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Category: Stripe new features

Tips and news

Stripe Sessions 2025 で、 複数のPSPをまとめて管理できる Stripe Orchestration が発表されました

<p>Stripe Sessions 2025 のプロダクトキーノートにて、 Stripe Orchestration が発表されました。これは複数の決済プロバイダー( PSP )を Stripe 上でまとめて管理し、通貨やカードの発行国・カード発行会社などの情報を元に利用する PSP を選択できる機能です。これによって複数の国や地域に展開しているサービスで、エリアごとに最適な PSP を利用することができるようになります。</p><blockquote class="twitter-tweet" data-dnt="true" align="center"><p lang="en" dir="ltr">We’ve launched Stripe Orchestration! Route payments to multiple processors and monitor performance from your dashboard. See the demo.<a href="https://t.co/TiqDcAT1Ns">https://t.co/TiqDcAT1Ns</a> <a href="https://t.co/00TSAij817">pic.twitter.com/00TSAij817</a></p>— Roshan Sadanani (@blattus) <a href="https://twitter.com/blattus/status/1920245368861639035?ref_src=twsrc%5Etfw">May 7, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <h2 id="h8ae94e51cc">PSP から決済オーケストレーターへ</h2><p>国や地域、顧客の使用したカード・決済手段などによって、決済成功率や手数料コストなどを最適化できるプロバイダーを選択できるようにすることは、 EC / SaaS 企業にとって収益を最大化する上で重要な課題です。しかし複数の PSP を併用した決済システムを構築すると、取引データや決済履歴などの情報が PSP ごとに散逸してしまいます。そのため、パフォーマンスの高い PSP がどれかや、会計・ビジネス上のデータ分析などを行うためにはデータ分析基盤の構築などが必要でした。また、アプリケーションの実装コードも複雑化するため、結果的に保守コストで相殺されてしまうリスクも存在します。</p><p>そこで注目を集めているのが決済オーケストレーションです。PSP の選択や振り分けといったルーティングから、成功率や処理時間などのパフォーマンス分析まで、最適な決済処理を実現させるための仕組みを構築することで、追加開発やデータ収集・管理のコストやリスクを最小化することができます。このような決済オーケストレーションのグローバル市場は2022年に11億ドルといわれています。また、2023年から2030年にかけて年間成長率24.7%で拡大すると予測されています。</p><p>Stripe はこの決済オーケストレーションについても、サポートを開始するとイベントでアナウンスしました。</p><div style="left: 0; width: 100%; height: 0; position: relative; padding-bottom: 56.25%;"><iframe src="https://www.youtube.com/embed/XZnzZgaGbYY?rel=0" style="top: 0; left: 0; width: 100%; height: 100%; position: absolute; border: 0;" allowfullscreen scrolling="no" allow="accelerometer *; clipboard-write *; encrypted-media *; gyroscope *; picture-in-picture *; web-share *;"></iframe></div><h3 id="h368822410f">ダッシュボードから振り分けルールなどを設定</h3><p>オーケストレーションの設定は、ダッシュボードから行えるとのことです。ルールの設定によって、カード発行国、通貨、発行者などさまざまな条件に基づいて取引を最適な PSP に振り分けることができます。たとえば、EURでの支払いを特定の PSP に送り、その他すべての支払いをStripeで処理するといった設定も可能です。また、各プロバイダーの成功率や処理時間などを一元的に分析し、比較できるため、状況に応じた最適なプロバイダーの選択が容易になります。この機能により、どのプロバイダーがどのような状況で効果を発揮するかを把握できるでしょう。</p><h3 id="hf0f649c7d9">一貫した開発・顧客体験</h3><p>バックエンドでどの PSP を使用していても、顧客には Stripe が提供する決済フォームや決済体験を提供できます。そのため、決済フォームの UI や実装コードなどが複雑になることもありません。ドキュメントによると、オーケストレーションを利用するかどうかのパラメータを1つ追加するだけで対応できる様子です。</p><figure><a href="https://docs.stripe.com/payments/orchestration/route-payments" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow"><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/643f92d4014b4800a1726993337073e5/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-21%207.31.54.png" alt="" width="1112" height="414"></a><figcaption>https://docs.stripe.com/payments/orchestration/route-payments</figcaption></figure><h2 id="hac88d02ca0">Stripe Orchestration は非公開プレビューにて提供中</h2><p>Stripe Orchestration を利用するには、<a href="https://docs.stripe.com/payments/orchestration" target="_blank" rel="noopener noreferrer"> 2025 / 05 時点では事前の申請</a>が必要です。</p><figure><a href="https://docs.stripe.com/payments/orchestration" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow"><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/fe9d580b634b44c0a529c2d506d896c4/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-21%207.34.15.png" alt="" width="1474" height="834"></a><figcaption>https://docs.stripe.com/payments/orchestration</figcaption></figure><p>また、発表された情報によると、現在はクレジットカードの処理のみをサポートするとのことでした。国や地域ごとにある様々な決済手段についてもサポートされるかどうかは、今後注目していきたいところです。</p><h2 id="hced736a8b0">関連ドキュメントはこちら</h2><ul><li><a href="https://docs.stripe.com/payments/orchestration" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe Orchestrationドキュメント</a></li><li><a href="https://stripe.com/resources/more/what-is-payment-orchestration-what-businesses-need-to-know" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Orchestrationの概要</a></li><li><a href="https://stripe.com/newsroom/news/sessions-2025" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe Sessions 2025発表</a></li></ul>

岡本 秀高

開発者

Stripe Sessions 2025 で世界初の決済特化AIモデル「Payment Foundation Model」が発表されました

<p>Stripe Sessions 2025 のプロダクトキーノートにて、Stripe は「世界初の決済特化用AIモデル」として「Payment Foundation Model」を発表しました。このモデルは、 Stripe がもつ数百億件の取引データでトレーニングされており、カードテスティング攻撃などの決済に関する様々な兆候を検知することに利用できます。</p><h2 id="h5ff1ca641b">専用モデルで、決済に関する変化をより正確に検知</h2><p>Stripe は 2024 年には合計で 1.4 兆ドルもの決済を処理しています。それだけの量の決済を処理していると、さまざまな攻撃を受けることにもなり、そのための対策も日々取り組んでいます。</p><figure><a href="https://stripe.com/jp/payments/ai" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow"><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/2c129e8dd47244a58cb777b9cf3ee0e0/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-20%207.22.19.png" alt="" width="1622" height="412"></a><figcaption>https://stripe.com/jp/payments/ai</figcaption></figure><p>例えばカードテスティング攻撃(クレジットカードマスター攻撃ともよびます)においては、 Stripe はこれまで様々な対策を講じてこの攻撃を 80 % 削減しました。そこにこの前例のない大規模データを利用してトレーニングされたモデルを採用することで、この攻撃検知率をさらに 64 % 高めることに成功したとのことです。</p><p>セッションの中で、このモデルは自己教師あり学習を採用していることが紹介されました。これは支払いデータから微妙なパターンを学習するためとのことです。これによって人間が事前に定義したルールや特徴に依存せず、データ自体から最適なパターンを発見することが可能になりました。</p><h2 id="hdac26d04eb">Payment Foundation Model は Stripe プロダクトに展開</h2><p>この新しい AI モデルは、 Stripe が提供する様々なプロダクトに展開されているとのことです。決済パフォーマンスの最適化や不正検知・予防などの様々な方面で、 Stripe の持つ膨大な決済データを活かした改善が、これまで以上に加速することが期待できそうです。</p><h2 id="h91cd538120">関連情報</h2><ul><li><a href="https://stripe.com/payments/ai" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe AI機能ページ</a></li><li><a href="https://stripe.com/newsroom/news/sessions-2025" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe Sessions 2025発表</a></li></ul>

岡本 秀高

開発者

Stripe Sessions 2025 で、チャージバックを AI が自動対応する「Smart Disputes」が発表されました

<p>Stripe Sessions 2025 のプロダクトキーノートでは、世界的に増加傾向にある不正利用への対策についての言及もありました。顧客がチャージバック申請を行った際、企業はその申請が本当に不正利用された決済であるかを調べる必要があります。これは<a href="https://stripe.com/jp/resources/more/what-is-friendly-fraud" target="_blank" rel="noopener noreferrer">フレンドリー詐欺</a>とも呼ばれる、正当な支払いにも関わらずチャージバック申請を行われるケースを回避するために必要な作業です。そして申請された決済が不正利用ではないと確認できた場合には、クレジットカード会社に対して正当な支払いであるという異議申し立てを行う必要があります。これらの作業は煩雑になりがちですが、売上への影響やカード会社が行う不正発生率モニタリングなどへの影響を考えるとやらざるを得ない作業でもあります。</p><p>今回発表された Smart Disputes は、 Stripe が新たに提供する AI を活用したチャージバック対応自動化機能です。カード会社への異議申し立てに必要な証拠の収集や提出といったプロセスを自動化することで、チャージバックが発生した際に生まれる作業時間を節約することができます。</p><h2 id="h14ea78f87a">主な特徴</h2><p>Smart Disputes は、AI を活用したルールエンジンで受信したチャージバックの内容を分析します。その後、 Stripe の中にある取引データ、カード保有者データから関連情報を収集し、クレジットカード会社への異議申し立てを実行します。</p><p>このワークフローは手動での調査・異議申し立てフローとも両立できます。これは Smart Disputes は異議申し立ての期日直前にワークフローを実行するためです。そのため、<a href="https://revtrona.hidetaka.dev/blogs/sessions-2025-breakout-about-workflows" target="_blank" rel="noopener noreferrer"> Stripe Workflows を利用した低額の「不正使用の早期警告 ( Early Fraud Warning | EFW)」に対する自動返金フロー</a>や手動での調査・顧客連絡フローとの両立も可能です。</p><figure><a href="https://docs.stripe.com/disputes/smart-disputes" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow"><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/1b9e51bf4f6740b686066bf8fbb88df9/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-19%207.25.52.png" alt="" width="1490" height="900"></a><figcaption>https://docs.stripe.com/disputes/smart-disputes</figcaption></figure><p>重要なポイントは、「 Smart Disputes が、期日直前に自動で処理してくれる」ということです。ユーザーはメールまたはダッシュボードでチャージバックの発生や EFW の通知を受け取ります。そして、 Stripe Workflows が自動返金しなかった場合は、手動で対応 or Smart Disputes に任せるという対応を選ぶことができるようになります。</p><p>つまり、チャージバックが発生した際の対応工数・コストについても、人間がやるべきか Stripe が用意する AI に任せるべきかを選ぶことができます。</p><h2 id="h559ad9b2ce">Smart Disputes のコストと効果</h2><p>世界全体では年間550億ドルものコストが紛争によって発生しているといわれます。証拠収集と提出のプロセスは非常に煩雑で、効果的なチャージバック対応には特定の専門知識が必要となることも少なくありません。</p><p>Smart Disputes はこれらの課題に対して、次のようなメリットを提供します。</p><p>収益回収の向上では、導入企業で13%以上の回収率アップが見られました。また、証拠収集と提出の自動化により大幅な時間節約が実現します。さらに、人的リソースをより価値の高い業務に再配分できるため、組織全体の効率化も期待できるとのことです。</p><p>ユニークなのは、 <strong>Smart Disputes を利用した場合の費用は「成功報酬制」</strong>になっていることでしょう。異議申し立てが受理されて、顧客によるチャージバック申請が取り下げられた時のみ、 Smart Disputes の費用は請求されます。そのため、チャージバックによる売上損失額や対応コストと、成功時のコストを比較して検討することになりそうです。</p><h2 id="h12ba6b3a07">2025 / 05 時点では公開プレビュー提供中</h2><p>Smart Disputes は現在プレビューとして提供されています。<a href="https://docs.stripe.com/disputes/smart-disputes#request-access" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Stripe Doc でメールアドレスを送信する</a>ことでアクセスをリクエストできます。</p><figure><a href="https://docs.stripe.com/disputes/smart-disputes#request-access" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow"><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/b3bcd34b219f41fd81419923d78cd28e/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-19%207.53.08.png" alt="" width="1576" height="696"></a><figcaption>https://docs.stripe.com/disputes/smart-disputes#request-access</figcaption></figure><p>EC サイトや長期的な利用を想定する SaaS / サブスクリプションビジネスでは、チャージバックが定期的に発生します。 </p><p>Smart Disputes を利用した、対応コストの削減と売上損失の回避をぜひお試しください。</p><h2 id="h0adb7b031a">詳細情報</h2><ul><li><a href="https://docs.stripe.com/disputes/smart-disputes" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Smart Disputesドキュメント</a></li><li><a href="https://docs.stripe.com/payments/analytics/disputes" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">紛争分析</a></li><li><a href="https://stripe.com/newsroom/news/sessions-2025" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe Sessions 2025発表</a></li></ul>

岡本 秀高

開発者

Stripe Sessions 2025:エージェントコマースの未来を切り拓く Order Intents API

<p>Stripe Sessions 2025 のプロダクトキーノートで、エージェントコマースを加速させるための新しい仕組みとして「 Order Intents API 」が発表されました。AI エージェントがユーザーに変わって EC サイトで商品の注文を行う際に、より安全な決済を実現させるための仕組みとして利用できます。</p><h2 id="h0e08891902">AIが購買を変革する時代へ</h2><p>Stripe Sessions 2025では、コマースの未来、特に AI がどのように商取引を変革するかに焦点が当てられました。その中でも大きな注目を集めたのが、「エージェントコマース」です。AIエージェントがユーザーに代わって自律的にオンライン上の購入プロセスを完了させる。これによって人々は消耗品の在庫・発注管理や、注文時の価格・性能比較などの不定期に発生する作業から解放され、本当にやりたい作業やチャレンジに集中することができます。このようなこれまでとは大きく異なるオンラインショッピング体験がこれから広まっていく可能性が出てきています。</p><h2 id="hb073010524">Stripe Sessions 2025 でのデモ</h2><p>Stripe Sessions 2025 のプロダクトキーノートでは、 Order Intents API を利用したエージェントコマースのデモがありました。このデモは YouTube で公開されていますので、いつでも確認や振り返ることができます。</p><div style="left: 0; width: 100%; height: 0; position: relative; padding-bottom: 56.25%;"><iframe src="https://www.youtube.com/embed/bVQwIZYk9UM?rel=0" style="top: 0; left: 0; width: 100%; height: 100%; position: absolute; border: 0;" allowfullscreen scrolling="no" allow="accelerometer *; clipboard-write *; encrypted-media *; gyroscope *; picture-in-picture *; web-share *;"></iframe></div><p>デモでは書籍の購入を例にしています。エージェントを実行するとまずウェブサイトの情報を読み取り、製品の種類や配送オプションを確認します。その後確認した内容を元に注文を完了させるところまでが実行されていました。また、スキンケア製品レビューサイトに対するエージェントコマースのデモもあり、こちらはユーザーが異なる販売者の製品をサイトを離れることなくまとめて購入する体験を紹介されていました。ユーザーは閲覧していたブログから離れることなく、3つの異なるサイトから3つの購入を実現できました。</p><p>このような体験を提供する EC サイトが今後登場・増加するとすれば、 EC サイトプラットフォームのあり方や EC サイトにおける顧客獲得のための最適化施作などもいろいろと変わってきそうです。</p><h2 id="h2957f3cee7">ブースにて詳細を聞いてきました</h2><p>エージェントコマースには強い関心があります。そこでより具体的にどんな体験を実装できるのかなどをブースで少し聞いてきました。</p><p>現時点ではまだ非公開プレビューということで、 <a href="https://docs.stripe.com/agents#online-purchasing" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Stripe Docs に公開されている情報</a>は限定されています。ただ、重要なポイントとして、「エージェントが利用する決済手段を、顧客はどのように提供すれば良いのか」を解決するための仕組みでもあるということでした。 Stripe にはバーチャルなクレジットカードを API / Dashboard から発行できる「 <a href="https://docs.stripe.com/issuing" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Stripe Issuing</a> 」という製品があります。 Order Intents がエージェントに決済をさせる際、 内部的に Stripe issuing を利用してそのセッション専用のカード番号を発行するようなこともできるそうです。</p><p>このほかにも <a href="https://revtrona.hidetaka.dev/blogs/stripe-sessions-announcement-stripe-profiles" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Stripe Profiles</a> や <a href="https://link.com/jp" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Link 決済など</a>、Stripe には決済やビジネスの情報を簡単かつ安全に共有できる仕組みが強化されています。このような機能も利用して、注文時の情報入力やそもそもの商品比較検討などが今後は自動化していけるようになるかもしれません。</p><h2 id="h8afc11f5f7">エージェントコマースがもたらす未来の購買体験</h2><p>Order Intents API の発表だけでなく、プロダクトキーノートの冒頭で Stripe がエージェントコマースについて言及したということ自体もとても興味深い出来事でした。これは Stripe としても、今後 AIエージェントによる「エージェントコマース」が加速していくと考えているのかもしれません。</p><p>当日のセッションでも、エージェントコマースに関する言及は複数ありました。振り返ってみると、オンラインでの商品購入フローは思っている以上に複雑です。レビューサイトや複数の EC サイトを訪問し、問題を解決するための商品を複数リストアップします。その後レビューや価格・配送オプションを比較検討して、購入する商品を決定します。そして最後に、カード情報や住所などを入力して、購入手続きを完了させます。エージェントコマースはこれらのステップを、最終的にはすべて自動で完了させることになりそうです。</p><p>キーノートやブースでの会話では、エージェントコマースのさらなる可能性として、コンテキスにあわせた購入体験についても可能性が提示されていました。例えば、レシピを見ながら必要な食材をエージェントに依頼したり、スマートホームデバイスが消耗品の在庫をチェックして自動で再注文したりするような、「必要なものを、誰かが代わりに買ってきてくれる」体験が遠くない未来に訪れるかもしれません。コンテキストの中には、購買履歴や好み・予算などの条件を共有することによるパーソナライズも含まれてくるかもしれません。</p><p>エージェントコマースはまだ初期段階ですが、Stripe が Order Intents API を通じて推進するこの新しい取り組みは、私たちの買い物の方法、そして EC の体験自体を大きく変える可能性があります。Stripe Issuing が日本で利用できない問題があるため、提供予定の国に日本が含まれるかなどの気になる点はありますが、少なくともエージェントコマースというカテゴリについては注目していきたいなと思います。</p>

岡本 秀高

開発者

Stripe Sessions 2025 で AI を利用した承認率最適化ソリューション「 Authorization Boost 」が発表されました!

<p>Stripe Sessions 2025 の Product Keynote にて、決済処理における承認率を向上させるAI搭載のツールセット「 Authorization Boost 」が発表されました。Stripe の持つ膨大なデータに基づき、 AI などを活用してクレジットカード決済が拒否される確率を減らすことのできる仕組みとして提供する予定とのことです。</p><h2 id="h16df758e3c">Authorization Boost の特徴</h2><p>Authorization Boost は、Stripe がこれまで提供していた決済承認率改善機能と、新機能を組み合わせたツールセットです。1つ目は「Adaptive Acceptance 」とよばれる機械学習を使用して支払いリクエストを最適化する仕組みです。顧客が利用しているクレジットカード会社に合わせた支払いリクエストのデータを Stripe が内部的に機械学習ベースに調整します。また、カード会社が支払いを拒否した場合にも、リクエスト内容を調整して再度決済を試みるなどの仕組みも実装されています。この機能によって、再試行された支払い拒否を最大 15% まで回収できるとされています。</p><p>2つ目の機能はネットワークトークンです。これはカード番号の代わりとなる、より安全な支払い認証情報です。ネットワークトークンを使用すると、基盤となるカードのデータが変更された場合でも、最新の認証情報で支払いを処理できます。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/a33e290717974c7380594527f7866e0e/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202025-05-15%2023.41.49.png" alt="" width="1618" height="872"></figure><p><a href="https://stripe.com/guides/understanding-benefits-of-network-tokens" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">ネットワークトークンについて - Stripe のガイド記事より</a>。</p><p>ネットワークトークンを利用することで、クレジットカード情報が変更または期限切れになった場合でも、トークンによって最新の情報を利用できる状態を維持できます。これにより、認証情報の期限切れが原因で不承認となる支払いの件数が減り、サブスクリプションなど長期的かつ定期的に決済される支払いなどでのオーソリ率が向上します。</p><p>3つ目の仕組みは、カード情報の自動更新です。先ほど紹介したネットワークトークンと、この自動カード更新機能を組み合わせることで、有効期限切れなどによる支払いエラーの発生率を抑えることができます。</p><h2 id="hf43f41fa1d">Authorization Boost のユースケース</h2><p>この機能は、クレジットカード決済の承認率やサブスクリプションでの決済失敗などによる売り上げの損失と、顧客サポート等で発生する人件費等を削減することが期待できます。カード会社ごとに最適化した支払いリクエストを送信する仕組みによって、 EC サイトでの決済エラーによるカゴ落ち・競合他社への流出を抑止できます。また、保存したカードの有効期限が切れた際に、再度更新する手間を省くことができます。これによって顧客がECサイトやSaaSに保存したカード情報の更新作業に追われることがなくなり、対応コストよりも解約による利便性の低下を選ぶリスクを減らすことができます。</p><p>決済ボリュームだけでなく、トランザクション数が多い企業であっても、承認率が少しでも向上すると売り上げへのインパクトが大きくなりやすいです。そのため、ある程度の規模まで成長した企業は、この機能の導入をけんとうすべきかもしれません。</p><h2 id="h970c5f123d">Authorization Boost は非公開プレビュー提供中</h2><p>Stripe Sessions 2025 で発表された時点では、この機能は招待制の非公開プレビュー提供です。Stripe Docs から先行提供を希望するフォームが送信できますので、カードの承認率やカードの更新忘れによる未払いを減らしたいという方は、ぜひお試しください。</p><p><a href="https://docs.stripe.com/payments/analytics/authorization-boost?locale=ja-JP#request-access">https://docs.stripe.com/payments/analytics/authorization-boost?locale=ja-JP#request-access</a></p><h2 id="hbbdd5295e7">関連情報はこちら</h2><ul><li><a href="https://docs.stripe.com/payments/analytics/authorization-boost">https://docs.stripe.com/payments/analytics/authorization-boost</a></li><li><a href="https://stripe.com/gb/guides/optimizing-authorization-rates" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">承認率最適化ガイド</a></li></ul>

岡本 秀高

開発者

Stripe Workflows が発表されたので、セッションで詳細を聞いてきました

<p>Stripe Sessions 2025 にて、コードを書かずに Stripe 上で処理する決済や請求・サブスクリプション・チャージバックなどのワークフローを実現する「 Stripe Workflows 」の公開プレビューが発表されました。当日はこの Workflows について学ぶセッションも用意されていましたので、参加してきました。</p><h2 id="h1758e3632e">セッションとスピーカーについて</h2><p>このセッションでは、当日朝のキーノートで発表された新機能の「Stripe Workflows」について、開発の背景や機能・ユースケースとロードマップについて紹介がありました。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/35cddb45824b4a49b0b9a68ee9010474/IMG_6464.jpg" alt="" width="4032" height="3024"></figure><p>セッションでは、Tanya氏(Stripe Workflowsのプロダクトマネージャー)とBen Smith氏(Stripeのスタッフデベロッパーアドボケイト)が登壇しました。両氏はAWSで約5年間ともに働いた経歴があり、サーバーレスやStep Functions、Lambdaなどのテクノロジーに携わっていたとのことです。様々な業界の顧客と接する中で、常に「インテグレーションの複雑さと難しさ」という共通課題が浮上していたという話も紹介されていました。</p><h2 id="h6fa4ece22d">「7行のコード」は、環境の変化で複雑なコードベースへ</h2><p>Stripeは2010年、「たった7行のコードでオンラインアプリケーションに決済機能を追加できる」というシンプルさを売りに始まりました。その後、顧客の要望に応える形で Billings や Radar, Connect, Terminal などなど、非常に幅広い製品ラインナップとなっています。これにより現在では、決済や請求、税金、ID確認、財務など、あらゆる財務インフラをStripe上で運用することが可能になっています。</p><p>しかし、一方で製品ラインナップや機能の追加によって、シンプルさが失われているという声も増えていました。決済は単に「完了」するだけでなく、「オーソリ」や「キャプチャ」そして「返金」「チャージバック」など、取引が完了してからもさまざまな出来事が発生し、決済の状態が変化します。ビジネスやワークフローと、この決済に関する状態変化を適切にマッピングするためには、たとえば決済が最初にキャプチャされた場合にのみ返金が可能になるといったルールやワークフローを設計する必要があります。このようなワークフローは決済以外にもサブスクリプションやプラットフォームなどでも発生し、それぞれに対応する API 実装や Webhook 連携を追加していくことで、コードベースが肥大化していきます。</p><h2 id="h43b9b6551b">Stripe Workflows による複雑さの解消</h2><p>Stripe Workflowsは、こうした複雑さに対処するために開発された新製品です。Workflows を利用してStripe API を利用したアクションを実行することができます。Webhook イベントに対応して実行できるので、Webhook API やバッチ処理を実装せずとも、カスタムのワークフローやルールを実行できるようになります。</p><p>また、 Workflows は自動的にスケーリングするフルマネージドサービスとして提供されます。プロビジョニングやパッチ適用は不要で、コードを書く必要もありません。600以上のStripe アクションを呼び出すことができ、特定の順序で一連のアクションを確実に実行したい場合には、メンテナンスが必要なアプリケーションコードを実装することなく Stripe アカウントに適用できます。</p><h2 id="h0f78cb3d54">コード vs Workflows の実装比較</h2><p>セッションではシンプルなユースケースを例に、従来のコード実装と Workflows を使用した実装が比較されました。例として「<strong>成功した取引ごとに管理者にメールを送信する</strong>」というシナリオが紹介されました。</p><p>従来のコード実装では、まずAPIキーの安全な管理が必要です。環境変数またはシークレット管理系の SaaS を利用し、安全に API キーをアプリケーションコードが取得できる仕組みを作らなければなりません。また、npm や composer などで配布されている 3rd party のライブラリを使用したり、Next.js / AWS CDK などのフレームワークをメンテナンスする手間もかかります。Webhook を利用する場合は、第三者からの攻撃リクエストからエンドポイントを保護する必要もあります。さらにエラー処理やロギング、オブザーバビリティについても考慮すべき点です。特にセッションでは、 Webhook の保護処理についてと、決済というクリティカルな領域における「リトライ処理のハンドリングや冪等性の扱い」が開発時の重要な要件になり、同時にコードの複雑化を招く要素でもあると紹介されていました。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/514465a77cc34611a019fdf56390aacc/IMG_6472.jpg" alt="" width="5712" height="4284"></figure><p>Workflows を利用すると、これらのコードの複雑性を解消することができます。Webhook API を実装する代わりに、視覚的なビルダーを使ってワークフローを設定します。そのため、アプリケーションコードだけでなく、コードを実行するサーバーも不要となり、ダッシュボード操作ですぐに実行できます。また、エラーが発生した時リトライだけでなく、冪等性の担保による二重処理の予防措置まで組み込みされているとのことでした。</p><h2 id="h755b14d091">Workflows がもつ3つの機能と設計パターン</h2><p>Workflows には現在3つの機能が用意されています。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/c5efd3a434bd426281db13e58135e79f/IMG_6467.jpg" alt="" width="4032" height="3024"></figure><p>1つ目は ワークフローを実行するためのトリガー設定です。イベントペイロードの内容に基づいて、より細かくワークフローの実行を制御できます。たとえば、200ドル以上の支払いに対してのみワークフローを実行するといった条件設定が可能です。</p><p>2つ目の機能は、ワークフロー内で実行するアクションを設定する機能です。Stripe API を利用した取得・作成・変更・削除などのオペレーションをサポートしており、またメールでの社内通知に利用できるアクションも提供されています。アクションでは、ワークフロー内の前のステップからのデータを使用できます。顧客や決済などのオブジェクト情報をワークフロー全体で渡せるので、データの連携がスムーズになります。</p><p>最後の機能は、条件分岐です。ワークフローで実行するアクションを分岐する条件を作成できます。チップが含まれる支払いの場合に顧客をVIPとしてマークするなど、ビジネスロジックの実装が柔軟に行えます。</p><p>これらの機能を組み合わせて、さまざまなパターンのワークフローを構築することができます。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/f0bd68a249e04d4b840551ccffb91a5d/IMG_6474.jpg" alt="" width="5712" height="4284"></figure><h2 id="h510eeb4390">ワークフローの可観測性機能</h2><p>Workflowsにはデバッグのためのオブザーバビリティ機能が組み込まれています。ワークフローの詳細ページでは、すべてのワークフロー実行の日付や時間、ステータスが一覧で確認できます。失敗理由についても表示しますので、失敗した場合の概要を一目で把握することが可能です。「subscription id 123は存在しない」といった具体的なエラー内容が一目で確認できるように作られているとのことでした。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/826594e39a1d49e1a9d2e3e2dfe805aa/IMG_6417.jpg" alt="" width="4032" height="3024"></figure><p>ステップごとに input / output のデータを調査することもできます。そのため、「どんな API リクエストを実行したか」や「どんな結果が返ってきたか」などをワークフローに沿った形で調べることができます。また、手動でのリトライ機能も、冪等性を担保した状態で提供されているとのことですので、修正後に同じイベントデータを使って再試行できます。</p><p>また、 API リクエスト内容やリソース内容を詳細に調査できる「 Stripe Workbench 」とも連携しているとのことでした。そのため、Subscription リソースに紐づく Invoice や Payment Methods などのデータを深掘りすることも、ダッシュボード上で実現できるそうです。</p><p>この他、Workflowsには無限ループを防止する機能も備わってるとのことでした。直接再帰(ワークフローが自身をトリガーする無限ループ)を防止するだけでなく、間接再帰(ワークフローが他のワークフローをトリガーする連鎖)も制限されます。これにより、APIリミットの意図しない消費を防ぐことができます。最大5回までのワークフロー連鎖は許可されますが、自己トリガーは最大1回までという制限があるそうです。</p><h2 id="he818284a78">実装例:チップ含む支払いの自動VIP設定</h2><p>セッション中のデモでは、条件分岐を使った具体的な実装例が紹介されました。</p><p>まず、イベントのフィルタリングとして、支払い金額が$200以上の「<code>payment_intent.succeeded</code>」イベントのみをトリガーに設定します。次に条件分岐を行い、チップ(tip amount)が含まれているかどうかを判定します。チップがあれば(tip amountが空でない)、その顧客を「tipper」と判断するわけです。顧客データの更新では、チップを支払った顧客を「VIP」としてマークします。支払いに関連する顧客IDを動的に参照し、そのカスタマーオブジェクトにメタデータとして「<code>tier: VIP</code>」を追加する仕組みになっています。</p><p>結果として、$200以上の支払いにチップを含む顧客が自動的にVIPとしてマークされます。チーム内の誰もがその顧客情報を見たときに、VIPステータスを確認できるようになり、顧客体験の向上につながるでしょう。この例は、動的フィールド、条件分岐、メタデータ自動化というWorkflowsの主要パターンを組み合わせたものであるともいえそうです。</p><h2 id="h9ac4741640">Workflows のユースケースについて</h2><p>このほかにも不正対策や大口契約などのワークフローで Workflows を利用するユースケースが紹介されていました。</p><h3 id="h397748d36b">1. 不正使用の早期警告 への対応</h3><p>Stripe では、クレジットカード会社がチャージバックの申立てリスクが高いと思われる決済について早期アラートを出す仕組みが用意されています。これを「不正使用の早期警告 ( Early Fraud Warning | EFW)」と呼びます。この機能をトリガーとしたワークフローを実装することで、異議申し立て手数料やチャージバックが発生する前に予防措置をとることが可能です。セッションでは、チャージバックが発生した時の手数料よりも決済金額が少額であれば、チャージバックが発生する前に返金してしまうフローが提案されていました。これによって不正利用による被害額をすこしでも削減できるとのことです。また、条件分岐とメール通知アクションを組み合わせることで、高額決済など迅速な異議申し立てや顧客への連絡が必要な場合には、チームに通知することもできるということです。</p><h3 id="hdce5707879">2. カスタム料金でのサブスクリプション申込フロー</h3><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/75145aad40a14e48a1ca1394af74f832/IMG_6477.jpg" alt="" width="5712" height="4284"></figure><p>大口契約など、顧客や案件ごとに料金を提示するケースでは、メールで請求書を送信する設定のサブスクリプションを自動生成するワークフローが作れます。このケースでは料金( Price )リソースの作成をトリガーにし、顧客やサブスクリプションの作成までを一気通貫するフローが紹介されていました。</p><h2 id="h5cccdb849a">ロードマップ</h2><p>セッションでは最後に大まかな製品ロードマップも紹介されていました。スライドをみると、年内にはリストデータを処理するためのループステップや、 3rd partyアクションを実行する機能が登場しそうです。 </p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/76db4e78c1f348ad8f3b0d17286f1cd5/IMG_6478.jpg" alt="" width="5712" height="4284"></figure><p>2026年以降になる見込みですが、バージョニングやスケジュール実行・ Human in the loop(人間による承認ステップ)などまでリリースされると、Stripe 内部で完結するワークフローはほぼ Workflows に集約する流れになってくるかもしれません。</p><p>また、3rd partyアクションによって、どんなアプリとの連携が可能になるのかも楽しみですね。</p><h2 id="ha214098e44">まとめ</h2><p>Stripe Workflowsはパブリックプレビューとして発表され、現在Stripeアカウント内で600以上のAPIアクションを自動化・調整することができます。イベントに応じて自動的にスケーリングする特性を持ち、Stripe内でほぼ無限のカスタマイズが可能になりました。</p><p>開発者にとっての最大のメリットは、基盤となる複雑な実装について心配する必要がなくなることでしょう。ビジネスロジックの構築とStripeのビジネスニーズへのカスタマイズに集中できるため、生産性向上が期待できます。</p><p>まだ公開プレビュー状態のため、リストデータを扱うことが難しいなど物足りなさを感じる部分はありそうです。しかしキーノートでの発表に加えて専用セッションまで用意されていることから、今後のアップデートや可能性には大きく期待できそうです。</p><p>ぜひみなさんも Workflows を試してみて、社内業務に使える場面がないかなどを話し合ってみてください。</p>

岡本 秀高

開発者

[ Stripe Sessions レポート ] Stripe 上で任意のスクリプトコードを実行できる新機能「 Stripe Scripts 」が非公開プレビューで登場!

<p>2025年5月に開催された Stripe の年次カンファレンス「 Stripe Sessions 」にて、Stripe 上で任意のスクリプトコードを実行できる新機能「 Stripe Scripts 」の非公開プレビューがアナウンスされました。Stripe 内部で直接コードが実行できるようになることで、請求ロジック、割引適用、料金計算など、Stripeの基本動作を変更できるようになる予定とのことです。</p><p>API / Webhook そして Stripe Apps に加えて、 Stripe Sessions 2025 でアナウンスされた Stripe Workflows と Stripe Scripts を活用することで、最小限のコードで自社やクライアントに必要なカスタマイズを実現できるようになります。</p><h3 id="he7a944ee2b">Stripe Scripts のデモ: カスタムの割引ロジックを実現</h3><div style="left: 0; width: 100%; height: 0; position: relative; padding-bottom: 56.25%;"><iframe src="https://www.youtube.com/embed/G4RHlkGZwNM?rel=0" style="top: 0; left: 0; width: 100%; height: 100%; position: absolute; border: 0;" allowfullscreen scrolling="no" allow="accelerometer; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share;"></iframe></div><p>デモでは、購入量に応じた動的割引ルールの実装が紹介されていました。150トークン以上購入した場合、自動的に10%割引を適用するというロジックを TypeScript で実装します。実装したコードを Stripe Scripts へデプロイすることで、Stripe Checkout で実装された決済フォームに割引ロジックを反映させていました。</p><div style="left: 0; width: 100%; height: 0; position: relative; padding-bottom: 56.25%;"><iframe src="https://www.youtube.com/embed/hb4c55UjGGQ?rel=0" style="top: 0; left: 0; width: 100%; height: 100%; position: absolute; border: 0;" allowfullscreen scrolling="no" allow="accelerometer *; clipboard-write *; encrypted-media *; gyroscope *; picture-in-picture *; web-share *;"></iframe></div><h2 id="h9ca3c6c0f7">Stripe Scripts の利用は事前申請が必要</h2><p>Stripe Scripts は 2025/05 時点では非公開プレビューです。そのため、利用するには<a href="https://docs.stripe.com/billing/scripts?locale=ja-JP" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">事前にフォームからの申請</a>が必要です。フォームから申請を行うと、開発方法の案内やデプロイの流れなどを案内するメールが届きますので、ぜひお試しください。</p><h2 id="h7b5416f2af">Stripe Scripts / Workflows / Apps であなたのビジネスの決済・請求・顧客対応フローをカスタマイズ・自動化しよう</h2><p>Stripe は毎年のように請求業務やサブスクリプション管理、決済・売り上げの分析といったビジネスの運営に関わるワークフローを効率化するためのアップデートがリリースされています。ダッシュボードの機能拡張や 3rd party との連携をスムーズにする Stripe Apps、ノーコードでワークフローを実現できる Stripe Workflows 、そして今回アナウンスされた Stripe Scripts。このような機能を組み合わせることで、Stripe が関わるあらゆる部分で自動化やカスタマイズが容易に実現できるようになります。</p><p>特に Stripe Scripts は、 Stripe Checkout などの Stripe 内部で実行される機能にも影響が与えれる非常に強力な機能になる見込みです。特定の国の顧客に対する特別料金設定や、使用パターンに基づく動的な価格設定、複雑な階層型割引の実装、サブスクリプションの自動アップグレード/ダウングレードのロジックなど、様々なカスタムロジックが可能になるだろうと Sessions の発表では予告されていました。</p><p><a href="https://docs.stripe.com/billing/scripts?locale=ja-JP" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Stripe Scripts を利用した割引シナリオ</a>やカスタマイズについて、どんなことを実現したいか。ぜひあなたの希望や意見を、この記事のシェアとともに教えてください。</p><hr><p><em>この記事はStripeのセッションキーノートの内容に基づいています。実際のサービス詳細や提供開始時期については、Stripe公式サイトでご確認ください。</em></p>

岡本 秀高

開発者

[ Stripe Sessions レポート ] ノーコードで請求管理フローを構築できる「 Stripe Workflows 」が公開プレビューになりました

<p>2025年5月に開催された Stripe の年次カンファレンス「 Stripe Sessions 」にて、Stripe 上のワークフローをノーコードで実装できる新機能「 Stripe Workflows 」の公開プレビューがアナウンスされました。</p><blockquote class="twitter-tweet" data-dnt="true" align="center"><p lang="en" dir="ltr">Introducing Workflows—a visual builder that lets you program Stripe and create custom flows without writing code. Get started: <a href="https://t.co/drxxKLRtXp">https://t.co/drxxKLRtXp</a>. <a href="https://t.co/Gqo397gmZD">pic.twitter.com/Gqo397gmZD</a></p>— Ben (@benjamin_l_s) <a href="https://twitter.com/benjamin_l_s/status/1920506953173815546?ref_src=twsrc%5Etfw">May 8, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <p>Stripe Workflows は、プログラミングの知識がなくても、ビジネスプロセスを自動化できる視覚的な構築ツールです。これを使えば、「もし〇〇が起きたら、△△を実行する」というビジネスロジックを、マウス操作だけで作成できるようになります。</p><h2 id="h26649205b5">成長に伴って複雑化する社内やシステムの請求ワークフロー</h2><p>Stripe を導入することで、サブスクリプションや決済・請求書の発行と入金確認等の請求管理フローをシンプルに開始することができます。また API や Webhook を活用することで、より柔軟なワークフローを構築・カスタマイズすることも可能です。</p><p>しかしここで1つの問題が発生します。それは「請求に関するワークフローは、事業成長や環境の変化に伴い常に変化する」ことです。このようなワークフローはビジネスとチームの成長につれて複雑化していきます。多くの場合、非技術系のスタッフがビジネスワークフローのカスタマイズについて開発チームに助けを求めます。しかし開発者が書くコードは、単一チーム向け、単一ユースケース用、そして数ヶ月間だけの使用を前提に作られることがほとんどです。時間が経つと、このような「一時的な対応」が突然重要性を増し、他のチームもそれに依存し始めます。その結果、開発者は時間的プレッシャーの下で書かれた脆弱なコードを維持する立場に置かれてしまいます。</p><p>Stripe Workflows は、このような課題を「コードを書かずに解決する」アプローチにて解決します。</p><h3 id="h56b4bb7ce4">Workflows のメリット</h3><p>Workflowsの最大の魅力はプログラミングが不要な点です。マーケティングチームや財務チームなど、技術部門以外のメンバーでも自分でプロセスを作成・変更できるようになります。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/f0bd68a249e04d4b840551ccffb91a5d/IMG_6474.jpg" alt="" width="5712" height="4284"></figure><p>監視と安全性も大きな特徴といえるでしょう。実行状況の確認や問題発生時の原因追跡が簡単にできるため、安心して運用できます。また、同じイベントに対して二重に処理されることがないよう、安全に設計されているのも特徴的です。一時的な障害が発生した場合の自動リトライや、特殊なケースへの対応も自動的に行われるため、運用の手間が大幅に削減されます。</p><h2 id="hdce00cedb0">Stripe 上のリソースや API をノーコードで連携できる</h2><p>Stripe Workflows は、 Stripe 上で発生するイベントでトリガーできます。 決済の成功・失敗や、サブスクリプションに関する請求イベント、チャージバックの発生や入金処理など、Stripe Webhook のイベントとして提供されているさまざまなトリガーを利用できます。</p><p>トリガーを設定した後は、アクションと条件分岐を設定します。「ある金額以上・以下の注文や請求書に対して、特定のワークフローを実行する」のような、これまで手動で例外的に対応するか、Webhook API をスポットで開発して対応してもらう必要があった作業についても、 Stripe ダッシュボード上で Workflows を利用して設定できます。</p><h3 id="h688495f35d">クレジットカード不正利用対策にも、 Workflows が利用可能</h3><p>Stripe Sessions では、Workflows を活用するシーンの1つとして「不正対策」が紹介されました。 </p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/f8ab680db7774f05a8d701a32a7ba9e1/IMG_6475.jpg" alt="" width="5712" height="4284"></figure><p>Stripe では、 VISA / Mastercard から不正利用の疑いのある決済を事前に警告する「不正使用の早期警告( EFW )」という仕組みがあります。この警告イベントをトリガーにし、実際にチャージバック申請が顧客から申し立てられる前に顧客への連絡や返金処理を行うことで、チャージバックが発生した際の手数料や、顧客のビジネスに対する印象悪化を防ぐことができます。</p><p>デモでは、この EFW が発生したことを知らせる「radar.early_fraud_warning」がトリガーとして選ばれました。次にアクションを追加し、 EFW に関連する請求情報を取得します。アクションでは、前のステップから得たデータを動的に参照できるので、トリガーされたイベント情報から請求IDを取得することでデータを取得しています。</p><p>続いて条件分岐を設定します。ここでは請求額が$15以下かどうかをチェックしていました。$15という基準は、チャージバックが発生した際に追加で発生する手数料などを考慮して設定したとのことです。少額の場合は自動返金処理を行い、多額の場合はチームメンバーにメール通知を送るという流れにすることで、サポートチームの負荷とコスト削減を実現します。</p><p>このようなワークフローも、 Stripe Workflows を利用することで、ブロックを組み合わせるような感覚で実装や変更が可能となります。</p><h2 id="h9652637c85">Workflows はリトライやエラー対応もシンプルにする</h2><p>Stripe Workflows で構築したワークフローは、リトライが発生した際の保護やエラーの調査などの機能も用意されています。</p><p>同じイベントに対して同じワークフローが複数回トリガーされても、アクションは一度だけ実行されます。例えば返金が既に作成されていたり、チームメンバーにメールが送信済みだったりすれば、その操作が再度行われることはありません。</p><p>また、ワークフローが誤って自分自身を再トリガーした場合(無限ループの可能性がある状況)、問題が発生する前に自動的に停止します。</p><p>監視機能も充実しています。すべてのワークフロー実行日時とステータスを閲覧できる実行履歴はダッシュボードから確認できます。各ステップの成功/失敗とその理由が確認できる詳細な実行フロー、各ステップの入力と出力データが閲覧できるステップごとの詳細、さらにより詳細な情報へのアクセスが可能なWorkbenchとの統合も実現しています。</p><p>これらの機能のおかげで、チームはリトライやロギング、エッジケースの処理といった複雑な問題を心配せずに済むようになりました。</p><h2 id="hcc18d3531d">ループ処理や 3rd party との連携もロードマップに</h2><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/76db4e78c1f348ad8f3b0d17286f1cd5/IMG_6478.jpg" alt="" width="5712" height="4284"></figure><p>Stripe Workflows は2025年5月時点では公開プレビューです。そのため、リストデータの処理を実現するループ機能などは、現在開発中とのことでした。さまざまな機能の開発が予定されていることがセッション内でアナウンスされていますので、 Workflows に寄せれるフローから移行させていくのがよいかもしれません。</p><p>個人的には、 terraform で管理したくなりそうなので、 API で管理できるようになりたいですね。</p><h2 id="ha214098e44">まとめ</h2><p>Stripe Workflowsは、コードを書かずにカスタム業務フローを作成できるパワフルなツールです。これにより開発者は日常的な作業や差し込みタスクを減らすことができ、ビジネスを真に差別化するコードの作成に集中できます。</p><div style="left: 0; width: 100%; height: 0; position: relative; padding-bottom: 56.25%;"><iframe src="https://www.youtube.com/embed/jvIGueIobG4?rel=0" style="top: 0; left: 0; width: 100%; height: 100%; position: absolute; border: 0;" allowfullscreen scrolling="no" allow="accelerometer; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share;"></iframe></div><p>非技術部門も自立できるようになります。マーケティングや財務などの部門が、自分たちでプロセスを作成・改善できるようになるため、業務効率が格段に向上するはずです。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/70eff531d060468585992bc3288d3f2f/IMG_6476.jpg" alt="" width="5712" height="4284"></figure><p>同様にシステム間の壁も低くなっていくでしょう。異なるシステム間の連携が容易になり、柔軟なビジネス運営が可能になります。</p><p>このような Stripe の取り組みにより、企業は技術的な障壁に悩まされることなく、ビジネスの本質に集中できるようになります。</p><p>セッション後、Developer Advocate の <a href="https://www.linkedin.com/in/bensmithportfolio/?originalSubdomain=uk" target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow">Ben Smith さん</a>は、「みなさんが Stripe Workflows で自動化させたいワークフローについて教えてほしい。その実現に足りない機能があれば、ぜひ開発チームに共有したい」とコメントしていました。この記事を読んで試してみたいと思われた方は、「自動化したいワークフロー」について、ぜひ SNS でシェアしてみてください。</p><div style="left: 0; width: 100%; height: 0; position: relative; padding-bottom: 56.25%;"><iframe src="https://www.youtube.com/embed/sH9I_4tuhnI?rel=0" style="top: 0; left: 0; width: 100%; height: 100%; position: absolute; border: 0;" allowfullscreen scrolling="no" allow="accelerometer *; clipboard-write *; encrypted-media *; gyroscope *; picture-in-picture *; web-share *;"></iframe></div><hr><p><em>この記事はStripeのセッションキーノートの内容に基づいています。実際のサービス詳細や提供開始時期については、Stripe公式サイトでご確認ください。</em></p>

岡本 秀高

開発者

[ Stripe Sessions レポート ] 企業間の請求処理を簡略化する新機能「 Stripe Profile 」がアナウンスされました

<p>2025年5月に開催された Stripe の年次カンファレンス「 Stripe Sessions 」にて、企業間の請求処理をより簡単に実現できる新機能「 Stripe Profiles 」がアナウンスされました。これは Stripe 上に保存された情報を利用し、 B to B の請求に必要なさまざまな情報を Stripe ネットワークを経由して数クリックで共有できるようになる機能です。</p><h2 id="h8e3f5a4fa6">Stripe のネットワークを利用した情報共有が B to B の世界にも</h2><p>Stripeは、オンライン決済処理を簡単に導入できるサービスとして多くの企業に利用されています。個人経営の小さなオンラインショップから大企業まで、様々なビジネスがStripeを活用しています。Stripe Sessions 2025 初日のキーノートでも触れられていたように、Stripeは現在「数百万のビジネスからなるネットワーク」として「毎分5万件以上の取引」が処理されています。</p><p>このネットワークや取引データは、企業そして個人間のさまざまな取引をスムーズにすることに活用されています。例えば、ネットワーク全体のデータを活用した不正検出や、Link 機能による購入プロセスの簡素化、そしてプラットフォームビジネス向けの新規ユーザーの登録フローのシームレス化などがあります。Stripe が特徴的だったのは、このようなこのネットワークを活用した改善や自動化などが目に見えない形で提供されていたことです。しかし今回発表された Stripe Profiles はこのネットワークをより明示的な「ビジネス間(B2B)ネットワーク」として進化させることになります。</p><h2 id="h298321b9b6">Stripe Profiles が実現すること</h2><p>Stripe Profilesは、Stripe のネットワーク上に公開できる企業のアイデンティティと、そのプロフィールを活用できるネットワーク機能です。Stripe アカウントに登録しているビジネス情報を利用し、企業間取引で必要なビジネス情報の共有を Stripe のネットワーク上で実現します。</p><h3 id="he9633a4b06">B to B 取引における、請求先情報の共有コスト</h3><p>Stripe では昨年だけで、 Stripe アカウントを所有する企業間で数億回もの支払いが処理されています。しかしお互いが Stripe を使っていたとしても、請求のために必要とされる企業に関する情報の共有や入力の手間は、以前として残っていました。 Stripe Profile が正式にリリースされると、請求先住所や企業がどんなビジネスに取り組んでいるかなどの情報が、 Stripe ダッシュボードなどで簡単に共有・取得できるようになります。</p><p>これによって Stripe を利用している企業同士の請求作業が、劇的に簡略化されます。</p><h3 id="h75b13ad39e">Stripe Profiles を利用した請求書発行デモ</h3><p>キーノート内では、 Stripe Profiles のデモも行われました。</p><div style="left: 0; width: 100%; height: 0; position: relative; padding-bottom: 56.25%;"><iframe src="https://www.youtube.com/embed/y4tLNhIizZ4?rel=0" style="top: 0; left: 0; width: 100%; height: 100%; position: absolute; border: 0;" allowfullscreen scrolling="no" allow="accelerometer; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share;"></iframe></div><p>請求書ページで顧客を検索すると、Stripeプロフィールを持つ企業が表示され、請求先住所やメール、電話番号などの情報が自動的に入力されます。あとは必要な項目を追加して「送信」をクリックするだけで、請求処理が完了します。請求書を受け取った側は、Stripeプロフィールに保存された支払い方法を使ってワンクリックで支払いを完了できます。Stripe Profiles を多くの企業が採用することで、企業間取引におけるさまざまな請求作業が簡略化・自動化されるといえるでしょう。</p><h2 id="h737987ae1d">プロフィールの認定制度「 Stripe Verified 」について</h2><p>Stripe Profiles のアナウンスに加えて「Stripe Verified」という新しい認証制度も紹介されました。これはStripeネットワーク上で認定されたビジネスであることを示す信頼の証です。</p><figure><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/673f54f935574821bac7ee65829d6fb5/ff232628d23f453cb11f99c0ad845ca5/IMG_6403.jpg" alt="" width="4032" height="3024"></figure><p>Stripe に登録されたビジネス情報などのプロフィール情報を検証し、認定を行います。この認定によって、初めての企業を相手とした取引においても、「 Stripe が認定している企業・ビジネスである」といういわばお墨付きを得ることができます。企業間取引において、取引に安心感を提供するだけでなく、リスク管理とコンプライアンスのサポートも行うことができるということで、特に新市場への参入や新製品立ち上げ時にその価値を発揮するでしょう。</p><p>さらに、継続的なモニタリングにより新しい規制要件を自動的にチェックし、問題を事前に通知します。コンプライアンス維持のための特別なホワイトグローブサポートも提供されるとアナウンスがありました。</p><h2 id="h08c4cf241e">Stripeのネットワーク強化の目的</h2><p>Stripeが今回のアップデートで強調したのは、単なるサービス改善にとどまらない、より大きなビジョンです。キーノートの最後では「Stripeは世界で最も野心的なビジネスのネットワーク」であり、Stripe の使命は「皆さんがより多くを得られるよう手助けすること」とのコメントがありました。</p><p>この言葉には重要な意味があります。Stripe は単なる決済処理サービスプロバイダーではなく、ビジネスエコシステム全体を強化するプラットフォームへと進化しているのです。「Stripe Profiles」と「Stripe Verified」はその第一歩であり、今後さらに多くの機能が追加される可能性を示唆しています。</p><h2 id="ha214098e44">まとめ</h2><p>Stripeはこれまでも優れた決済プラットフォームでしたが、今回の「Stripe Profiles」と「Stripe Verified」の発表により、単なる決済処理サービスから、ビジネス間の信頼と取引を促進する包括的なネットワークへと進化しています。</p><p>この新機能は一般的には今夏から提供開始予定ですが、Stripeのセッション参加者は優先的にアクセスできるとのこと。Stripeのこの進化は、特に多くのビジネスパートナーや顧客と取引を行う企業にとって、大きな時間と労力の節約につながるはずです。請求書の作成と支払いのプロセスが劇的に簡素化され、より多くの時間をビジネスの成長に集中できるようになります。</p><hr><p><em>この記事はStripeのセッションキーノートの内容に基づいています。実際のサービス詳細や提供開始時期については、Stripe公式サイトでご確認ください。</em></p>

岡本 秀高

開発者