュメント</a></li><li><a href="https://stripe.com/resources/more/what-is-payment-orchestration-what-businesses-need-to-know" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Orchestrationの概要</a></li><li><a href="https://stripe.com/newsroom/news/sessions-2025" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe Sessions 2025発表</a></li></ul>
開発者