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[ Stripe Sessions レポート ] ノーコードで請求管理フローを構築できる「 Stripe Workflows 」が公開プレビューになりました

[ Stripe Sessions レポート ] ノーコードで請求管理フローを構築できる「 Stripe Workflows 」が公開プレビューになりました
公開日: 2025/5/11 / 更新日: 2025/5/14

2025年5月に開催された Stripe の年次カンファレンス「 Stripe Sessions 」にて、Stripe 上のワークフローをノーコードで実装できる新機能「 Stripe Workflows 」の公開プレビューがアナウンスされました。

Stripe Workflows は、プログラミングの知識がなくても、ビジネスプロセスを自動化できる視覚的な構築ツールです。これを使えば、「もし〇〇が起きたら、△△を実行する」というビジネスロジックを、マウス操作だけで作成できるようになります。

成長に伴って複雑化する社内やシステムの請求ワークフロー

Stripe を導入することで、サブスクリプションや決済・請求書の発行と入金確認等の請求管理フローをシンプルに開始することができます。また API や Webhook を活用することで、より柔軟なワークフローを構築・カスタマイズすることも可能です。

しかしここで1つの問題が発生します。それは「請求に関するワークフローは、事業成長や環境の変化に伴い常に変化する」ことです。このようなワークフローはビジネスとチームの成長につれて複雑化していきます。多くの場合、非技術系のスタッフがビジネスワークフローのカスタマイズについて開発チームに助けを求めます。しかし開発者が書くコードは、単一チーム向け、単一ユースケース用、そして数ヶ月間だけの使用を前提に作られることがほとんどです。時間が経つと、このような「一時的な対応」が突然重要性を増し、他のチームもそれに依存し始めます。その結果、開発者は時間的プレッシャーの下で書かれた脆弱なコードを維持する立場に置かれてしまいます。

Stripe Workflows は、このような課題を「コードを書かずに解決する」アプローチにて解決します。

Workflows のメリット

Workflowsの最大の魅力はプログラミングが不要な点です。マーケティングチームや財務チームなど、技術部門以外のメンバーでも自分でプロセスを作成・変更できるようになります。

監視と安全性も大きな特徴といえるでしょう。実行状況の確認や問題発生時の原因追跡が簡単にできるため、安心して運用できます。また、同じイベントに対して二重に処理されることがないよう、安全に設計されているのも特徴的です。一時的な障害が発生した場合の自動リトライや、特殊なケースへの対応も自動的に行われるため、運用の手間が大幅に削減されます。

Stripe 上のリソースや API をノーコードで連携できる

Stripe Workflows は、 Stripe 上で発生するイベントでトリガーできます。 決済の成功・失敗や、サブスクリプションに関する請求イベント、チャージバックの発生や入金処理など、Stripe Webhook のイベントとして提供されているさまざまなトリガーを利用できます。

トリガーを設定した後は、アクションと条件分岐を設定します。「ある金額以上・以下の注文や請求書に対して、特定のワークフローを実行する」のような、これまで手動で例外的に対応するか、Webhook API をスポットで開発して対応してもらう必要があった作業についても、 Stripe ダッシュボード上で Workflows を利用して設定できます。

クレジットカード不正利用対策にも、 Workflows が利用可能

Stripe Sessions では、Workflows を活用するシーンの1つとして「不正対策」が紹介されました。

Stripe では、 VISA / Mastercard から不正利用の疑いのある決済を事前に警告する「不正使用の早期警告( EFW )」という仕組みがあります。この警告イベントをトリガーにし、実際にチャージバック申請が顧客から申し立てられる前に顧客への連絡や返金処理を行うことで、チャージバックが発生した際の手数料や、顧客のビジネスに対する印象悪化を防ぐことができます。

デモでは、この EFW が発生したことを知らせる「radar.early_fraud_warning」がトリガーとして選ばれました。次にアクションを追加し、 EFW に関連する請求情報を取得します。アクションでは、前のステップから得たデータを動的に参照できるので、トリガーされたイベント情報から請求IDを取得することでデータを取得しています。

続いて条件分岐を設定します。ここでは請求額が$15以下かどうかをチェックしていました。$15という基準は、チャージバックが発生した際に追加で発生する手数料などを考慮して設定したとのことです。少額の場合は自動返金処理を行い、多額の場合はチームメンバーにメール通知を送るという流れにすることで、サポートチームの負荷とコスト削減を実現します。

このようなワークフローも、 Stripe Workflows を利用することで、ブロックを組み合わせるような感覚で実装や変更が可能となります。

Workflows はリトライやエラー対応もシンプルにする

Stripe Workflows で構築したワークフローは、リトライが発生した際の保護やエラーの調査などの機能も用意されています。

同じイベントに対して同じワークフローが複数回トリガーされても、アクションは一度だけ実行されます。例えば返金が既に作成されていたり、チームメンバーにメールが送信済みだったりすれば、その操作が再度行われることはありません。

また、ワークフローが誤って自分自身を再トリガーした場合(無限ループの可能性がある状況)、問題が発生する前に自動的に停止します。

監視機能も充実しています。すべてのワークフロー実行日時とステータスを閲覧できる実行履歴はダッシュボードから確認できます。各ステップの成功/失敗とその理由が確認できる詳細な実行フロー、各ステップの入力と出力データが閲覧できるステップごとの詳細、さらにより詳細な情報へのアクセスが可能なWorkbenchとの統合も実現しています。

これらの機能のおかげで、チームはリトライやロギング、エッジケースの処理といった複雑な問題を心配せずに済むようになりました。

ループ処理や 3rd party との連携もロードマップに

Stripe Workflows は2025年5月時点では公開プレビューです。そのため、リストデータの処理を実現するループ機能などは、現在開発中とのことでした。さまざまな機能の開発が予定されていることがセッション内でアナウンスされていますので、 Workflows に寄せれるフローから移行させていくのがよいかもしれません。

個人的には、 terraform で管理したくなりそうなので、 API で管理できるようになりたいですね。

まとめ

Stripe Workflowsは、コードを書かずにカスタム業務フローを作成できるパワフルなツールです。これにより開発者は日常的な作業や差し込みタスクを減らすことができ、ビジネスを真に差別化するコードの作成に集中できます。

非技術部門も自立できるようになります。マーケティングや財務などの部門が、自分たちでプロセスを作成・改善できるようになるため、業務効率が格段に向上するはずです。

同様にシステム間の壁も低くなっていくでしょう。異なるシステム間の連携が容易になり、柔軟なビジネス運営が可能になります。

このような Stripe の取り組みにより、企業は技術的な障壁に悩まされることなく、ビジネスの本質に集中できるようになります。

セッション後、Developer Advocate の Ben Smith さんは、「みなさんが Stripe Workflows で自動化させたいワークフローについて教えてほしい。その実現に足りない機能があれば、ぜひ開発チームに共有したい」とコメントしていました。この記事を読んで試してみたいと思われた方は、「自動化したいワークフロー」について、ぜひ SNS でシェアしてみてください。


この記事はStripeのセッションキーノートの内容に基づいています。実際のサービス詳細や提供開始時期については、Stripe公式サイトでご確認ください。